masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

伝統・風土という名の組織動脈硬化



走りながら考えるとしてスタートした介護保険制度・・・その制度創設から今年は25年目の年に当たる。

四半世紀という月日が、まだわずかと考えるのか、もうそんなにと考えるのかは人それぞれだろう。

しかし戦後初めて我が国の社会保障制度が抜本的に構造改革され、高齢者福祉制度も新たなかじ取りがされたという大改革という意味においては、25年という月日はさして長いものではなく発展途上だ。

その中で、どのような歴史を持つ事業主体であったとしても、介護保険制度に則ったサービス提供は、長くとも25年しか経験を持ってないといえる。まだまだ若造だ。

このように介護保険制度はまだフレッシュで、様々な改革の余地があるといってよい。

特に昨今は、毎年増え続けていた介護職員数が初めて前年比を下回り、介護人材不足は益々深刻化している。

しかも25年前に他産業・他職種から転職して介護職となった、当時働き盛りの40歳だった人が65歳=介護保険の1号被保険者に達することになるため、介護人材不足の加速度は一気に高まるといってよい。

そのような情勢下で、介護生産性向上の必要性が増すわけであり、そのために介護サービスの場で使うことができるICTやAI搭載機器なども日々進化している。それに対応しなければならないのが現在求められる介護事業経営戦略である。

ところがそうした情勢変化に対応しきれていない介護事業者が少なくない。その理由が組織の風土という名の得体のしれない縛りであったりする。

求められる変革の中には、結果がどうなるか不透明というものばかりではなく、確実にこうなる・間違いなく良くなるといものもあるのに、それをわずか四半世紀の歴史でしかない風土が邪魔するのである。

ICTを使いこなせば、連絡業務は時間と手間を大幅に減らすことができるにもかかわらず、引き継ぎは必ず対面で口頭で行わねばならないとか、その場で行って完結する内容の連絡も必ず文書で残さねばならないとか、逆に申し送り事項は口頭で行って書面引継ぎは許されないとか、わけのわからないルールにがんじがらめになって身動きが取れない事業者が存在している。
伝統文化
時代の流れに流されない揺るぎなき伝統文化も、時には大事になるけれども、仕事の仕方にそのような伝統も文化も必要ない。

そもそも状況の変化や制度改革に対応して仕事のやり方を変えないというのは、伝統ではなく、それはしがらみそのものである。

そこは転換を図っていかなければならない。

ある広域型施設では、職員不足に対応するために、会議をすべて担当するフロアから参加できるようにした。介護職員は自分が担当するフロアのサービスステーションから、ナースはナースステーションから、相談援助職は相談室からというふうに、会議室に集まらずに職員会議等を行うようにした。

その結果、会議のために一同が介するための移動時間や待ち時間が無くなり、時間と業務負担の削減につながるだけではなく、会議室が不必要になった。

そこで会議室をラウンジに改装し、ドリンクサーバーを設置し、従業員は無料でフリードリンク出来るスペースにした。それによって職場環境が改善するにとどまらず、業務時間を終えた後にもラウンジに集う職員が増え、そこで業務に対する様々な意見が交わされて、ケアの品質向上へのモチベーションがアップする結果ももたらした。

こんなふうに組織風土も伝統も、良い方向に変えていくことが大事なのだ。

だから今日も僕は、あるコンサル先で組織風土を打ち壊し、伝統という名のしがらみを消し去ることために戦っている人を後押ししている・・・勝利はもう目の前に近づいている。
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事業規模拡大のリスクマネジメント



僕は今、広島県呉市に向かう途中、羽田空港で乗り継ぎ便待ちの真っ最中である。

今日午後6:30〜新日本造機ホールで行われる株式会社・西日本電工社主催サービスマナー研修講師を務める予定になっているための移動である。

広島県では過去に、広島市で複数回・尾道市と三次市で各1回講演を行ったことがある。

しかし呉市にはまだ行ったことがなく、今日が初めての訪問となる。とはいっても今日は広島空港に到着後、リムジンバスで呉入りして講演を行い、一泊した後、明日は呉駅発午前8時台のバスに乗って広島空港に向かわねばならないので、呉市内を観光している暇はない・・・ほとんど素通りという状態なので、せめて今晩の懇親会(講演主催者の方々との夕食会)を愉しんで来ようと思っている。

今日の講演テーマは「介護事業におけるサービスマナー」。僕が全国で何度も行っている講演テーマであるが、それは今非常に重要なテーマとなってきている。
ひまわりの約束
なぜなら今後の介護事業においては、従業員の介護サービス利用者に対するサービスマナー意識のある・なしによって、事業経営の命運が左右される度合いがさらに高まるからだ。

