masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

利用者画像のSNSアップは慎重に。


介護事業者が組織としてSNSを運営することが当たり前の世の中になった。

そこでは利用者の方々が介護サービスを利用している様子がアップされていたりする。

同時に介護事業者に勤める従業員が、個人のSNSで職場の様子を画像アップすることもある。

そうであるがゆえに、事業者としてのSNSの管理に気を配る必要がある。このことに関しては、新年度に数多く入職してくる新入社員に対し、入社式などで厳重に注意を促してほしい。

特に気を付けてほしいのは、利用者が特定できる画像の取り扱いである。
SNSの使い方に注意を
職場が運営するSNSであろうと、個人のSNSであろうと、利用者の顔や姿を勝手にアップすることは許されない。

必ず利用者自身の同意を得た画像でない限り、ネット上にアップすることはできないことを知らない人はいないだろう。

しかしSNSに利用者が特定できる画像をアップすることについて、利用者同意を得ているから問題がないかと言えば、必ずしもそうとは言えない。利用者同意があって画像をアップしたのに、そのことが後々トラブルに発展し、損害賠償責任を免れなくなるという笑えないケースもあるので注意が必要だ。

特に個人のSNSであれば利用者の同意を得て画像をアップしても、それが即ち不適切行為だとされることがある。なぜなら介護事業者の従業員と利用者との関係は、職業を通しての関係であって個人的な関係ではない。個人的な場所であるSNSに、職業としてサービスを提供している利用者画像をアップすることは、同意の有無にかかわらず、守秘義務等の関連から許されないという考え方もある。

そのため職場のルールとして、個人のSNSに利用者画像をアップしてはならないとしている組織も少なくない。そのようなルールは過剰ルールとは言えず、労務管理上認められる制限ルールであると考えられている。

一方で利用者情報がSNSに流出することを恐れて、個人のSNS利用を認めないなどの制限は、社会通念上許されるものではない。従業員がSNSを利用すること自体は、職場の管理が及ばない個人の権利であるのだから、それを制限することは過剰な制限として認められないからである。

介護事業経営者や管理職は、まずこの区別をしっかり頭に叩き込まなければならない。

同時に事業者SNSに、利用者同意を得て利用者の姿をアップした際にも、すべて適切とは言えないことを知ってほしい。

それは同意能力の問題が問われるということだ。

僕の知るケースでは次のようなトラブルがあった。

ある特養で、認知症の方の写真を撮影し、本人にその画像を見せて、「ファイスブックに載せても良いですか?」と尋ねたところ、「いいよ」と言われたので、同意があったものとして画像をアップしたところ、そのファイスブックを見た家族から抗議を受けたケースがある。

家族の抗議内容とは、親せきや知人に親が特養に入所したことを知らせていないので、そのような画像アップは困るというものであった。

このケースは、謝罪と画像を削除することで事なきを得たが、場合によっては精神的苦痛を受けたと主張する相手に、損害賠償責任を生じかねないので注意が必要だ。

理解力と同意能力に問題がある人から、「良いですか」〜「はい」という口頭のやり取りだけで同意を得たとするのは、一般的な契約同意としては認められないことを理解してほしい。

すると、施設入所契約・サービス利用契約等において、介護サービス事業者と利用者間で直接契約を結んでおらず、家族等も共に同意する形の、「第3者同意契約」を取っている方は、SNSアップ等も全て、第3者同意の形を取らねば同意とは言えないと理解しておくべきだ。

ここをあやふやにしておくと後々痛い目をこうむることになる。

さすれば行事等の参加者複数を撮影して、その画像をSNSにアップすることは、簡単に行うことができる行為ではないことも理解できるだろう。

SNSにアップする利用者画像は、ぼやかして個人が特定できない形にしておいた方が、安全であることは間違いがない。
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永遠の10年は解消されるのか?


アルツハイマー型認知症の発症メカニズムは、完全に解明されているとは言い難いが、発症原因として明らかになっていることはある。

それはAβ(アミロイドベータ蛋白質)が、アルツハイマー型認知症の発症に深くかかわっているということだ。

Aβは脳内に出現しても、本来なら貯留することのない蛋白質だ。それが脳外にうまく排出されずに、脳内に貯留・沈着して、タウ蛋白に変質する過程で脳細胞を圧迫し、血流障害を起こすことで脳細胞が壊死するのである。そのためにアルツハイマー型認知症が引き起こされるのである。

そのためAβを出現させるセレクターゼを阻害する薬の開発とか、脳内に残ったAβやタウ蛋白を直接攻撃するワクチンの開発などが世界中で研究されているが、10年以内に何らかの予防・治療薬が誕生すると言われ続けてから20年も30年も経過しようとしている。

これがアルツハイマー型認知症の予防対策が永遠の10年と言われる所以である。(参照:永遠の10年。

ところでこの問題に関連して先週、新しい治療方法の治験が始まるというニュースが報道された。その内容を簡単にまとめると以下のようになる。
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新潟大と東大の研究チームが、若年発症が多い遺伝性の認知症「家族性アルツハイマー病」の家系の人を対象に、病気の原因と考えられる脳内の異常なたんぱく質を取り除く薬剤を投与する治験(臨床試験)を年内にも開始する。

家族性アルツハイマー病は、40代・50代の若年で発症する例が多く、Aβの蓄積は20代、30代から始まる。遺伝子変異を受け継ぐと親の発症とほぼ同年齢で発症することがわかっている。

治験では全ての参加者に3〜4年間、「レカネマブ」(※米国で1月に早期アルツハイマー病患者を対象に迅速承認された薬で、日本でも審査中。)を点滴する。

参加者のうち半数には、タウの脳内への広がりの抑制を図る、現在開発中の「E2814」という薬剤も点滴投与する。
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この治験に期待を寄せる人がどれほどいるかはわからない。しかし僕自身はすごく怖い治験だと思う。
薬の治験
なぜなら、「レカネマブ」自体が本当に効果があるかわからない薬であって、米国での認可も取り消しの可能性がある仮免許状態の認可でしかないからだ。

日本に至っては、それはまだ認可さえされていないのだから、臨床ではまだ使われていない薬ということになる。ましてや開発中の薬は、認知症治療薬としては存在していないものと言っても過言ではないのではないのか・・・。(※この薬は日本人には効果がないという専門家もいる。

それらの副反応は十分確認済みなのだろうか・・・。

かつてアルツハイマー型認知症の新薬については、アメリカで治験が行われ、その最中に脳出血で死亡する人が相次いで、治験自体を中止したという苦い過去もある。

1980年代に日本の臨床に使われた認知症の特効薬、「ポパテ」の副反応で、脳梗塞を発症した人が相次いだ事によって、それは劇薬指定されたことも思い出される。

このように脳内に直接作用させる新薬は、回復不能な脳内ダメージにつながりかねないのである。

そんな怖い薬を点滴で点滴投与して、脳内に沈着するAβを攻撃するような治験は、本当に安全な治験なのだろうか・・・。

今回の治験で、家族性アルツハイマー病の予防効果を期待して参加した結果が、脳出血や脳梗塞を引き起こすのではかなわない。その後遺症で一生寝たきりにならないとも限らないからだ。

そういう意味で、この治験は極めて人体実験に近いものであるように感じる。

それらこれらを鑑みると、この治験にはあまり期待ができないし、永遠の10年はこれから先何十年も解消されないような気がしてならない。
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希望を誇りに繋げる職場であってほしい


先週SNS上では、卒業式の話題が数多く取り上げられていた。

卒業と一口に言ってもそれは様々な舞台からの卒業であるが、その中には4月から社会人としてスタートを切る方々も数多く含まれている。そして当然その中には、介護福祉士等の介護職としてスタート地点に立とうとしている人達の姿も垣間見られた。

僕とつながっているSNSでは、そういう人たちの話題が数多く書き込まれていた。
さくらそう
しかし最近の介護事業者は、年がら年中退職者補充の採用が行われていて、4月からの新年度に一斉に新入職員が入職して盛大に入社式を行うという状況ではないというところが多い。

それだけ人材難が深刻であるということだろう。

そのことは同時に、人が少ないから闇雲に募集に応募した者を採用し、ろくな教育も行わずに現場に放り出すということも常態化させている。そんなふうに現場に放り出された人は、知識も技術も未熟なまま介護職として働き続けなければならない。

そのことが介護サービスの質を悪化させる原因にもなっている。

そうした未熟な介護職員が数多く働く介護事業者で忙しく利用者対応する人の中には、利用者の心に寄り添うなんてことは考えることもできず、利用者をまるで物のように扱い、介護という行為を単に機械的で乱暴な肉体労働に貶めている人たちさえ存在させることになる。

そんな場所に就職した新人は不幸だ。せっかく希望を胸に介護職としてスタートした場所に希望が存在しないどころか、自らが利用者に不幸を運ぶ存在となるかのような作業員と化す指導が行われていくからである。

そんな場所では、利用者の方々の哀しい表情も苦しいという訴えも無視しなければ作業が終わらない。毎日、「嫌だ」・「助けて」という声を耳にしながら、その声が聴こえないふりをして、黙々と先輩から指示された作業をこなす労働に、どんな価値を見出せというのだろう。そこに面白みを感じろと言えるのだろう。

そんな仕事に誇りを持てるのだろうか・・・。

介護という仕事に誇りを持てない人たちが数多く働き、その人たちが指導役となって新人職員に仕事を教えている職場では、「理想と現実は違う」という言葉が頻繁に飛び交う。しかしそれは介護の仕事に誇りが持てず、介護の知識も技術も拙い、本当の介護ができない人々の戯言だ。

介護福祉士養成校を卒業する生徒たちは、2年間の学業のさなかに、様々な場所で誇りある介護職の先輩たちに出会って、そういう人になりたいという希望をもって卒業していくのだ。

その子たちの理想とは、現実そのものであり、その子らにとっての希望なのである。

そ鵜であるにもかかわらず、一部の人たちは、自らの現実が貧しいものであるというだけで、押しなべてすべての介護現場が、自分たちのようなスキルの低い人間で動いていると勘違いして新人に恥ずべき現実を押し付けているのだ。

介護事業という、人の暮らしに深く介入すべき職業の拠点が、そのような場所であってはならない。

だからこそ入社式はしっかりと行い、新入職員に希望と夢を与えるステージを用意してほしい。

そのうえで新人職員が夢を追うことができ、希望を失わずに、その夢と希望を介護の誇りに繋げる新人教育をしてほしい。そういう教育ができる介護の場であってほしい。

そういう職場は理想ではなく、現実として数多くあることを理解してほしい。
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介護サービス利用者の生の声から考えてほしいこと


僕は今日、愛媛県久万高原町で午前と午後に渡って2本の講演を行う予定だ。

そのため講演前の、この時間に記事更新している。

午後からは制度改正を見据えた介護事業経営について話をするが、午前中は介護事業におけるサービスマナーを含めた介護実務の方法論をあり方を、介護という職業の使命という観点から話す予定だ。

この講演の中でサービスマナーに関連した話もする予定であるが、このことに関連しては職員の利用者対応の中心となる口の利き方について、いかに間違った考え方をしている職員が多いかという具体例を、「99人の馬鹿と対峙する一人の正義」という記事で紹介している。