介護人材不足が解消しない中で、今後20年間に渡って要介護高齢者の数は増え続けるため、介護市場自体はまだまだ成長産業だ。

人手がさらに減る中で、増え続ける要介護者にサービスを提供し収益を挙げるために、人材を柔軟に配し、生産性を向上させ効率よく事業を回さねばならない。その為には事業の多角化を図って適材適所に人員を回していく必要がある。その為にも事業規模拡大は必須だ。

だがいくら生産性を向上させても、介護という仕事の性格上、人手をかけなければならない部分が多く、事業規模を拡大するに比例して従業員の数は増やさねばならない。その中に、「介護福祉士資格を持った鬼畜の所業」で解説した容疑者のような人物が紛れ込んでいたら大変なことになる。

今後の介護事業経営に必要不可欠とされる事業規模拡大には、こうしたリスクが伴うのだ。

事業経営者や管理職は、そのような従業員を決して雇わず、まぎれていた場合は早急に排除するという考えを持たねばならない。数合わせの人材確保だけは禁忌なのである。

そして雇用した従業員には徹底的に、「介護サービス利用者は顧客である」という意識づけを行い、顧客に対する礼儀を欠いてはならないとするサービスマナー教育を行い、その意識を浸透させなければならない。

そのことがより重要になってくるのである。

今巷では、弁護士資格を持っている方々が、ローンの過払い金対応が減っていることで、新たな収入源を探しているそうだ。

その際に医療訴訟は専門的過ぎて、時間も掛かりターゲットにはなりずらい・・・しかし介護事業における虐待・不適切ケアは容易に認定ができ、しかも数も少なくないと思われている。

それって介護事業にとって相当のリスクではないのだろうか・・・だからこそ不適切ケアから虐待、人権侵害事件に繋がらないリスクマネージメントが求められる。

虐待してはならないということは誰もがわかっていることだ。にもかかわらず事件につながるような虐待がなくならない理由は、そもそも顧客サービスとしての体裁を整えていない介護事業者が多いからだ。

そうならないように介護サービス利用者が顧客であるという意識を叩き込み、そこでは顧客に対するサービスマナーが求められるという意識を培い、さらに介護という職業の使命や誇りとは何かということを知らしめて、お客様に喜ばれる介護サービスの方法論を伝えなければならない。

つまり介護事業におけるサービスマナーを実効性あるものにするには、介護事業を知悉する対人援助の実践者が、その実績に基づいて具体例を伝える必要があるのだ。

今日はそういう実効性ある介護事業におけるサービスマナー講演を行う予定だ。どなたでも参加できるということなので、今から参加したいと思う方は、株式会社 西日本電工社さんに連絡してみてはいかがだろう。

呉市でお愛する介護関係者に向けた動画も作成してきたので、下記参照願いたい。

それでは呉市の皆様、夕方講演会場で愛ましょう。
CBニュースの連載記事・快筆乱麻masaが読み解く介護の今(114)が6/30更新アップされました。
快筆乱麻・masaが読み解く介護の今
今月のテーマは、「信頼を失いかねない介護事業での人権侵害」です。文字リンク先を参照ください。
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主治医意見書取得ルールの見直しがもたらすもの



今週月曜日(6/30)に開催された社保審・介護保険部会では、主治医意見書の取得ルール見直しが議題として挙がり、了承された。(資料

それによると、要介護認定の申請者にあらかじめ主治医意見書を入手してもらい、申請時に申請書と一緒に提出してもらえるよう行政の運用ルールを一部見直すとされている。

云うまでもなくこれは、長期間の認定遅れに対応するものだ。主治医師意見書の取得遅れによって、更新認定審査や区分変更審査が遅れ、要介護状態区分が決まらない宙ぶらりんの状態に置かれる介護サービス利用者が多数存在することに対する対策である。

そうならないように申請者自身に、申請時に主治医意見書も同時提出させようというのである。
たそがれ
介護保険法上、申請者が申請前に主治医意見書を入手することを妨げる規定はないが、厚労省の通知では、主治医への意見書の作成依頼から回収まで、一貫して市町村が担うことが記されているため、全国の92.3%が主治医師に意見書の提出を直接依頼しており、申請者から事前に主治医に意見書作成を依頼させている市町村は7.5%しかないそうだ。(このうち2.9%の市町村は、主治医から入手した意見書を申請者が保険者に提出していた。