その記事にコメントを書いてくれた人がいるので、参照していただきたい。そのコメントを下記に転載する。
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80代の婆さんです。
デイサービスで週1回お世話になっています。
この度の文章を読ませていただき思わず涙しました。
若い方のタメグチに辟易してましたので、本当に救われました。
ありがとうございます。ご活躍ください

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勇気をもってコメントを書いてくれた方には、心からお礼を申し上げたい。

介護関係者には、このコメントをしっかりと受け止めてほしい。

高齢者の方々は、介護サービス従事者が何気なく使っている「ため口」、あるいは堅苦しく感じさせないように意識して使っている「ため口」に癖癖している人、傷ついている人が少なくないのだ。
茶屋風景
今後の高齢者介護サービスの利用者の中心は、団塊の世代の人々になる。その方々は、日本の高度経済成長期を支えた企業戦士やその妻、それらの人々を相手に商売をしていた人々であり、上下関係には厳しい感覚を持った人々である。

それらの人々は顧客に対してサービス提供者がため口で接することを決して許さない感覚を持った世代の方々である。

しかし、そういう方々がいざ自分が介護支援を受ける身になって、自分よりずっと年下で、自分を敬うべきサービス提供者が、日常的にため口で接してきた際に、文句を言えるかといえばそんなことはない。

介護支援を受ける身で下手な抗議をすれば、適切な介護をしてくれないのではないかという恐れもあるし、こんなことで口うるさいといわれても大人げないと考えて、必要な要求ができない人が多いのである。

しかしその人たちは、抗議せず文句を言わないけれども、そのような失礼な態度を受け入れなければならなくなった自分の身を哀れに思い、心の奥底で悲しんでいるのである。

だからこそ私たちは、利用者に堅苦しいと思われることや、よそよそしいと思われることを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い心を殺してしまうことを恐れる人でいなければならないのである。

誰に対しても不快な印象を与えず、使い分ける必要がない丁寧語を、使いこなすことができるコミュニケーションスキルを獲得しなければならないのである。

それができない人は、いっそのこと人に語り掛ける必要のない別な仕事を探すべきである。そのほうが世のため人のためになるだろう・・・。
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過剰制限は本当になかったのか


新型コロナウイルスの発生から3年余りが経った現在、政府は、新型コロナウイルスの感染法上の分類を5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定している。

これに伴い、感染者の外出自粛や医療費の負担・マスク着用・医療機関への受診など、これまでと対策が大きく変えられることになる。

そうした中で、介護施設等の面会・外出制限も緩和検討がされていくことになるが、それで感染症対策が終了ということにはならない。

新型コロナウイルス感染症は今後も起きるだろうし、それによるクラスター感染もゼロになることはないだろう。そうであるがゆえにBCP(事業継続計画)の中でしっかりとその対策を定め、それに沿った対応ができるようなシミュレーションを繰り返しておく必要がある。

それと共に、この3年間介護保険施設等で行われていた、「面会及び外出制限」が本当に正当な対応であったのか、そこに過剰な制限はなかったのかということを検証していく責任が、制限を行った当事者には求められてくるだろう。

今もなお面会・外出制限を行っている介護施設の当事者は云う。「そうはいっても、実際にクラスター感染を経験し、その苦労を知ったら制限不可なんて言えない」・・・そう主張する施設関係者は少なくないし、そうした主張はわからなくもない。
関門海峡
しかしクラスター感染の主たる感染源は職員である。面会制限下で、職員以外の出入りのないところでクラスター感染が発生していることが多いのである。

そうであるにもかかわらず、職員の感染予防対策・職員からの感染防止策を強化せず、利用者の面会制限だけだらだら継続するというのは本当に感染予防対策となるのだろうか・・・。どこかおかしな気がしてならない。

いわばそこで行われている制限とは、感染予防効果を高めるというより、何かしなければクラスター感染が再発するという恐れから逃れるための制限・・・つまり心理的効果にしかならない制限であるように思えてならない。

それが果たして正しいのだろうか。

人間にとって、自分自身の記憶にあることは、「体験」である。しかし記憶にない以前の出来事は、「歴史」である。

コロナ禍と、そこで行われた様々な対応は私たちにとっては体験である。しかし私たちが死んだあと、その時代に生きるコロナ禍を知らない人々にとって、今私たちがとっている行動はすべて歴史である。

月単位あるいは年単位にまで及ぶ介護施設等の面会・外出制限はどのような歴史として審判されるだろうか。過去に介護事業者内で行われた、「安全のための身体拘束」よりも、「非人間的な状態」だったと評価されないだろうか。

メディアも、この問題についてはほとんど報道していない。そうであるからこそ、私たち介護事業関係者自身が、自分たちがとった対策が過剰反応ではなかったかという自己検証作業が必要になる。

それが人の暮らしに介入する専門家の使命と責任ではないのだろうか・・・。

実はこの記事は、松山空港で更新している。先ほど新千歳空港から名古屋国際空港(セントレア)を経由して松山に到着したばかりである。

今日は松山市に泊まり、明日朝に久万高原町に移動して、午前と午後に渡って2講演を行う予定になっている。

そのうち午前中の講演は、「介護事業に携わる者の使命と責任〜選ばれる介護事業の条件」というテーマである。その案内文の一部には下記の文章が書かれている。
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(前半略)医療介護現場では変わらず、感染対策に伴った面会制限や面会自粛、地域との交流の減少等により、利用している方々も辛い日々が続いています。医療介護現場の職員も、終わりの見えない日々の感染対策と日常業務で心身ともに疲弊しています。ただここまで長期間に渡り、直接会えない、触れ合えない、どのようにケアしてもらっているかわからない、という異常な状況は、残された時間に限りある本人や家族からすれば「当たり前の暮らし」からはほど遠いものであることも理解しなければなりません。改めてwithコロナの時代において医療介護事業所に携わる者の使命や責任とはなんなのか?自分たちのケアや本人家族との関わりを見直す機会となることを目的に講演会を開催します。
-----------------------------------------------
この趣旨に沿って、講演会場に来場される方と共に、介護サービスの在り方を考えてきたいと思う。

歴史の評価を受ける前に、自分の体験を正しく評価できないものかと真剣に考えたいと思う。
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復活が待たれる地域住民向け終活セミナー


侍ジャパンやりました!!

3大会ぶりのWBC優勝おめでとうございます。ハラハラドキドキの僅少差のゲームで、僕はまともに生中継の画面が見られませんでした。感動をありがとうございます。

感動はずっと冷めやりませんが、それはともかく話を変えて、本題に入ります。

先週、職員研修会講師としてお招きただいた大阪府豊中市の、「アイテラス利倉」の施設長さんからメールが送られてきた。

その内容は下記の通りである。
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本日、運営(経営)会議があり、そこで理事長に、「次回は菊地先生に地域住民をお招きしての終活セミナーをお願いしたい。」と申し出ました。理事長も地域貢献のために、ぜひ実施してほしいと言われました。
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ありがたいお話であり、ぜひ協力したい旨返信した。

アイテラス利倉の施設長さんらとは、先日の研修会の後、天王寺でオフ会を行ったが、その時に地域住民を対象とした終活セミナーが復活してほしいという話をしていたところだ。

コロナ禍の直前は、「終活」という言葉が世間一般に広く浸透しつつあった時期で、全国各地で地域住民を多少とした終活セミナーが数多く開催されるようになっていた。

僕も様々な団体から終活セミナー講師としてお招きを受ける機会が増えていた時期で、「終活とは何か?」・「終活としてできること・やっておきたいこと」等をテーマに講演を行っていた。

例えば2019年1月には、長崎県県央保健所や長崎県県南保健所等の主催で、大村市・南島原市・雲仙市の複数の会場で終活セミナーと看取り介護セミナー講師を連日務めるなどしていた。

そこで行われた終活セミナーには、65歳以上の高齢者の方々も数多く参加してくださり、熱心に僕の話に耳を傾けてくださった。講演終了後の反響も大変大きく、次の年ももっとたくさんの地域住民の方々にお集まりいただけるように、継続して講師を務めることを依頼され、僕もその心づもりでいた。

ところがその直後に、予期せぬコロナ禍に見舞われたために、全国の会場講演は中止や延期になったことは周知の事実である。

特に高齢者の方々は持病をお持ちの方が多いため、コロナ感染は命の危険にさらされるとして、大勢が参加する場所に出向くこと自体が、「不可能」・「あり得ない」という雰囲気が出来上がり、高齢者対象のセミナーは全国的に開催されなくなった。

新型コロナウイルスの感染症分類が2類から5類に引き下げられようとしている現在でも、その状況に大きな変化はなく、高齢者の方々を対象としたセミナー開催はほとんど行われていないし、一部地域で行われているとしても参加自粛されている方も多いように思う。
終活セミナー
一方で我が国では、高齢化が進行する中で死者数は史上最多数を更新する状況が生まれている。高齢者の方々が、終活として行うべきことを考える時期は、待ったなしに迫っているといってよい。

そのために終活のできるうちに、その知識と機会を得て、終活を行うための時間には一刻の猶予もないといってよいのである。

僕が講師を務める終活セミナーを受けた方に中には、それをきっかけとして終活ノートを書いて、夫婦間でお互いの人生の最終ステージでの望みを確認できたことで安心したという方も多い。

終活ノートを書き終えたことで安心したと、涙を流される方も居られる。そんなふうに終活とは、人生の最終ステージを安心して生きるために必要な行為であり、自分の人生を悔いなく過ごすためのアイテムでもある。

そういう意味では、今後ウイズコロナの社会に転換していく過程で、高齢者の方々が受講できる終活セミナーが全国各地で開催されることを望みたい。

おそらくそのことを望んでいる地域住民の方もたくさん居られるだろう。その方々の願いが一日も早くかなうように、市町村をはじめとした関係諸団体が、終活セミナーを企画運営してほしいと切に願うのである。

そういた場所で講師としてお手伝いできれば幸いであるので、是非気軽にメール等で連絡していただくことをお願いしながら、今日の記事更新を締めたいと思う。

連絡は、あかい花公式HPの上部のグレー帯に表記されている方法でお願いします。

侍ジャパンのWBCでの復活のように、終活セミナーも復活させましょう。
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masaの日本酒道〜松山の日本酒Bar編


今日は春分の日・・・春はもうすぐそこである。

暦の上では今日は祝日であるため休みの人も多いだろう。ただしシフト勤務者の多い介護事業関係者は、カレンダーに関係なく働いている方が多いと思う。そういう方に感謝を込めながら、休みをとれる人は体と心をじっくり休めてリフレッシュしてほしい。

そんな祝日にWBC準決勝メキシコ戦を観戦して、劇的な逆転サヨナラ勝ちという最高の結果に、今まだ興奮状態が続いている方がたくさん居られるのではないだろうか。実は僕もその一人で、現在ユーチューブでハイライトを観て余韻に浸っている。

WBC決勝進出の祝いと、優勝祈念を兼ねて今日は、とっておきにお酒を嗜んでみるという手もあるのではないだろうか。・・・ということで今日は、久々の日本酒道としての記事更新をしようと思う。

四国の中で僕が一番数多く足を運んでいるのは愛媛県松山市である。今週の木曜日にも松山市にお邪魔する予定であるが、ここの繁華街である大街道周辺の一番町とか二番町とか言われる場所とその界隈にはずいぶん詳しくなった。