その為今後は、申請者が主治医意見書を事前に取得し、申請時に提出できることを運用ルール上で明確化することによって、行政の事務手続の弾力化にもつながるとしている。

ただし主治医意見書の事前取得や申請時の同時提出は、「あくまで提出方法の一つ」にしか過ぎず、前提条件ではないと厚労省は釘を刺している。

とはいってもこうしたルールが明示された以後は、申請者が主治医意見書を事前取得し、申請時に提出させる市町村が確実に増えるだろう。

それによって認定遅れという問題が解消に向かい、申請者のメリットになるのだろうか・・・僕はそう思わない。

市町村という行政機関が医師に依頼してなお、意見書をなかなか書かない医師が、(認定申請する)患者から直接意見書記入を頼まれたからと言って、その重たい腰を簡単に上げるとは思えない。今まで市町村に遅れて届いていた意見書が、依頼した患者の基に遅れて届くという状態に変わるのが関の山だろう。

それ以上のデメリットも生みかねない。それは居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)の仕事が増えるというデメリットだ。

現在介護認定の更新認定や区分変更認定の申請を誰が行っているかを考えてほしい。申請者自身が行っているケースは全体の1割にも満たず、ほとんどが代行申請だろう。しかも30日の介護保険部会では、現在代行申請が認められていないGHや小規模多機能居宅介護等にもこれを認めるとし、反対意見はなかった。

すると今後ますます申請代行が増えることになるが、居宅サービス利用者の多くが居宅ケアマネが申請代行することになる。その際に市町村によっては、申請時に医師意見書を同時に提出しなければならなくなる。つまり申請代行を行う居宅ケアマネが、医師に依頼し意見書を書いてもらって、それを医療機関から受け取ったうえで申請代行することになる。

これは大きな業務負担増加だ。申請代行は利用者に費用請求できるが、現在費用請求している場合、医師意見書を添えるという行為に上乗せ費用を発生させることについては、なかなか利用者同意を得ずらいだろうし、無料で申請代行を行っている事業所が多い実態を鑑みると、実質医師意見書を添えて申請代行する行為も無償サービスとして行わざるを得ない居宅介護支援事業所が増えるのではないのか。

つまり居宅ケアマネのただ働きが増えるということだ。これは大きな問題だと思う。

せめてそうならないように、医師意見書の事前取得と申請時の添付に対しては保険外費用を上乗せしてしかるべきと周知する通知等が出されるべきだと思う。

そうならないと申請代行者の心身は疲弊して、本業に影響を来すのではないかと懸念する。

そして医師意見書の提出遅れによる認定遅れを解消したいなら、認定審査にほとんど必要性を見一出せない医師意見書損のものをなくすべきだと思う。(参照:やっぱり医師意見書は必要ない? ・ 主治医意見書の記載が負担だというのなら・・・。
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制度改正の本質に向かい合う姿勢



介護関係者の中に、介護保険制度改正はこの制度を進化・成熟させるものだと勘違いしている人がいる。

制度改正はこの制度の持続可能性を高めるために行っているものでしかなく、そこで重視されることは限られた財源をより必要はところに重点的に手当てすることである。

2021年の改正以降は、人材が足りなくなる対策として生産性をいかに向上できるかという視点から、その方法を創り出すために費用をかけている。LIFE(科学的介護情報システム)に関連した加算や、生産性向上寿司新体制加算の新設されたこともその一環だ。

すなわち制度改正は、制度を持続させる目的を第一としており、必ずしも国民や介護関係者が望むものにはならない。むしろそれは国民の痛みを伴うものでもある。

現に介護保険制度が創設された後に、予防給付が新設追加された意味は、介護予防推進力が強化されたわけではなく、介護給付より少ない財源支出サービスを新設したという意味にしか過ぎない。国民にとってそれは給付抑制策と言って過言ではないのだ。
介護保険制度改正の本質
よって介護保険部会で厚労省が新たに提案する方策が、すべて国民や介護事業者にとって、明るい未来につながると考えるのは大きな間違いである。

だがその間違った考え方にどっぷりと浸かって、国の罠にはまっている専門家も少なくない。その為、制度改正策の一環として打ち出された、要介護認定一次判定ソフトの改正案についても、ソフトが更新されれば、より正確な判定につながると無批判に賛同する関係者が多くなるのである。

それがいかに間違った考え方であり、むしろ国民にとって不利益となる可能性が高いことについては、介護認定一次判定の見直しは必要なのか?という記事を書いて警告しているところである。

ケアマネをはじめとして対人援助のプロなら、国が敷いたレールに乗ることばかり考えずに、この国の介護事業というものがどうあるべきかという理念を思い浮かべ、その理念を果たすべき実践論を創り出す気概を持ってほしい。