その大街道のアーケードからの向かい側から、ややお城よりに入った場所に素敵な日本酒Barがある。
松山市・酒独楽
酒独楽(さけこま)というそのお店を紹介してみよう。
酒独楽
カウンターとテーブル席が1つだけの店舗だが、カウンター前の冷蔵庫には豊富な種類の日本酒が並んでいる。
新政・NO6
この日僕が呑んだ一番値段の高いお酒がこれ。秋田県の新政(あらまさ)・純米吟醸No6。画像に映っているコップ1杯1.200円。なかなか手に入らないお酒だ。このお酒の特徴は酸味。「masaの日本酒道〜新政・純米生酒R-type No6」でも紹介しているので参照願いたい。

好きな日本酒ランキングで、常に上位に挙げられ、No1となることも多いのが栃木の銘酒・鳳凰美田(ほうおうびでん)
鳳凰美田・純米吟醸生詰
実は僕はこの日がこの有名なお酒の初体験・・・純米吟醸・生詰を呑んでみた。旨い。青リンゴを思わせるフレーティー感がある。しかし甘すぎず切れがあって、口の中からすっと消えていく感じ。酸味はほとんど感じない。そこが新政との大きな違いである。このお酒は1杯800円だった。
風の森&天美
このほかにこの日呑んだお酒は、奈良の風の森(かぜのもり)と山口の天美(てんび)。どちらも有名なおいしいフルーティーなお酒である。

この日呑んだ風の森は、お米の甘味旨味をぐっと感じるようなお酒。天美は、バランスが良いキレイなお酒。甘旨の後に少しの苦味を感じる。

お酒のあては、漬物が出てきたが、つまみ系の食べ物も乾き物を中心に何種類か用意されている。どれもお酒を脇役にしないような、おつまみと言ったもの。よって食事は別に摂ってくるか、メインの食事は後にして、食前酒を呑むつもりで来店した方が良いお店だろう。

僕は来年度も松山には最低3回足を運ぶ予定が入っている。おそらくそれ以上の回数松山市に訪れるだろうが、その際には必ず足を運ぼうと思うお店である。

ちなみに我が家にも、自分用のお酒が常備されているが、今現在手元にあるのは下記画像の通りである。
我が家に現在ある日本酒
酒呑みなら一度は吞みたいと思うお酒を揃えているので、是非呑みに来てください。
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介護労働実態調査を読んで考えたこと


昨年8月に公表された公益財団法人 ・介護労働安定センター令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要についてと言う資料がある。

公開時にざっと読んだ資料を今回改めて読み込んでみた。そのうえで考えたことがある。

この調査結果の中で様々な論評でよく取り上げられているのは、12頁の(図 16) 前職を辞めた理由 である。

ここではタイトルが、「前職を辞めた理由は収入よりも人間関係」とされており、人間関係のストレスで退職する人が多いことが強調されている。

しかし実際に数字を見てみると、「職場の人間関係に問題があった」という理由で退職している人は、18.8%である。

その数字は退職理由の2位、「自分の将来の見込みが立たない」15.4%や、退職理由3位、「収入が少なかったため」14.9%と大きな差があるわけではない。

しかも退職理由4位は、「他に良い職場・仕事があった」13.9%であり、退職理由5位は、「職場の理念や運営のあり方に不満」12.1%となっている。

この数字を見ると、実は退職者の多くは給料などの待遇に不満をもって、より待遇の良い仕事・職場を求めて退職しているのではないかと思えてくる。
本当の退職理由は?
そもそも退職者が辞める際、もしくは調査時に退職理由を正確に答える人が大部分であると期待してはならない。

例えば仕事を遂行するために必要な能力に欠けている人が、職場から間接的に退職を求められて職場をやめた場合に、自らの能力不足で退職を勧奨されたと答える人はまずいない。その場合の多くの人は、「職場の人間関係」を退職理由とする傾向にある。

給料が安いから辞めたとするのは、守銭奴と言われかねないから、とりあえず人間関係を退職理由にしておこうと考える人も少なくない。

そう答えれば、よくあることだと思われるし、それ以上突っ込まれることはないからだ。

だからこそ介護事業経営者は、「給料が他の事業者に比べて多少安くても、良好な職場環境と人間関係がありさえすれば人は集まる」なんていう幻想を抱いてはならないのである。

良好な職場環境と人間関係は従業員が集まり、定着する重要な要素ではあるが、それ以上にその職場で働く人の暮らしが成り立つ待遇を護るという意識が必要だ。何十年も働き続けても、自分一人の給料で一家を支えられずに、家庭を持つことさえ不安視されるという職場に人は張り付かないのだ。

経営者であるなら従業員が一家の主として家族の暮らしを支えられる給与を得ることを、最大目標として経営にあたるべきだ。それができずに経営者を名乗るなと言いたい。

同時に、「運営のあり方に不満」が介護事業者から退職する理由のベスト5に入ってくるのは何故かということにも思いを寄せてほしい。

介護事業者に就職する人は様々な動機づけを持っているとは思うが、少なくとも介護福祉士養成校に入学する人の動機付けのNo1は、「人の役に立てる仕事に就きたい・介護は人の役に立つ仕事だから」というものなのである。

そういう人動機付けをもって介護福祉士となり、巣立っていった学生は、人の役に立たない介護の実態に触れてバーンアウトしてしまうのだ。それが、「運営のあり方に不満」という理由の際たるものである。

機械的作業に終始して、介護サービス利用者を人として見ないような介護の仕方、年上のサービス利用者の方々に対する失礼極まりない言葉かけや荒々しい態度・・・そういったものがすべて、「あってはならないおかしな運営」と感じられて、仕事のストレスとなり、志の高い若者が辞めていくのである。

そういう理由で辞めてしまう人ほど、将来優れた人財となり得る可能性を持つ人々なのである。

介護業界は、そんなふうにして貴重な宝を失いながら、いつも介護人材不足に悩み続けているのだ。

その歴史をいつまで繰り返すのだろうか・・・。
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99人の馬鹿と対峙する一人の正義


慢性的な人材不足が叫ばれる介護業界であるが、介護職員数は毎年増え続ける右上がりのグラフ上の中にある。

現在も毎年わずかではあるがその数は増えているのだ。しかし要介護者の数の増加スピードに、介護職員の増加スピードが追い付かないために、介護職員の数はいつも足りず、将来的に必要とされる推定人数の確保も難しい状況になっている。

具体的に言えば、介護保険給付の対象となる介護サービス事業に従事する職員数介護職員の数は、介護保険制度が始まった2000年に54万9千人であったものが、2017年は195万1千人までその数を増やしている。

これだけたくさんの介護職員が増えているのだから、玉石混淆ぎょくせきこんこう)となってしまっており、介護職員と一口に言っても優れたものと、つまらない者が入り混じってしまっているのが介護業界の特徴だ。

そのことが介護業界全体の民度が向上できない大きな原因ともなっている。
心に残る風景
その中でも特に問題なのは、介護サービスを利用されている方々が、「顧客」であるということが理解できず、自分たちが介護のプロとして、介護という行為で生活の糧を得ていることを意識できない馬鹿者どもの存在である。

その者たちは顧客に対して平気で、「ため口」で会話したりする。

そのことを注意しても、まったく修正しようとしない輩どもの理屈とは、『介護は人と人が向き合って暮らしの支援をする職業なのだから、あまり丁寧な態度にこだわり過ぎると、利用者に堅苦しさを感じさせることになる。』というものだ。

おいおい世界一ボキャブラリーが豊富な日本語は、丁寧な言葉であっても相手に心地よく緊張感を感じさせることなく伝達ができるんだぞ。丁寧語を使って堅苦しさを感じさせるのは、伝え方が貧しいからではないのか。丁寧語を使いこなせず、ぎこちない口調になるから、相手に堅苦しいと思われるんだろう。その低すぎるコミュニケションスキルを何とかしろよ。

すると、『関係性ができていれば、表面的な言葉遣いに注意する必要はない』と開き直る馬鹿もいる。

僕たちと利用者の関係性って何よ。家族でもなければ友達でもないぞ。あくまでサービス提供者とお客様の関係性でしかない。それは家族や友人のように、遠慮ない対応やぞんざいな言い回しでも許される関係性ではない。だからこそ介護のプロとしてお客様に接した際に、お客様に少しでも不快な思いをさせないような心遣いが求められるのであって、そのために最低限、「丁寧な言葉遣い」で相対することが求められているのだ。

そんなこともわからない輩は、『家族のように親しみを持ってもらわねばならないのだから、くだけた言葉遣いも必要である。』とも言う。

何度も言うように、僕たちは介護のプロとしてお客様に接しているんだ。そこでは家族のように親身になって相対することは求められても、家族そのものになることは求められていないし、疑似家族化することも許されない。介護のプロとして節度のある対応が求められているのだ。そもそも言葉を崩してしか親しみを表せないボキャブラリーの貧困さを恥じろよ。

ため口を直そうとしない輩は、ため口を親しみを感じさせる表現だと勘違いしているが、ため口とは、「敬語を使わず、なれなれしく話すことで、相手と対等な立場であることを表す口調」である。

タメ口は親しみを表現する言葉遣いではなく、なれなれしいだけなのである。その言葉を年下の者が年長者に使ったり、サービス提供者が顧客に使うことは、「失礼な言葉遣い」ということになるのだ。このことの理解がない輩が多すぎる。

家族そのものにはなれない介護従事者が、介護支援の場で利用者に関わるときに求められる態度とは、家族と同じ遠慮ない態度ではなく、介護のプロとしての態度である。信頼のおける知識と技術に基づいた介護支援と接遇ができることなのに、知識も援助技術も拙い輩が、口の利き方だけ一丁前(いっちょうまえ)に装っておるのは、滑稽を通り越してみじめでさえある。

そしてそのような無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。そのときに、「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後ではなんの免罪符にもならないことを忘れてはならない。

だからこそ相手から誤解されない対応の基盤となる、「サービスマナー」の視点と姿勢を持ってお客様に相対する必要がある。対人援助のプロとして、いつでもどこでもマナーをもって接することができるように訓練する必要がある。コミュニケーション技術は特に重要なのである。

対人援助のプロとは、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいなければならない。

対人援助が真の意味で利用者の方々の暮らしを豊かにするために、サービスマナーに注意して顧客対応を行う必要がある。そのことを常日頃から実践できている人は、たとえ自らが少数派で、多数派のいわれなき非難や弾圧に見舞われても心を折らないでほしい。
  
例え99人の馬鹿がいても、正義を貫く人間が一人いれば決して間違った世の中にはならない。そういう人間が一人もいなくなった時、日本の介護は終わる。

そのことを忘れず、誰かのあかい花として咲き続けてほしい。
※菊地雅洋にインタビュー!「これからの地域包括ケアシステム後編その2」(最終回)。地域包括ケアシステムを担う訪問介護から小規模多機能、福祉用具、新複合型サービスまで幅広く各事業について語りました。リスクマネジメントに有効にも拘わらず、まだ整備できていない施設が多いというマストアイテムとは?下記参照ください。

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適材適所を怠ると逆ハラスメントが生まれる


僕は今、新千歳空港の「JALさくらラウンジ」でこの記事を更新している。

今日は午後から大阪伊丹空港に飛んで、空港近くにある豊中市の、「アイテラス利倉」で講演を行う予定になっている。

アイテラス利倉さんは、小規模多機能型居宅介護を併設した地域密着型特養で、僕が大阪で仕事がある際に、伊丹空港の到着もしくは同空港からの発着前後の時間を割いて、何度も職員研修としての講演を行っている施設さんである。