その為には、時には国が打ち出した政策を打ち砕く覚悟も持っていてほしい。国の政策を喧伝し、その方向に世論を誘導するような提灯記事しか書かないマスゴミをきちんと見分けて、そのプロパガンダに乗るようなことがないようにしてほしい。

対人援助のプロたる者に求められるソーシャルアクションとは、己の利害や所属組織の利害を超えて、援助を受ける人々に真に必要となる光を追求することだ。

それは己(おのれ)の心の目を見開いて、己自身が見つけ出さねばならないものである。

官僚やマスゴミには見えない光を、私たちが見つけ出さねばこの世は闇である。
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運営指導を見据えたLIFE新フィードバックのPDCA活用



今日から7月・・・昨日までで1年のちょうど半分が経過した。

いつものことながら時の流れは振り返ると速い。自分もその時の流れに乗って、どんどん年を取っていく。時代の波に乗り遅れないように頑張ろう。

さてLIFEの新フィードバックが開始されて丸7カ月を経過した。事業者フィードバックは、2024.11.26〜科学的介護推進体制加算ADL維持等加算個別機能訓練加算栄養アセスメント加算口腔機能向上加算から開始され、12月に入ってからリハビリテーションマネジメント加算も追加された。

さらに利用者フィードバックは、2025年1月31日から掲載が始まった。

その内容をみると、事業所フィードバックは自施設・事業所の利用者の状態の変化や、全国の同じサービスの介護施設・事業所における相対的な位置について、図やグラフで表示されている。下記画像を参照願いたい。
LIFE新フィードバック
例えばこの画像の左図「誤嚥性肺炎の発症・既往あり」のグラフの「ぶくぶくうがいが困難」の項目について見ると、赤の点線(2024年7月)に比べ、赤の実線(2024年10月)の割合が減っている・・・つまり近直データの状況の方が、前回提出データの状況より良くなっている(ぶくぶくうがいが困難な利用者が減っている)ということになる。

これを見たうえで、改善した理由を各事業者で検討する必要があるということだ。利用者の背景・状態・他サービスの利用状況などを検討したうえで、実施している口腔訓練の効果だと考えられる場合は、今後も口腔訓練を継続していくといった計画を立てることがPDCA活用と言えるのである。

また「歯の汚れ」の項目では、利用者の割合が全国値(青線)よりも高くなっている。つまり全国平均より利用者の歯の汚れが目立つという意味だ。この場合、口腔清掃を重点的に実施していくという対策を考えなければならない。これもPDCA活用である。

PDCA活用についてもっと具体的に何をすればよいのか解説するとすれば、あらかじめフィードバック内容を読み込んで結果をまとめる担当者を決めておき、事業所フィードバックが行われた際に、まとめた結果を職員会議(全体会議等)で報告し、個別のケアプラン作成の際に、「口腔訓練を継続していく」「口腔清掃を重点的に実施していく」などと議事録に記録しておけば良いと思う。

利用者フィードバックは、各利用者について状態の変化が表示されていので、改善・変化なし・悪化などの要因と対策を検討して、各々のケアプランに反映することがPDCA活用として求められる・・・この場合は、アセスメントの参考資料として、利用者フィードバックを記録として綴り、その内容も参考にしてケアカンファレンスを行っているとする議事録を残しておけばよいだろう。

PDCA活用はそれで証明できる・・・今後の運営指導では、科学的介護推進体制加算等を算定している場合、PDCA活用がされているかが重点的に確認されるので参考にしてほしい。

どちらにしても新フィードバックと言っても、LIFEがデータを解析してくれるわけではないし、LIFEがエビデンスを示してくれるわけでもないことを理解する必要がある。

LIFEが解析して示したレーダーチャートを、介護事業者が読み取って独自でエビデンスを探すしかないということであり、実質的にエビデンスを見つけ出す作業は介護現場に丸投げされているのだ。

LIFEはそれだけのシステムでしかない。しかしそのようなオンボロシステムであってもでも、LIFEは決してなくならない。なぜならそこにはたくさんお金(国費)と時間を掛けて、システムの安定化を図っているからである。今更、引き返せないのだ。

その為、介護事業者の(非常に面倒くさい)LIFE対応は、今後ずっと必要とされることになる。そこは我慢せねばならない。

介護事業者並びに担当者は、LIFEへの情報提出とフィードバックのPDCA活用は、あくまで加算算定の要件と割り切って行うしかない。

まかり間違ってもそこからエビデンスが生まれるという勘違いをしてはならない。
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介護福祉士資格を持った鬼畜の所業