今回も、明日の大阪市老連の講演に備えて、大阪に前日入りするため、フリーの時間がかなりできたために講演を行うこととなった。

過去に行った講演はサービスマナー・看取り介護・介護従事者の使命と誇り、施設サービス計画に基づいたケアのあり方など多様であるが、今回も新しいテーマで講演を行うことにしている。

今日午後4時から行う講演テーマは、「介護事業におけるハラスメント対策と従業員のメンタルヘルスケア」であり、これは施設長さんから直接依頼を受けたテーマである。

先日もハラスメント予防研修の重要性について記事にしたが(参照:ハラスメント対策=指導教育できない職場では困る)、今日は別な角度からこれに関して論じておきたい。

ハラスメントの中には、「パワーハラスメント」と称されるものがあるが、この一般的な定義は、「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」とされている。

パワハラは必ずしも上司が部下に対して行う行為とは限らない。部下が束になって上司の命令や指示を無視するという形で、「職場内の優位性」を得て、部下から上司へ向かう行為として現れる場合がある。このことに対する十分な配慮と注意も事業者責任として求められるのである。

例えば北海道小樽市の社会福祉法人では、2010年5月からうつ病を発症し休職と復職を繰り返していたことで、休職中の2012年7月に解雇された女性課長が、解雇無効と損害賠償を求めて裁判に訴えたケースがある。

女性は2009年4月から、「課長」に任命され勤務していたが、「部下から暴言などを受ける一方、法人が適切な対策を講じなかったため、うつ病を発症した。」と訴えたものである。

この裁判はすでに原告勝訴で結審している。被告である社会福祉法人には、7年5か月在籍分の給与支払いが命じられたのである。
暗中模索
この結果を僕はある意味恐ろしく感じる。

統率力がなくて部下をまとめることができないということが、自分のスキルの問題であったとしても、そのことが原因でうつ病を発症した責任は事業者が負わないとならないことになるからだ。

しかし役職に任命した人物が、上司としての務めを果たす能力に欠けることが分かっても、一旦任命してしまった役職なのだから、簡単にその任を解くわけにはいかない。本ケースのような職員の場合、そのことは不当降格だと訴えかねないからだ。つまり本人が望まない限り簡単に役職を解くことは難しいのである。

そのため、統率力が発揮できていないことを知りながら、だらだらと役職に縛り付けていた結果、部下の統率がうまくいかないことに悩んだ役職者が、精神的に病んでしまった責任は事業者がとらねばならないということになる。

こうした矛盾というか迷走に対して、どこで折り合いをつければよいのか非常に難しい問題といえる。

どちらにしても管理職に任命した当事者のスキル問題が、部下からのパワーハラスメントに置き換わってしまう恐れもないとは言えないことを念頭に置いておく必要がある。

つまりこの裁判ケースからの教訓とは、「上に立つ人材選びにも、相応の事業者責任があり、その任に堪えないものを、経験年数だけで選んでしまった場合に、想定外の問題を生じさせかねない」ということではないだろうか・・・。

今後の介護事業においては、今以上に適材適所の人材配置という考え方が、経営者や管理職に求められてくるように思う。

特にチームをまとめるリーダー役の配置は、介護事業者の明暗を決定づける重要な問題と考えて、より慎重に人材選びに努めねばならないだろう。

人手が足りないからと言って、わずか3〜4年の経験しかない職員を、いきなり管理職につける介護事業者も少なくない。しかし正しい人事評価を伴わない抜擢は、組織を崩壊させるもとになりかねないのだ。

このことを介護事業経営者は、強く肝に銘ずるべきである。
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本物のケアマネジメントとは繋ぐこと


現役の介護支援専門員の方々の中に、将来ケアマネジメント業務は、「AIによるケアプラン自動作成」にとってかわられるのではないかと懸念する人がいる。

しかしそんな心配はないと言い切っておこう。

現行で国が推奨しているケアプラン作成ソフトは、実際にはケアプランを自動作成するものではなく、ケアプラン作成支援ソフトでしかない。作成担当者にヒントを与えるために第2表を例示するに過ぎないのである。

しかもその内容たるや首をかしげるものも多く、このソフト作成担当者と、それを推奨する国の担当者が、いかにケアマネジメント実務からかけ離れたところで、AIをいじくっているに過ぎないことがよくわかる。

所詮、官僚とかSEといった介護の専門家ではない素人がいじくりまわしているに過ぎないのだ。対人援助のプロたる者が恐れるに足る相手ではない。

それが改善されて、将来的にケアプランが本当に自動作成されたとしても、それだけではケアマネジメントは完結しない。

ケアプランは単に、利用者の暮らしの維持・改善に有効な社会資源をつなぐためのツールに過ぎないのだから、ケアプラン自動作成ソフトが介護支援専門員のケアマネジメントに替わることは不可能なのである。

ケアマネジメントの本質は利用者に社会資源をつなぐ過程で、揺れ動く利用者の感情に寄り添って、その時点で必要な精神的支援を図りつつ、感情の揺れや、その感情の根本となっている思いにしっかり対応することである。機械にはそれは不可能である。

逆に言えば、介護支援専門員がその資格に胡坐をかいて、単なるケアプランナーに陥り、利用者の感情に寄り添いながら、利用者と様々な社会資源をつなぐという仕事をさぼっていたとしたら、感情がなく不快な思いをさせない機会によるケアプラン作成の方がましだと言われかねなくなる。

そうならないように、利用者の暮らしぶりが良くなったと、利用者本人が自覚できるケアマネジメントに努めてほしい。

大事なことは、ケアプランを作成することをケアマネジメントと思い込まないことと、自分の抽出した生活課題の解決目標が達せられておりさえすれば、ケアマネジメントはうまくいっていると勘違いしないことだ。

感情ある人の暮らしに寄り添って支援する職業では、何より利用者本人の満足度が重要なのだ。ケアマネジャーが良かれと思う結果が出たとしても、それに利用者が満足できなければ成功とはいえないのである。

それが良い暮らしというのです。」なんていう価値観の押し付けほど、利用者にとって鬱陶しいものはないのである。

ケアマネジメントは、利用者に最もふさわしい社会資源をつなげる仕事である。

その過程では、私たちの思いを利用者につなげて、利用者の感情を私たちの感性につなげる必要がある必要がある仕事なのである。

この過程を怠けてはならない。この過程を大切にしなければならないのである。「繋げるが命」と呪文のように唱えて、日々の実務に当たるべき仕事がケアマネジメントなのである。
さくらそう
雪解けの大地に可憐な花を咲かせる、「さくらそう」のように、誰かのあかい花になるために、「繋げるケアマネジメント」を忘れないでほしい。

主役はあくまで利用者自身である。ケアマネジャーはわき役になる必要もない。わき役はケアマネジャーがつなげる誰かであっても良いのだ。

私たちは表舞台の陰で、黒子に徹する役割を果たすだけでよいのだ。

私たちの影さえ見えない状態で、利用者の笑顔が前面にあふれているケアマネジメントが、一番優れた方法論といえるのかもしれない。
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北海道はでっかいどう


コロナ禍で感染者数の発表が毎日行われるようになった当初、「北海道の感染者数は〜」という言葉が耳に入ってくるたびに、大いなる違和感を覚えた。

確かに北海道は、都道府県別にみると一地域だ。しかしその広さは半端ではない。九州や四国が各県別に感染者数を出しているのに、北海道は各振興局ごとでもなく、(札幌市という政令指定都市も含めて)道全体をひとくくりにしてその数を公表しているのだから、感染者の数が他県に比べて多くなるのは当然であると思ったものだ。

例えば北海道に住んでいる人であっても、流氷を見たことがない人は多いのではないだろうか。

僕が住む道南地域や、札幌市に近い道央地域に住んでいる人は、道東と言われる網走や北見にしか接岸しない流氷なんて、それを見る目的で時期を選んで現地を訪れないとまず見ることはない。そのため流氷を一度もみないまま一生を終える道産子だって少なくないのである。

それほど北海道内でも地域差はあるという意味だ。生活習慣だって異なることは、道内で七夕を祝う日が、7/7の地域と8/7の地域に分かれることでもわかろうというものだ。

ちなみに北海道の総面積は8,342,444ヘクタールで、日本一の広さである。2位の岩手県の1,527,501ヘクタールとの異常な差が、その広さを物語っていると言えるだろう・・・。

そんな北海道であるから、道内移動も半端な距離ではない。海を超えずに移動できるといっても、空港のない地域も多いので、陸上移動時間も半端ではなくなる。

僕は昨日から中富良野町というところに滞在している。今日仕事が終わった後に、登別に帰る予定であるが、実際にどれだけ移動時間が長くなるかということを、昨日と今日の僕の移動行程表から実感していただきたい。
(13日の移動行程)
行きの行程
(14日の移動行程)
帰りの行程
どちらの行程も、その時間帯で最短でたどり着けるルートを選んだ。

中富良野町は富良野市から北側に14キロ離れた場所に位置する。北海道地図でいえば左下の海岸線に位置する登別市からJRで中富良野町に行こうとすると、こんなふうに最寄駅からでも5時間かかってしまうのである。東京23区内への移動なら飛行機の搭乗待ち時間を入れても4時間以内で着くことを考えると、中富良野町の方が遠いと言いたくなってしまう。
※フジテレビのドラマ、「北の国から」でおなじみの富良野市は、北海道のちょうど中央に位置する。へその位置にあるところから「へそ祭り」が毎年開催されることでも有名だ。

やっぱ北海道は、でっかいどうなのである。

ということで今日は、中富良野町で介護事業におけるサービスマナー講演を午前と午後に分けて、同じ内容で2回行っている。入れ替わりでできるだけ多くの職員さんが受講できるようにするためである。

こんなふうに、直接会場で多くの皆さんと触れ合って話をさせていただけるようになったことがうれしい。

4月に入職する職員の教育役となる職員全員が、この時期に介護事業におけるサービスマナーの在り方を確認しておくことが重要であるし、リアルタイムに僕の話を聞いて、空気もそこで感じて思いをつなげることは伝達研修やオンライン研修とは違った思いが生まれるだろう。

というか、そういう効果が出るように伝えなければならない。ここは講師としての僕の伝達力が問われるところだ。

午前中の講義は先ほど終わったばかりなので、午後からも気合を入れて話をしたいと思う。そして中富良野町に、誰かのあかい花になる種をたくさん撒いていきたいと思う。
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社福法人の屋台骨を揺さぶる勢力


2024年度の介護保険制度改正では、2027年度以降の改正に向けた様々な布石がちりばめられている。

例えば、介護保険制度の見直しに関する意見(2022/12/20)の28頁、(財務状況等の見える化)では以下のように記されている。
-----------------------------------------------------
・医療法人の経営情報に係る検討状況も踏まえ、介護サービス事業者の経営状況を詳細に把握・分析し、介護保険制度に係る施策の検討等に活用できるよう、介護サービス事業者が財務諸表等の経営に係る情報を定期的に都道府県知事に届け出ることとし、社会福祉法人と同様に、厚生労働大臣が当該情報に係るデータベースを整備するとともに、介護サービス事業者から届け出られた個別の事業所の情報を公表するのではなく、属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表することが適当である。その際、介護サービス事業者の事務負担等に十分に配慮する必要がある。
-----------------------------------------------------
このように社会福祉法人や障害福祉サービス事業所が法令の規定により事業所等の財務状況を公表することとされていることを踏まえて、2024年度以降は、社福以外の全介護サービス事業者にも同様の財務状況を公表する義務を課すことになる。