昨日(6/29)、東京・台東区のグループホームで入居する認知症の女性に性的暴行を加え、その様子をスマートフォンで撮影したとして、介護福祉士・鳥居高広容疑者(50歳)が逮捕された。

容疑者のスマホからこの女性を撮影した20本の動画が見つかり、逮捕に至ったそうだ。なんとも変態趣味である。

女性とはいえ、自分よりはるか年上の高齢者に・・・しかも職業として関わる介護サービス利用者に対して、性的欲求を向けること自体が理解できることではないが、人としてあるまじき行為であることは間違いがない。

介護支援の場で、しかも密室ともなり得る居住系施設で1対1で対応する介護職員が、このような暗い欲望を持ち、その欲望を行動に現すような下劣な人間であるとしたら、利用者やその家族は何を信じたらよいかわからなくなる。

大多数のまじめに仕事をしている介護職員にとっても迷惑極まりない事件であり、容疑者に対し許せないという感情を持つ人も少なくないだろう。

昨日からインターネット等に、同容疑者が手錠をはめられて移送される動画が出回り、その動画には顔もアップで写されているが、その容姿を見て50歳だとはとても思えないという声も多い。
認知症の入居女性(70代)に性的暴行未遂の鳥居高広容疑者(50)
悪行を重ねた結果が、悪相となり実年齢より年取った姿に変えているのだろうか・・・。

取り調べに対して鳥居容疑者は「ストレス解消のため性的嫌がらせをしたが一部違う部分がある」と供述しているそうである。一部否認と言っても、性的暴行自体は認めているわけである。

それにしてもストレスを犯行動機とするのは、あまりにも卑怯な言い訳だと思う。ストレスは誰もが抱える可能性があるが、そのはけ口を利用者虐待という形に求めることは、当然でもなければ、よくあることでもない。

ストレスを抱える多くの対人援助のプロは、ストレスのはけ口を利用者に向けることはないのである。

介護事業経営者や管理職の方々は、本件を対岸の火事として見ることなく、自分の経営・管理母体にこのような人物が混じっていたらどうなるだろうかと考えてほしい。こうした事件は犯人が逮捕されて終わりではなく、事業主体の管理責任も問われて、多額な賠償金支払いにもつながりかねなくなる。

だからこそ、対人援助のプロとして利用者に接する心得を徹底的に教え込む、実効性のあるサービスマナー教育が不可欠なのだ。

特に人材が不足している中で、要介護高齢者の数は増え続けている現在、介護事業はまだまだ成長産業だとして規模拡大を図っている介護事業者が少なくない。それは良いとして、そこにきちんと利用者の福祉を向上させる教育が伴っているかということが問題だ。

それがおなざりにされておれば、メッセージの轍を踏んで、この業界から退場しなければならなくなる恐れもあるのだ。

今、介護業界は物価高や人件費高騰に対応した介護報酬の期中改定を求めて盛んに運動している。そして骨太の改革2025にその方針が示されたことで、期中改定の期待が高まっている。(参照:期中改定について

しかし介護事業者における虐待事件や不適切ケアが起こることによって、国民から介護事業に国費と保険料財源を支出することの反対意見が挙がり、それが期中改定の足枷にもなりかねないことを懸念して、先日CBニュースの連載記事・快筆乱麻masaが読み解く介護の今に、「信頼を失いかねない介護事業での人権侵害」という原稿を書いて入稿した。
快筆乱麻・masaが読み解く介護の今
その記事が今朝6/30にアップされている。

台東区のGHでの性的暴行事件が起きる前に書いた記事であるが、僕の懸念が現実化しないことを祈るばかりである。

ところで本件が起きたGHでは今月上旬、別の入居者が死亡していて、警視庁が捜査の過程で職員らにスマホの任意提出を求めているそうであるが、そちらも事件化されるのかどうか注目されることである・・・だがそんなことばかりが注目される介護事業であってはならないのである。

人を護り、暮らしの質を豊かにする介護の基盤は、対人援助のプロとして、顧客に対するサービスマナー意識をもって接する態度であることを忘れてはならない。
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masaのラーメン道〜新規オープン麺蔵



世の中では想像もできない事件・事故が起きる。

最近特に驚いたのは、横浜市の女性ケアマネジャー(66歳)が、訪問先で利用者に背中を刃物のような物で複数回突き刺された事件だ。

事件が起きたのは6/20(金)の午前中。容疑者は横浜市鶴見区に住む87歳の男性。おそらくケアマネは利用者宅をモニタリング訪問したのだろう。いきなり背中を数カ所刺されたが、女性ケアマネは自力で逃げ出し、命に別状はなかったとのこと。不幸中の幸いであるが、それにしても恐ろしい思いをしただろう。