このことについて社福関係者の中には、この変更が社福にはあまり関係のないことで、新たに義務を課せられる社福以外の事業者の問題でしかないと思っている人が多い。

しかしその考えは間違っている。

このルール変更は、今後の社会福祉法人に大きな影響を与えかねない変更である。というよりむしろ社会福祉法人の屋台骨が外されてしまう大改革につながりかねない問題だと僕は思う。

なぜならこのルール変更によって、社会福祉法人とそれ以外の事業主体の差が縮小されたことになるからだ。

公益法人としての社会福祉法人は、他の経営主体よりもより高い倫理観で経営を行うよう、様々な義務を背負って運営されている。そのため財務状況を公表するという意味は、公益法人として公費を適切に支出していることを明らかにするという意味もあった。

しかし財務状況の公表が、全事業主体に広がったという意味は、その部分で民間営利企業との差が縮まったということになる。その意味をもっと深く考えてほしい。
制度の光と闇
この結果を受けて、社会福祉法人は何のために非課税という恩恵を得られているのだという声が挙がりかねない。というより財務諸表の公表を全サービスに広げようとする意図の一つは、そこにあるということだ。

2016年の社会福祉法改正の際に、その議論の中で社会福祉法人の非課税特権はなくしても良いのではないかという意見が出された。その時は、社会福祉法人の公益性は変わっていないとして、非課税廃止論は否定され、社会福祉法人の屋台骨と言える非課税は護られたわけである。

しかしそうした議論がされるということは、社福の非課税特権が未来永劫続くとは限らないことを意味している。

その勢力の際たるものが財務省であることは容易に想像がつく。

そうした財務省の思惑に沿って進められている介護保険制度改正と報酬改定のところどころに社会福祉法人の非課税特権をはく奪する布石が隠されているというわけである。その圧力を跳ね返す力を社福は持ち続けられるのだろうか。・・・厚労省は既に腰砕けではないのか・・・。

そうした厳しい状況を理解したうえで、社福の屋台骨である非課税特権を護ろうとするなら、公益事業であることを強く意識した事業経営が求められることは必然である。

低所得者に対する社会福祉法人の軽減措置を実施していない社福は、その看板を下ろして退場してもらわねばならないし、社福を舞台にした不適切ケア・虐待事件が起こるなんてもってのほかである。

非課税特権に甘えて危機感のない社福経営者は、現状把握をし直して足元を固めるべく、まずは公益性をしっかりと地域住民にアピールできる経営に心掛けてもらいたい。
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失われた命を忘れない


今朝、僕は揺れを感じて目覚めた。朝5:12に北海道で最大震度4を観測するやや強い地震が発生したためである。

しかし僕が住む登別市は震度1でしかなかった。もう少し大きな揺れのように感じたが、気のせいだったのだろうか・・・。

そういえば今日は3.11である。東日本大震災が起きてからもう12年も経つのだと思い出した。

こんなに月日を重ねているのに、まだ3万人以上の人が避難したまま故郷に帰ることができていないそうだ。それによって地域社会が崩壊したままの状態のところもあるのだろう。

家族・親族・友人・知人を失った人は、12年という歳月はその悲しみや苦しみを和らげてくれる期間ではなかったのかもしれない。むしろ哀しみは深まるばかりだと感じている人も多いと思う。
3.11は祈りの日
僕はあの日、九州新幹線開業を翌日に控えた福岡で2つの講演を行っていた。そのため地震と津波の発生を知ったのは、その日の夕方であった。

僕が講演中に、被災地では一瞬のうちに亡くなられた方がたくさんおられる。その中には介護事業に従事している最中に亡くなった方、介護サービスを利用している最中に亡くなった方も含まれている。

僕の知り合いであの震災で亡くなった方はおられないが、だからと言って他人ごとには思えない。同じ国に生まれ、同じ国で生き、同じ国で将来に思いを馳せていた人が数多く、その未来を一瞬のうちに絶たれているのだ。

そのことを決して忘れてはならないと思う。
失われた命を忘れない
この画像は、僕が講演中に上映している動画スライドの1枚である。動画自体は各地域でその都度変えて、様々なスライドを使っているが、このスライドだけは全国どの地域でも必ず使っている1枚である。

僕たちはできないことが多すぎる。あの震災で亡くなられた方や、大切な人を失った人の哀しみや苦しみに直接寄り添うことはできないし、その心を癒す術も持たない。

唯一できることは、その方々の哀しみや苦しみを理解しようとすることだ。月日を重ねても深まるばかりの悲嘆の心を理解し、その方々に心ひそかにエールを送ることだけは続けていきたい。

上のスライドに書いたように、あの震災で亡くなられた方々が、生まれ変わるときに、またこの国に生まれ、またこの国で暮らしたいと思えるような日本を創りたい。できるかどうかは別にして、その努力だけは続けていきたい。

それがこの世で、決して大きなことはできない私たちの務めではないかと思う。

今日はそうした思いを改めて嚙みしめながら、亡くなられた方々、大切な誰かを失った方々に思いを馳せて祈りを捧げる日である。・・・合掌。
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ハラスメント対策=指導教育できない職場では困る


ここ最近、「介護事業におけるハラスメント対策」をテーマにした講演依頼が増えている。

その理由は、2021年の基準改正ですべての介護事業者に職場内のハラスメント対策が義務付けられたからだろうと思う。

そしてそのテーマの講演依頼が、僕に舞い込むという意味は、僕が社会福祉法人の総合施設長であった当時から、この問題に取り組んで実績を挙げていることを知る方が多いからだと思う。

もともと介護事業者の職場内ハラスメントが問題になってきたのは、介護保険制度が施行された2000年頃からである。

1999年に旧厚生省が、職場のストレスがメンタルヘルス不調の原因となることを認めたということに関連して、職場のストレスの一つに、「ハラスメント」が挙げられたことから、その予防対策が介護事業者でも大きな問題になった。

僕が社福・特養の相談室長から施設長に就任したのは2002年・42歳の時である。ちょうどその時期は、職場内セクハラは事業者責任として防止に努めなければならないという機運が大いに盛り上がってきた時期だった。

そこで問題となっていたことは、職場内でのハラスメントとは何ぞやという根本的な問題である。

パワハラモラハラの区別さえ十分な認識がなかった当時、上司が何か指導すればすなわちそれがハラスメントであると非難される傾向があった。
黄昏の海
男性上司が、女性部下に職務上必要な注意をするだけで、「セクハラ」と非難され、十分な教育指導ができかねる雰囲気も漂いつつあったように記憶している。

僕はその状況はおかしいと考えた。きちんと教育指導とセクハラの違いを従業員に理解してもらわないと、せっかく僕が舵を取ろうとしている特養のサービスの品質保持にも支障が来すと思った。

その為、知り合いの弁護士等の知恵と力を借りながら、自分自身でハラスメントの勉強をし、ハラスメントの定義をきちんと理解したうえで、ハラスメントにならない教育的指導の在り方を法人内に知らしめる努力をした。

その過程で、「教育指導という場面では、部下の成長を期待して、良い方向に導くための叱る行為は、必要不可欠な場合がある」・「感情的に怒ることしかできない人は指導者に向かないが、ハラスメントと非難されることを恐れて、部下を叱ることができない人も、指導者としての適性がない」と確信した。(参照:教育的指導とハラスメントはどう線引きすればよいのか

このようにして僕は法人内で、「職場内ハラスメントとは何ぞや」という定義づけを行い、正しい教育指導の在り方とハラスメントを区分したうえで、職員にそのことを周知した。

ハラスメント対策をしっかり取ったうえで、職員育成の教育システムも機能するような体制作りをしたのである。

このようにハラスメントの予防対策を取りながら、かつしっかりとした職員教育システムも創り上げた法人のトップとしての評価が、ハラスメント防止講演の講師依頼に結びついているのだろう。

だからその経験をわかりやすく伝え、実務に生かすことができる講演を行うように努めている。

同時に2021年基準改正では、ハラスメント対策の中に、「カスタマーハラスメント対策」を含めることも義務付けられているので、僕が今まで顧客からの理不尽なクレームから、自法人の従業員を護るために、防波堤役として行ってきたことも紹介している。

ハラスメント対策が機能する環境で、職員の育成につながる教育システムも機能している場所では、サービスの品質が担保されるし職場環境も良くなる。そのため職員の定着率も高くなるのである。

そういう意味で、ハラスメント予防に関する研修は重要になるのである。

近直では3月16日(木)に大阪市で、「介護事業におけるハラスメント対策と従業員のメンタルヘルスケア」というテーマの講演を予定している。

こうしたテーマで、なおかつ介護事業者の実務に生かせる講演講師をお探しの方は、是非一度相談していただければ幸いである。連絡方法は、「北海道介護福祉道場あかい花」の公式サイト上の方に記載してあるので、確認していただきたい。

まずはお気軽に相談メールを送ってくださればと思う。
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命綱を切る介護であってはならない


先月、道内旭川市の住宅型有料老人ホーム「グレイス神居」で虐待行為が発覚した。

虐待と認定された内容とは、下記の行為である。
・2021年5月から22年9月の夜間に複数回、職員が1フロアの入居者約10人の居室のナースコールを鳴らない設定にし、介護を放棄した。
・2021年の夜間に数回、職員が一部の居室でドアの取っ手の下に外側からテーブルを置き、ドアが開かず入居者が自由に出られないようにした。


虐待の発覚は市民情報だったそうだ。そのため旭川市は昨年9月から今年1月にかけて監査を行い、運営会社に2/3付で老人福祉法に基づく改善命令を出している。(参照:旭川市福祉保険部指導監査課の命令文

施設側は、「虐待などの意図からではなく、利用者が勝手に外に出てケガをしないようにと考えての事だったと思う」と苦しい言い訳をしているが、部屋に閉じ込めることがそのような理由で正当化できるわけもなく、ましてやナースコールを切った理由にはならない。

同社は今月3日に謝罪文書を入居者家族に送付し、3月中に説明会を開くとしている。
グレイス神居
虐待のあった有料老人ホームは住宅型であり、特定施設の指定を受けた介護型ではない。その為比較的介護の必要性が薄い人が入所しているのではないかと思われる。しかし利用者にとって、何かあった際のナースコールは、「命綱」であることは、どのような施設であろうと、どんな状況であったとしても変わらない。

そのコールを受けないようにすることは、介護を放棄したしたというだけにとどまらず、利用者の方々の身を護ることを放棄したということに等しい。場合によってはそのことは命の危険に及びかねない。

この有料老人ホームで虐待が起こった時期は、ちょうどコロナ禍から1年を経た時期である。このころ各地の介護施設・居住系施設では面会制限が長期化し、世間一般の目が届かない状況が当たり前になり、密室化することでなんでもありの状況が生まれかねないのではないかという懸念が生じていた時期でもある。

果たしてこのホームの運営会社、ホームの管理者・職員に世間の目が届かないことによる感覚麻痺が生まれてはいなかっただろうか。制限をできることを当たり前と考えることによって生じた不遜な考え方が、不適切な行為に結びついてはいなかったのか・・・。

虐待とは無縁と思える他の介護関係者も、コロナ禍による制限ありきの介護事業経営・運営の中で、「介護の常識は、世間の非常識」という状況が生まれていないかという検証作業が早急に求められるのではないか。そんなことを考えざるを得ない。

それにしても介護施設等の、「ナースコール」・・・。ほかに呼び名はないものだろうか。

医療機関と異なり、その通報は看護職を呼び出すものではなく、多くがケアを求めるコールだ。

その中には、「寂しいの、私のそばに誰か来て」という願いにも似た心の叫びが含まれている。だからこそ「ナースコール」という乾いた響きの呼称ではなく、利用者の心の叫びが伝わる言葉で表現した方が良いのではないかと思ったりする。

かといってケアコールでは芸がない。何か良い言葉はないものだろうか。

良い言葉・新呼称を思いついた方は、是非コメントをお願いしたい。
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科学的介護にたどり着く見込みはあるのか?