容疑者は、「自分が刺したのは間違いない」と供述し、容疑を認めているという。認知機能の低下や精神疾患があったのかはわからない。

ケアマネのモニタリング訪問は、鞄一つ持って何の警戒感もなく利用者宅を訪問するのが当たり前だから用心のしようがない。逆にあまりに警戒すると、利用者との信頼関係の構築に支障を来しかねない。

犯行理由がはっきりしないと対策の立てようもないので、出来るだけ正確な情報を伝えてもらいたいとところだが、犯人の権利を過度に護るこの国の風潮からすれば、それは期待できないのかもしれない。

さてそのような憂鬱なニュースも耳にするが、今日は週末まじかの金曜日(花金という言葉は今では死語のようだ。)。

気分転換のために、久々のラーメン道でお付き合いいただきたい。

我が家から歩いて10分の道道沿いに6/20新しいラーメン屋さんが新規オープンしたので、昨日(6/26)早速行ってみた。白味噌ラーメン&ミニ炒飯(Aセット)76_n
いただいたのは、白味噌ラーメン&ミニ炒飯(Aセット)1.000円。

ラーメン一杯が1.000円を超えても不思議ではない昨今で、このセットで1.000円とはコスパが良いと云えるのではないだろうか。

そもそもこのお店はすべてのメニューが低価格で、庶民の財布に優しいお店だと思う。下のメニュー画像を見ていただきたい。
メニュー
ラーメン一杯の価格は700円と800円。ラーメンと餃子と小ライスと漬物がついたBセットも1.000円である。
白味噌ラーメン
僕が昨日いただいた「白味噌ラーメン」がこのお店のおすすめで一番人気とのこと。ガッツリ・こってり系ラーメンではなく、あっさりめの和風ラーメンといった感じ。

しかし味噌の味がしっかりする。甘めの白みそが優しい味を醸し出している。具は叉焼・ネギ・もやし・きざみ木耳。北海道のラーメンで木耳が入っているのは珍しいが、個人的には大好きだ。叉焼はほろほろにくだける煮豚のような感じで旨い。
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炒飯はミニといっても、しっかり茶碗一杯分のご飯量だ。具は卵と細かく刻んだ叉焼のみで、野菜は入っていない。具の量は少なくご飯たっぷり炒飯といった感じだが、ちょうど良い塩味で旨かった。
本家麺蔵
ということで、「本家麺蔵」は新規オープンと言っても、お隣の伊達市からの移転オープンらしい。若い店主が鍋を振り、ホールスタッフがそのほか4名も居るので、オペレーションは良い感じだった。

ただこの店の場所では、ラーメン屋が何軒もオープンしては閉店が続いているので、そうならないように是非頑張ってほしい・・・味から言えば大丈夫と思う。

再訪は有りで、次はカレーラーメンのBセットを食べようと思う。
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人にレッテルを貼らない介護



10年前に社会福祉法人を退職した僕は、フリーランスとして活動する前に、介護保険の医療系サービスにも知悉しておきたいという動機づけから、1年間だけ老健施設の事務次長として勤務した経験がある。

その期間に老健の施設サービスだけではなく、通所リハ・訪問リハ・訪問看護といった医療系居宅サービス実務にも触れることができた。

その後、現在のようにフリーランスとして活動するようになったわけであるが、たった1年間の経験も現在の大きな武器となっている。

ところでその老健施設では、施設内の壁面に理念やスローガンを書いた紙が貼られていた。そこには従業員一人一人が、利用者を敬い丁寧に対応しますという意味のことも掲げられていたが、はっきり言ってそれは看板に偽りありという状態だった。

現場リーダーは男性の看護師長であったが、その人自身はカンフォータブルケアを学んで実践しており(参照:カンフォータブルケアに注目が集まりましたね)、利用者に対して目を見て・笑顔で・丁寧に話しかけるというケアが実践できていた。

しかしリーダーシップに欠ける面が見られる人であったため、他の看護・介護職員に対して、そのような態度をとるように導くことはしていなかった。

その為もあってか、看護・介護職員の利用者対応にも大きな個人差があり、しかもそれぞれのやり方に任されて、誰からも注意も指導も受けないという状態であった。

ある一人の看護職員は、特定の人に対しては丁寧語で対応しているのに、別の特定の人にはタメ口対応と、相手によって態度を変えているような姿があった。

そのような区別が、どのような理由で行われているのかと調べてみると、当該看護職員が丁寧語で対応している利用者は認知症のない人であり、タメ口対応しているのは認知症の方々であることが分かった。
差別する人の醜い姿
その姿は差別者そのもの姿であり、恥ずべき醜い姿であると思い、僕はその看護職員を激しく罵った。