本格稼働してからもうすぐ丸2年を迎える科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence:通称LIFE(ライフ) )。

ご存じのようにこのシステムを開発したのは東芝であった。しかしシステム運用がうまくいかないことに業を煮やした厚労省は、去年の4月時点で東芝を切り捨ててしまった。

その後任を担い、現在その運用を行っているのはNECである。

現在はNECがLIFEのシステム改修をしながらデータを解析して、正式なフィードバックに結びつけようとしている最中である。しかし未だにフィードバックの正式版は行われていない。

正式版フィードバックがいつ行われるかの見込みも立っていないが、2024年度の報酬改定では、現在LIFE関連加算のない訪問介護・訪問看護・居宅介護支援等にもLIFE関連加算を新設する予定であるし、その他のサービスについてもLIFE関連加算をさらに増やそうとしている。

しかしフィードバックが正式にできない状態でLIFE関連加算を拡充しても、科学的介護の実現なんて図ることが可能なのかという疑問が出されるだろし、同時にそのようなLIFE運用に対して、情報を送り続ける介護事業者からは不満と批判の声が噴出することも予測されるために、正式版フィードバックは、なんとしても来年度中(2023年度中)に行うことができるように、NECの担当者は躍起になっていることと想像する。

ところでLIFEに登録した介護事業者は、専用ページからログインすると、操作マニュアル等LIFEの入力方法に関するQ&Aに入ることができる。

ここの最新アップデートは、昨年の11/15に行われている。

そのQ3-3は、「LIFEへの情報提出及びフィードバック情報は、どのように活用すればよいか」という質問で、これに対する回答は、「PDCAの推進及びケアの向上を図る観点から、LIFEへ提出した利用者の状態の評価結果等の情報等を活用することとしている。具体的な活用方法については、LIFEから今後提供される事業所単位・利用者単位のフィードバック票を活用するほか、利用者状態の評価結果を踏まえ、各施設において検討を行い、ケアに役立てるなど、様々な方法が考えられる」としている。

・・・おいおい・・・これって責任転嫁というか責任放棄じゃないのか・・・。
LIFEスケジュール
※画像は、国のLIFEスケジュール表に、僕が吹き出しをつけて作成した講演スライド。

この回答は、「LIFE関連要件は情報を提出するとともに、解析されフィードバックをPDCA活用しなければならないものであるが、フィードバックはまだできないので、提出情報を事業所で何とか読み取って検討して、科学的根拠をそっちで見つけてよ。」という意味でしかない。

LIFEに情報を送る手間だけ介護事業者に負わせて、それは読みとれないので、あんたたちで何とか読み取ってエビデンスを見つけてよと、介護事業者に丸投げしているのである。ひどいもんだ・・・。

このことに関して、「重要なことは、LIFEからのフィードバック票を活用することではなく、PDCAサイクルをしっかり回してケアに役立てていくことだ」と論評する向きがある。・・・しかしその考え方もどうかと思う。

なぜなら、「PDCAサイクルをしっかり回してケアに役立てるための科学的根拠」をLIFEに提出した情報の解析によってフィードバックするはずだったのに、それができていないからだ。

そのように結果につながる因子を示さない状態では、PDCAサイクルをしっかり回してケアに役立てる共通の根拠が存在しないからだ。

勿論、介護施設・事業所が介護のエビデンスを創り出して、それを情報として発信することは大事だ。それは否定できない。

しかしLIFEというシステムに莫大な費用をかけ、なおかつそこに情報を送るために介護事業者に多大な業務負担をおっわせているのだから、そちらのフィードバック票を頼るなという言い草はないだろうと思う。あまりに身勝手すぎる。

こんなQ&Aを出さねばならないことを考えると、科学的介護の実現性は極めて低いと言わざるを得ないのではないだろうか・・・。
※菊地雅洋にインタビュー!「これからの地域包括ケアシステム後編その2」(最終回)。地域包括ケアシステムを担う訪問介護から小規模多機能、福祉用具、新複合型サービスまで幅広く各事業について語りました。リスクマネジメントに有効にも拘わらず、まだ整備できていない施設が多いというマストアイテムとは?下記参照ください。

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介護という職業の誇りを奪い取るもの


3月は巣立ちの時期である。様々な場所からこの国の明日を担う人々が巣立っていく。

僕が介護福祉士養成校で教えた若者たちも、希望を胸にして社会人として、今まさに巣立とうとしている。

そんな彼らの姿をみながら、彼らの夢や希望がかなえられると同時に、この国の未来の介護を支える人材として育ってくれることを願っている。
福寿草
雪解けの道に、美しく力強く咲く福寿草のように、彼らが誰かのあかい花になることを祈るような気持ちで眺めている。

しかし残念なことに、卒業生が全員、就職した職場で美しく咲き続けてくれたことはいまだかつてない。

志半ばで夢をあきらめて職場を去り、介護業界からも去ってしまう人がいる。

介護という職業が、人の役に立つ誇りの持てる職業だと思っていたのに、就職したその場所で、先輩職員の仕事ぶりを見て、そうではなかったと幻滅して辞めていく若者が少なからず存在するのだ。

そうしてリタイヤしていった卒業生が、僕のもとを訪ねて嘆く言葉とは、「利用者をまるで物のように扱って、仕事も全部流れ作業のようになっている」・「人生の先輩に対する口の利き方を知らない〜赤ん坊や幼児に対する言葉かけをする人がいるのに、誰も注意しない」というものだ。

将来、人材人財となり得る素質を持つ若者が、先輩職員のタメ口にストレスを感じて介護業界を去ってしまうのだ。

この悪しき状況を何とかしたいと思い、サービスマナーについて様々な場所で講演を行っている。テーマがサービスマナーではなくとも、正しい言葉遣いで介護サービスを利用するお客様に接するように訴えている。

例えば先日も、「看取り介護講演」の中で、「旅立つ人をどんな言葉で送りますか?」と問いかけた。

今特養で問題になっているのがこの問題だからだ。看取り介護対象者は、死期が迫っていることを周囲の人が認識しているのだから、普段面会に来たことがない遠い親戚もお別れに面会に来るのだ。その時、若い介護職員のあまりに失礼な言葉遣いに憤慨して、「どうしてこんなところで、ばあちゃんの最期の時間を削り取るの!!」と憤慨してトラブルとなるケースが多いのだ。

普段職員の馴れ馴れしい無礼な言葉に憤慨しても、それに慣れてしまって、文句も言わないキーパーソンとは異なり、お別れのために初めて施設を訪れる親戚は、年下の従業員のあまりに失礼な言葉遣いに憤慨することが多いのである。

ところがこうした指摘をしておなおかつ、その講演を受講した人がアンケートで、「私自身は、利用者と関係性を構築するうえで、方言やフランクな言葉遣いも必要だと考えている」と記している人も居る。

こういう底辺クンが居なくならないからこそ、介護という職業の誇りを感じ取れなくなる若者がなくならないのだ。

フランクな言葉遣いと言うが、自分がそう思っていても相手にとって失礼な言葉遣いと感じられてしまうのが崩し言葉だ。その点、マナーがある丁寧な言葉は、だれしも不快に思わないし、相手や状況によって使い分ける必要もない言葉である。

私たちと利用者の関係性とは、あくまでサービス提供者と顧客の関係性であり、言葉を崩してフランクに話しかけて構築する関係性ではない。そもそも世界一ボキャブラリーが豊富な日本語は、丁寧語を使っても、親しみやすさを伝えることができるし、方言だって丁寧語は存在するのだ。

例えば熊本のある特養で働く職員は、利用者に対して、「〜よかですか?」と丁寧は方言を使いこなし、利用者に目線を合わせて真摯に対応していた。

こうした人たちと比較して、いつまでも崩し言葉でしか、親しみやすさを伝えることができないコミュニケーションスキルの低い底辺クンの存在が、介護を底辺職業に貶めているのだ。

そうならないように、相手から誤解されない対応の基盤となる、「サービスマナー」を身に着けてほしい。

そしての記事の締めとして、次の言葉をすべての介護関係者に送りたい。

どうぞ、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいてください。
旅立つ人をどんな言葉で送りますか
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処遇改善加算はどう変わるのか


厚労省は1日、介護職員処遇改善加算特定処遇改善加算ベースアップ支援加算の計画書・実績報告書の新様式を公表した。

昨年10月にベースアップ支援補助金が加算に変更されたことによって、介護職員等の処遇改善に関わる加算は3種類となり、ますます複雑な構造になると同時に、その算定に関する申請・報告等の事務作業が煩雑すぎると介護事業者から悲鳴が上がっていた。

今回この事務作業の負担軽減・簡素化を狙って計画・実績報告の様式を変更したものだ。

新様式の計画書では、前年度との賃金額比較が省略されている。今年度の賃上げ見込み額が、3種類の加算それぞれの見込み額を上回ることを確認するのみでよくなっているため、この部分では事務作業の軽減が期待できる。

実績報告書についても、前年度との比較は加算ごとではなく、3種類の加算一体での計算とするように変えられている。具体的には、「今年度の賃金総額」から「3加算による賃上げ額の合計」を引いた額を前年度と比べ、加算以外の部分で賃金を下げていないことを確認するだけなので、ここでも事務作業は軽減される。

また複数の事業所を運営する法人の場合、計画書と実績報告書はともに、賃金総額や賃上げ額などの事業所ごとの記載を不要とし、法人単位での確認と変更されている。これも事務処理軽減につながるだろう。

このように計画書・実績報告書の作成事務自体は、従前より軽減されているように思え、介護事業者にとって歓迎すべき方向であるといえる。

この新様式に対応するため、来年度の計画書の提出期限は4月15日まで延長されている。
※実績報告書は各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までで、従前と変更はない。

ところでこの3種類の処遇改善加算については、2024年度介護報酬改定時に統合・一本化が図られる予定である。
(※処遇改善加算等の取得要件である職場環境等の要件について、生産性の観点から見直しを検討するともされている。)

しかし配分ルールが異なる3種類の処遇改善加算を一つにまとめる作業は、決して簡単ではない。

現在、加算配分されている職種の中で、新加算になった後に配分される金額が上がったり、逆に下がったりということが起きて、利益を受ける人がいる反面、不利益を受ける人も出てくるだろう。
カイゴと働くを考えるフォーラムin北海道
※画像は4日に行われた、「カイゴと働くを考えるフォーラムin北海道」の会場に集まってくれた仲間との集合写真。地域で活躍されている達人ケアマネと呼んでよい方が多数含まれている。これらの人たちが新処遇改善加算の恩恵が受けられる改善であってほしい。

さすれば今後の変更は統合・一本化ではなく、現行の処遇改善関連加算が廃止され、新たな処遇改善加算が新設されると考えた方が良い。そのうえで新ルールに基づいて、従業員の皆様には配分を見直すことになるので、その恩恵を受ける人と、不利益を被る人に分かれることを今のうちから説明しておくことで、混乱と不満は最低限に収まるのではないだろうか・・・。

その時に一番恩恵を受けるのは誰だろうか・・・。その答えは、「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和4年12月20日・社会保障審議会介護保険部会)の(1)総合的な介護人材確保対策の23頁にある。

そこでは、「他業種や外国人材といった多様な人材が参入する中、多様化・複雑化する介護ニーズに対応するためには、介護福祉士を介護職グループをマネジメントするリーダー的存在として育成するため、介護福祉士個人の専門性を評価する仕組みなど職場におけるキャリアアップや処遇の改善につながる仕組みを検討することが重要である。」と書かれており、介護福祉士有資格者に加算配分が手厚くされる可能性を示唆している。

また2/21にアップした、「ケアマネ待遇改善が明記された厚労省資料」で指摘したように、ポスト 2025 年の医療・介護提供体制の姿(案)の7頁に、「ケアマネジャーの待遇改善」が明記されていることから、今まで処遇改善加算配分の蚊帳の外に置かれていた居宅介護支援事業所の介護支援専門員への配分も可とされると予測する。

そして岸田政権の政策を考えたときに、新たな処遇改善加算は、現在の3本の加算を合計した加算率よりさらに高くなる可能性が高いと思う。

以上が現時点での僕の予測である。皆さんの予測はどうだろうか・・・。
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人材が定着できる職場づくりは待ったなし


年度末の3月に入り、何かとあわただしい日々を送っている人が多いだろう。

介護事業の決算処理はまだ先になるが、この時期は何より新年度に向けた準備に忙しく立ち回る時期である。

その準備になかには、新たな事業計画作りも含まれてくるし、何より大事なのは新年度に入職してくる職員の受け入れ体制づくりである。

教育訓練を含めた受け入れ体制が整備されていない事業者では、職員の定着率は低下することが証明されている。介護人材不足が叫ばれる折、縁あって募集に応募して採用まで結びついた人材が、短期間で離職してしまうことは大損失である。そうしないための対策はされているだろうか・・・。

特に毎年せっかく入職した人材が、短期間で辞めてしまうことが繰り返されている介護事業者は、その根本原因を探って改革を急がねばならない。そうしないことには、いつまでも介護職員の定着率は向上せず、そのことがいずれ事業を継続することを困難にする最大のバリアになりかねないからだ。
冬の支笏湖
介護福祉士養成校の卒業生も4月に大勢介護事業者に入職してくるが、養成校で学んでいる学生は、「介護の仕事は、人に役立つ仕事だ」という思いで入学し、学んでいた学生である。

そのような卒業生は2年間の学生生活で、いろいろな悩みを抱き、壁にぶつあたりながら、介護福祉士として人の役に立ちたいという思いを捨てずに頑張り続けた人たちである。

そうして巣立っていった卒業生が、入職して間もない時期に、「介護の仕事が人の役に立つなんて言うのは嘘だった」と言ってやめてしまうケースがある。しかも毎年、決して少ないとは言えない人数の卒業生が、同じような理由で短期間で介護業界から去っていく。

それはなぜか・・・。OJTと称された、先輩の尻に金魚の糞のようについて歩かされる業務指導の中で、指導者たる先輩職員が、介護サービス利用者を教材のように扱い、人として接している様子が見えないだとか、機械的対応に終始して温かみが感じられないだとか、利用者を物のように扱って冷たい態度で傷つけているといった理由で、毎年数多くの介護福祉士が辞めているのである。

このことは介護業界全体の大損失だと僕は思うのである。

しかしその一方で、定着率が高く、学生にも人気がある介護事業者がある。そうした職場は、介護職のリーダーがきちんと利用者に対して丁寧な接遇を行い、部下である介護職員に日常的に接遇指導をしている。

そのような職場に運よく就職できた卒業生は、生き生きとした表情で働き続けている。介護という職業を通じて、人の役に立つ人間になろうという熱い思いを捨てずに、自分がもっと人に役立つ介護職になりたいとスキルアップの動機づけも持ち続けている。

そういう意味では、サービスマナー意識の浸透度合いが、人を育て人を定着させる職場環境につながると言っても過言ではない。利用者に対する接遇の向上と、介護職員の定着率の向上はリンクしてくるのだ。

だからこそ今この時期に、サービスマナー研修を徹底したい。利用者の尊厳を護ることを建前にせず本音にする職員教育を行うことが不可欠だ。

対人援助のプロとして求められる人権意識を確立するためには、「家庭的で親しみやすい介護」などと言いながら、マナーのない無礼なタメ口対応を許すような体質を残さないようにすることは最も重要である。

人事評価には、そうした視点を入れなければならない。それが真に求められる労務管理だ。

介護事業者におけるサービスマナー意識を浸透させ、接客から接遇への意識改革ができるサービスマナー講演を希望される方は、是非メール等でご一報願いたい。

連絡先は、あかい花公式サイトの上部・グレーの帯部分に記載しているので、まずはお気軽に相談の連絡を入れていただきたい。
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masaのラーメン道・松山鯛塩ラーメン


僕は昨日、松山〜名古屋〜新千歳と移動し、自宅のある登別に夜7時過ぎに還ってきました。すると出かけたときより気温が上がって雪解けが進んでいます。春は確実に近づいていますね。

そんなホンワカした気持ちになったので、今日は固い話題を避けて、久々にラーメンレポートを行いたいと思います。

今週の仕事は、愛媛県松山市での講演から始まりました。そこで珍しいラーメンに出会いました。

松山入りした27日夜、夜ご飯のお店をどこにしようかと大街道周辺を徘徊したいたところ、「瀬戸内吟醸らぁ麺」という変わった看板を発見。
ニシキ イワモト・マツヤマ・ラーメンバー看板
その日は月曜で定休日だったのか、お店は閉まっていましたが、ここは夜、食事もできる「ニシキ イワモト・マツヤマ・ラーメンバー」という名のお店だということがわかりました。

しかもネット検索したところによると、ミシュラン愛媛ビブグルマンに載ったラーメン屋さんでもあるとのこと。
※ビブグルマンとは?=星は付かないながらコストパフォーマンスが高く、良質な料理を提供する飲食店・レストラン(3,500円以下で良質な料理を楽しめる)お店の認証。

お昼は11:30〜13:30の2時間営業とのことで、翌日(28日)昼をそこで食べようと思い、営業開始10分前に店にたどり着きました。
瀬戸内吟醸らぁ麺
ニシキ イワモト・マツヤマ・ラーメンバー入口
しかしお店の前には、すでに6名ほどの先客がいて、その列に並ぶこと10分。開店と同時にカウンターに案内されました。

お店は、こわもてのマスターと可愛い女性店員さん2名で回している様子。ラーメンはマスターが一人で作っており、1回に6名分ずつのラーメン作りがオペレーションとなっているようです。

そのため7人目に入店した僕は、第2グループの先頭的な位置づけで、しばらくカウンターからラーメン作りを鑑賞しながら、着丼を待ちました。マスターのラーメン作りの姿は、なかなか手際のよい、流れるような美しいものでした。鯛の身が網であぶられているのが特徴ですね。
メニュー
一番人気は、鶏塩らぁ麺・寿。ほぼ8割の人がこのラーメンを味玉トッピングで注文していたので、僕も右に倣えしました。

そしていよいよ着丼。
鯛塩らぁ麺・寿
美しいビジュアルです。あぶった鯛の香りもしっかり漂っています。
鯛塩らぁ麺・寿、麺リフト
麺は細麺ストレート。灌水を極限まで抑えた白っぽい麺です。細麺だけど歯ごたえも結構あります。
鯛塩らぁ麺・寿
具は白髪ねぎと水菜の下に、太切りメンマが隠れていました。チャーシューは意外としっかりした豚ももの焼き豚です。煮卵は半熟ゆで卵といった感じで、味はあまりついていませんでした。でも黄身までしっかり温かかったのは秀逸です。こういうところにも丁寧さが表れています。

鯛塩というだけあって、鯛の出汁がしっかり出ています。ベースの塩味も上品な味わいで、辛すぎず甘すぎずちょどよい塩味です。鯛の香りもしっかり漂うおいしいラーメンでした。それと、ゆずの皮が少しだけ入っており、これも程よく香っています。良い仕事していますねと、柚子をほめてやりたくなります。

北海道の濃厚な味噌ラーメンもおいしいけれど、松山にしかない鯛塩ラーメンは、また別のおいしさです。もしかしたら両者は別の食べ物と考えたほうが良いかもしれません。同じラーメンジャンルでは括り切れません。

どちらにしても松山に来たら、試しに一度は味わっておきたいラーメンではないでしょうか。ごちそうさまでした。また来ます!!

でもマスター・・・少し雰囲気が怖すぎです。
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ケアマネの新しい役割と可能性


3日間の松山滞在を終え、今日いったん北海道に戻る予定です。

しかし今月23日にはまた松山に戻ってきます。24日の久万高原町講演に備えて松山に前日泊する予定が入っております。すっかり馴染みとなった大街道周辺は、再訪したい店も複数あり、次の楽しみにしておきたいと思っています。

今回松山でお愛した皆さん、ありがとうございました。

さて北海道に帰った後は、1日だけ自宅で休養して、4日(土)に札幌で行われる産業ケアマネフォーラムに備えて、3日(金)から札幌に滞在し、前夜祭〜フォーラム〜反省会とあわただしい日程が入っています。
※前夜祭も反省会も、ただの呑み会ではないかという突っ込みはご遠慮願います。・・・当たってるけど。
カイゴと働くを考える会
介護離職が大きな問題となってる我が国において、自分が所属する法人・事業所を超えて、介護支援専門員が一般企業の従業員の介護課題を解決する役割が重要となってくることは間違いのないところです。

この役割を果たすことはすなわち、介護支援専門員の仕事の領域を広げることにもつながっていくのです。

将来独立して介護支援事業所等を立ち上げようとする方々にとっては、本業を補完する副業としても有力な業務となり得るのが、「介護と働くの両立支援」です。

そのことを啓蒙する貴重なフォーラムの紹介動画として、僕のインタビューもユーチューブにアップされています。

このほか公式ホームページでは、現在、産業ケアマネジャーとして活躍している方々のインタビュー動画もアップされています。

産業ケアマネとはどんな資格なのか、どんな社会活動をしているのかを知りたい方は、ぜひそちらも注目していただきたいと思います。

このフォーラムは会場開催と、オンライン配信の両方をカバーするハイブリッドフォーラムです。フォーラムへの参加申し込みは、こちらの文字リンクをクリックしてください。

介護支援専門員をはじめとしたソーシャルワーカーの可能性を広げ、活躍の場を広げるためのフォーラムにぜひ参加してください。会場で、もしくはオンライン画面を通じてお愛しましょう。