上司の看護師長からも注意されなかった人だから、入職したばかりの事務次長という立場でしかない僕から注意を受けて大いにびっくりしただろう・・・だからと言ってその職員が反省して、態度を改めたという事実はなく、つくづくどうしようもない老健だと思ったりした。(幸いなことにそこは経営に行き詰まって老健経営から撤退している。)

認知症の方の行動理解のために、誰それが認知症であるということを認識し、個人別に混乱する場合にこうした行動をとる傾向が強いなどという知識は必要だが、だからと言って日常のあらゆる場所で、その人を認知症という部分から認識することは間違っている。

ひとりの人間として見つめることを忘れてはならないのだ。

介護サービス利用者を、「要介護者」「認知症」などという冠をつけて見ない介護実践が必要だ。

社会福祉の価値前提は人間尊重であることを忘れてはならず、人間尊重とは、人としての存在そのものが尊いものであり、能力や属性など様々な違いがあったとしても、その存在価値に変わりはないとみなす原則である。

認知症や重度の要介護状態区分であるなどという冠は、そうした人間尊重の目を曇らせるものでしかない。

それは極めて傲慢で、鼻持ちならない態度にしか見えない。

そのような醜い姿で、介護支援を必要とする人と相対してはならないのである。
介護とは人を裁くのではなく護る仕事である
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介護認定一次判定の見直しは必要なのか?



今月2日の社会保障審議会介護保険部会で、厚労省が介護認定の一次判定内容の見直しを検討するための調査を行うと決めたことが明らかにされた。

このことについてあるアンケート調査では、現役ケアマネの7割近くが一次判定見直しに賛同したとの報道がある。

しかし本当にそんな必要があるだろうか・・・。

15年以上同じ基準で判断している状態をおかしいという人がいる。しかしさして問題のない基準なら、その継続期間は決して長くない。むしろ介護状態区分という介護サービスの提供量に影響する基準が、数年ごとに変わる方が問題だ。

暮らしの変化と基準がマッチしなくなっているという明確な理由があるなら変更は必要だろう。確かに人の暮らしぶりはここ数年で大きく変わっているが、心身の状態判断とその変化はどの程度連動しているというのだろう。

2023年10月〜ケアマネジャーが行う課題分析標準項目変更が行われたが、ここではコミュニケーションツールが進化し、要介護高齢者でもPCやタブレットが使いこなせる点や、病識の有無などが追加されている。しかし要介護状態に大きく影響する変更にはなっていないように感じる。

現行の一次判定ソフトが、認知症の方の介護の手間が反映しにくいという意見もあるが、現行ソフトに改正前の旧ソフトでも同じ点が指摘され、現行ソフトはそれに対応したものであると云われている。それも不十分だとしても、新ソフトでそれが改善されるとは限らない。むしろその部分は2次判定でしっかり審査することを徹底すべきではないのか。

さらに現行ソフトは、独居について手間が反映されていないという。独居で頑張ってできていることは介護の手間ではないから、この部分は新ソフトになっても変更ないと思われる。

心疾患、肺疾患が軽度判定になりやすいという意見もあるが、そもそも介護認定に疾患は関係しない。心疾患や肺疾患で運動機能が落ちているというなら、特記事項にしっかりそのことを書いておけば2次判定で拾うことができる・・・それは20年以上介護認定審査委員を務めている僕自身が言い切れることだ。

そもそも一次判定ソフトの見直しを検討すると厚労省が表明した6/2以前に、現行一次判定ソフトの問題がどこかで取り上げられていたというのだろうか・・・いいや、そのような声はほとんど聞こえてこなかった。
天下り役人の権力
にもかかわらず、いきなり6/2の介護保険部会で厚労省が一次判定ソフト見直しを議題として取り上げ、それに連動するかのように厚労省の提灯記事を垂れ流している某サイトがアンケートを行って、賛同の声が多いと喧伝している・・・。

そこに裏はないのか・・・あるに決まっている。

一次判定ソフトの見直しというのは、莫大な予算が必要だということはご存じだろう。そして見直しを行うのは厚労省ではなく、厚労省の委託を受ける民間シンクタンクである。そしてその予算は厚労省の裁量が大きく及び、国会審議も必要とされずに、ある程度自由に使える介護保険特別会計から支出されるのではないのか・・・。