そして今後につながる、「見えない絆」でつながり愛ましょう。
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特養DXは夜間オンコールの外部発注から


昨日から僕は愛媛県松山市に滞在し、ホテルの一室でこの記事を更新している。

今日はこの後、愛媛県社会福祉会館で行われる、「愛媛県老人福祉施設協議会・総会」の中で講演を行う予定になっている。講演テーマは、「介護保険制度改正から考える今後の介護事業経営への影響と対策」である。

この総会での講演は3年ぶりだ。それまでは3年続けて総会にご招待を受け、様々なテーマで講演を行っていたが、コロナ禍で総会自体ができなくなっていた。今年その場が復活したことを心から喜んでいる。

さて今回お話しする制度改正に関しては、過去以上に問題となっている介護人材不足対策についても触れる予定だ。

必要とされる人材確保が困難となっている現状から、国は介護の生産性向上をテーマにして、介護DXなどを図って、今までと同じ人数をかけない介護人手を減らしても同じ結果を生み出すことができる介護の実現を目指している。

それが本当に可能なのかは不透明で不確実な部分が多すぎるといえる。しかし要介護高齢者の数が増え続けるのに、生産年齢人口が減って、全産業で人手が不足する中で、介護人材だけが必要数を確保することは不可能なことは確実なのだから、今と同じことをしていては業務が回らなくなることはわかりきっている。

そういう意味で、現行の介護業務の見直しと改革は必要不可欠である。
しだれ梅
例えば仮に僕が今、特養の施設長に復帰するとしたら、絶対に行おうと思う業務改善策がある。

それは夜間の看護職員のオンコール対応の改革である。この部分をアウトソーシングして、看護職員の夜間待機をしなくてよくしようと思う。

看護職員が夜勤を行っている特養では、オンコール対応の必要性はないが、特養で看護職員の夜勤体制を敷いているところは、全体の1割にも満たない。つまり9割以上の特養が、夜間看護職員のオンコール体制を敷いて対応しているということになる。

しかしこのオンコール・・・様々なトラブルのもとになり、オンコール待機している看護職員、オンコールで連絡する夜勤者(介護職員)双方にストレスがかかる結果となりやすい。それによってバーンアウトする職員も生まれてくるのだ。

そのことについては、「夜間オンコールのアウトソーシングを考える」で詳しく解説しているので、そちらを参照してほしい。

この体制をアウトソーシングするだけで、夜勤者(介護職員)は遠慮なく、細かいことでもオンコール看護職員に尋ねることができ、アドバイス受けることができる。

また施設看護職員が対応しなければならない事柄が生じたと判断されれば、コールセンターで夜間連絡を受ける看護職員から、施設看護職員へ直接連絡することになるので、夜勤者のストレスは大幅に削減できる。

またオンコール待機する必要のない看護職の精神的負担も大きく減ることになる。

こうした考え方を示したうえで、夜間介護業務の負担軽減につながる福祉用具・介護用品にも触れて、各施設・事業所独自の方法で可能な限りの業務改善に努めることを促す予定である。

なぜならこの部分については、国として何ら具体的な対策・対応がされていないし、今後もする気がなさそうだからである。

そんなふうにして、実質的に介護人材対策は介護事業者に丸投げされていることを理解せねばならない。
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地域包括ケアシステムの実態


僕は今、羽田行きの搭乗待ちで、新千歳空港の搭乗口でこの記事をアップしている。

明日行われる、「愛媛県老人福祉施設協議会・総会」で講演を行うためのフライトである。北海道から松山までの直行便は、コロナ禍以来休止されているので、羽田や大阪などを経由しての移動となる。

今回の講演は、「介護保険制度改正から考える今後の介護事業経営への影響と対策」をテーマに、経営者の皆様に最新情報をお届けしたうえで、その分析を行う予定である。

制度改正のテーマの一つには、「地域包括ケアシステムの深化」も含まれているため、改めて地域包括ケア研究会の報告書を読み直して復習してみた。

すると結構意味不明な内容が書かれてることに気づく。特に自立支援の概念は、意味不明な迷路に陥ったような解説文に終わっている感がある。そのことについて考えてみた。

高齢者分野を出発点として改善を重ねてきた「地域包括ケアシステム」は、「地域共生社会」を実現するための「システム」「仕組み」であることが、地域包括ケア研究会 報告書 -2040 年に向けた挑戦(平成28年度)で示されている。
※この報告書以
以降は、あらたな報告書は作成されていないので、現在これが最新版と言ことになる


その14頁には、「自立支援は心身機能の改善ではなく、高齢者の尊厳の保持のためにある」というタイトルが付けられて、自立支援の考え方がまとめられている。

その内容を確認してみよう。

「自立支援」はこれまで以上に注目されているが、その意味するところが、単に心身機能の改善ではないという点には注意が必要である。自立支援にせよ、高齢者の尊厳にせよ、共通しているのは、「高齢者本人の意思に基づいている」ことである。したがって、本人への意思決定支援がまずは強調されるべきであろう。

本人の意思を無視した自立支援は意味がないということだろう。そりゃそうだ。

寝たきりの状態になっても、今までできていた生活動作などができなくなっても、本人の意思決定のもとに行われる自分らしい生活を支援する取組が自立支援であり、心身機能の向上は、あくまでも自らがしたいと思うこと(目的)を実現するための手段にすぎない。

心身機能の向上とは別な意味で、自立支援が存在するということか?寝たきりになった人の、心身機能の向上とは異なる希望・意志に基づく自立支援っていったいなんだ?この文章の意味を正確に説明できる人はいるだろうか・・・。

自立を狭く理解し、「自分でなんでもできる状態」のようにとらえれば、支援プログラムそれは、本人の意思に基づいたものではなく、単なる強制的なトレーニングのような介入になってしまうだろう。一方で「本人が希望しない」からといって支援をしない放置に近い対応も不適切である。2040 年に向けて地域包括ケアシステムが目指している最終目的は、あくまでも本人の(表出しない潜在的なものを含む)意思に基づく生活への支援であると確認すべきである。

運動機能に特化して、リハビリ・機能訓練を強いることが自立支援ではないということを言いたいのだろう。そして表出されている希望をニーズと勘違いせず、本人の気が付いていない潜在的ニーズまできちんとアセスメントしようということだろう。

・・・だからどうだっていうのだろう?ここに書いてある内容をしっかり理解することで、地域共生社会の実現に繋がっていくというのだろうか。

むしろ僕は、地域包括ケアシステムという言葉を使って、自立支援をあおってきたことで、高齢者の方々から、「あんまりだ」という悲痛な声が挙がっていることに対し、自己批判をしている文章にしか思えない。
冬の支笏湖
例えば和光式方式の、「介護保険からの卒業の強制」なんかは、高齢者の悲痛な声につながる誤った地域包括ケアシステムの典型例だったろう。(参照:高齢者からお金を騙し盗る人が推進した介護保険からの卒業

どちらにしても声高らかに誕生させられ、深化が強調されてきた地域包括ケアシステムは崩壊の一歩手前まで来ている。このシステムが、お伽話化しているという人も居るほどだ。

なるほど、このシステムの中核機能を成す地域支援事業の実態を見ても、それは介護給付と切り離して単価を安くしたサービスに過ぎず、その実態は介護給付サービス事業者に委託事業として、サービス内容も丸投げしているものがほとんどだ。

地域住民のニーズとか、地域性などに配慮したサービス内容なんてどこにもないのが実態である。

しかしそのような地域包括ケアシステムであっても、介護保険制度を根拠にした介護事業を展開していく限り、私たちはそのシステムがあるものとして、国のお飾りのような考えに付き合っていかねばならない。

地域包括ケアシステムを機能・深化させるという建前に付き合って私たちは仕事をし、事業戦略を立てていかねばならないのである。

その為には建前に隠れている本音を見抜きく視点が求められてくる。

国の音頭に乗って踊るふりをしながら、隠されている利権のおこぼれでも良いから、そこからしっかりと収益を上げていかねばならない。それが事業と従業員を護る唯一無二の考え方だ。

それに関連して、僕のインタビューが先週土曜日からユーチューブ配信されている。

配信元は、「弁護士 外岡 潤が教える介護トラブル解決チャンネル」である。

テーマは「これからの地域包括ケアシステム」。土曜日にアップされている部分は、ケアマネージャーに求められる役割と「質」とは?・通所と訪問の組み合わせ新事業の可能性・絶滅しつつある訪問介護への対策などであり、これから数回アップを重ねていく予定であると思うので、是非空いた時間に視聴していただければありがたい。
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死を忌み、死を恐れる意味に寄り添う介護


僕は今、羽田空港のラウンジでこの記事を更新している。

今日は夕方18時から20時までの予定で、埼玉県の大宮で講演予定が入っているため、北海道から飛んできたところだ。

真冬の当日移動ということもあり、多少の遅れが出ても講演に支障がないよう、朝早い便で新千歳を立ったが、少し早く着きすぎたようだ。そのため羽田空港で食事を摂りながら少し時間をつぶして大宮に向かおうと思っているところだ。

今日の講演テーマは、「看取り介護実践の基本」である。新設のサ高住のオープン記念講演として新設施設を会場にして行われる講演であるが、サ高住のオープンスタッフのほかにも、近隣の介護事業関係者が集まってくれる予定になっている。

看取り介護というと、「」をイメージする人が多いと思。しかし僕は看取り介護とは、「生きる」を考えることが最も重要だと思っている。
看取り介護
命の期限を切られた人が、人生の最終ステージをどう生きるのかにスポットを当てて考えなければならないと思うのである。

死を恐れる人は少なくない・・・というより人が死を恐れないひとは、稀な人といってよい。

しかし死を回避できると思っている人はいない。誰しもがいずれ自分は死の瞬間を迎えることを知っている。

そうであるにもかかわらず、人が死を恐れるのは何故か。それは自分が死ぬことそのもの・死ぬ瞬間を恐れるというより、死につながる時間を、辛く苦しく過ごすことを恐れているという意味ではないのか。

そのことは、「ピンピンコロリ」を望む人が多いことでもわかる。

ピンピンコロリ とは、 健康寿命 の長さを言い表した表現で、「 病気 に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリと死ぬこと、または、そのように死のう」という標語である。 略して PPKともいう。

また、「ぽっくり信仰」を崇拝している人も昔から存在する。それは長患いして寝たきりになり、下の世話までされることなく安らかな死を祈願する祈りでもある。

そのように人は、死に至る過程で自分が苦しむこと、自分の愛する家族に迷惑をかけることを恐れているのではないのか。・・・僕自身はそんな気持ちが強い。

看取り介護は、そのような人の傍らに寄り添い、人が最期の瞬間まで尊厳を持つと同時に、生きる喜びを感じることができることを信じて、そうした生き方を支える介護ではないかと思う。

最後の瞬間まで安心できるように、安楽な状態で寂しくさせないように・・・。そのために寄り添う介護が求められているのではないだろうか。

そもそも対人援助とは、誰かの人生の一部分に深く関わるという意味であり、高齢者介護とは、誰かの人生の最晩年期に関わるという責任があるのだから、私たちは看取り介護を、「する・しない」、「できる・できない」と判断するのではなく、日常介護の延長線上に、ごく普通に看取り介護の実践があって当然であると考えるべきだと思う。

今日はそういう話をしてくるつもりである。大宮でお愛する皆様、どうぞよろしくお願いします。
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