そこでは莫大な利権が発生するという意味だ。委託を受ける民間シンクタンクに、厚労省の天下りが居たりするのも良くある話だ。

ところで一次判定ソフト見直しに賛同しているケアマネの多くは、要介護度が正しく判定される今まで軽度判定だった人が、より重度に判定されると思っていないだろうか・・・。

それは大きな間違いだ。介護報酬の期中改定が現実味を帯びてきたこの時期に、介護認定一次判定ソフトを改正するという意味は、そこが財源支出に関係しているからだということも深読みする必要がある。

財源支出を抑えるために、重度判定しにくい一次判定ソフトに変えられる可能性の方が高いのだ。そのことを見越したうえでの賛同なのかどうなのか・・・。

そもそも予算措置を伴う改革ということで言えば、最優先事項ケアマネの処遇改善ではないのか。そこを差し置いてさして問題となっていない介護認定一次判定ソフトに手を入れ、大きな財政支出を行なおうするのは何故なのか・・・それを理由にして委託補助金を差し出さねばならない事情でもあるのかと、うがった見方もしたくなるというものだ。

ケアマネ諸氏には、そうした事情を含めた裏の意図をきちんと読んだうえで、厚労省の介護認定の一次判定内容の見直し方針に安易に乗らないようにしてほしいと思う。
株式会社マイナビさんが運営するポータルサイト、メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の第7回配信記事が6/20にアップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.7
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期中改定
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介護事業における人財育成のポイント



介護人材不足に解消の目途がない今日、介護職員ができるだけ長く働き続けてくれることは極めて重要である。

とはいっても、仕事を満足にこなせず利用者に対する対応も不適切で、周囲に悪影響を与えて職場環境を悪化させる人間が定着しても始まらない。

職場の雰囲気を悪化させる仕事ができない介護職員を数合わせのために置いておかずに、適切な方法で見極めて、試用期間中に客観的に合理的な理由をもって解雇することも必要になる。人材マネジメント及び人材育成には、そうした視点も不可欠だ。

何よりも人材不足が解消されないからこそ介護実務の生産性向上が求められることを忘れてはならない。それは介護実務に精通して、適切な利用者対応ができる職員が増えることでこそ実効性が生まれるのだから、そういう介護職員を増やして定着させねば意味がないのである。

だからこそ目的とするのは人材育成ではなく、人財育成なのである。それは単に介護実務がこなせる人材を育てるという意味ではなく、介護実務の基本をきちんと伝え、そこから介護の本質・真髄を見出せるようなポリシーを生む動機づけを与え、将来は後輩を育て導くことのできるような人財を育てるということだ。

そのような考え方に基づいて今年の七夕の日・7/7(月)14:00〜16:00の予定で、鳥取県老人福祉施設協議会・令和7年度研修として、「介護事業における人財育成のポイント」をテーマにしたオンライン講演を配信する。
鳥取県老人福祉施設協議会職員研修
昨日はその講演スライド(PPT)を完成させて、配布資料を事務局に送付して現在点検してもらっている。

講演配信日までまだ間があるので、配布資料を見ていただいて意見があれば伝えてもらい、さらに希望に沿った内容に修正することも可能だ。

今回はリーダー職が新人等に教育するというより、一般の介護職員が後輩にどのように介護実務を教え、適切なケアに結びつくように指導できるかということがテーマであり、介護実務そのものの基本を伝えるところから始めている。

例えば食事介助とは立ったままで行ってはならないという基本が伝えられていない介護事業者が多い。車いすは移動ツールであり、長い時間座っていられるツールではないことも教えられていない。

それらの基本を正しく伝えたうえで、そうした基本を伝えるための介護マニュアルの在り方、介護マニュアルを使ったOJTの在り方、パワハラとされない叱り方etc・・・多岐にわたっての人財育成を120分で伝える内容としている。

この研修の案内と申し込みは、鳥取県老人福祉施設協議会職員研修申し込みフォームから行うことができる。

参加費は、会員が1.000円。非会員が2.000円となっており、鳥取県老施協の会員でない方も参加可能のようだ。

興味のある方は、是非文字リンクを貼り付けた申込フォームに入って申込みいただきたい。

鳥取県の介護関係者の皆様にエールを送る動画、「LOVE〜明日へつなぐ介護・鳥取県」を作成しているので下記より参照いただきたい。

それでは鳥取県の皆様、今年の七夕の日はオンラインで愛ましょう。
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住み慣れた自宅から住み替える人の気持ち



介護保険制度改正を論ずる社保審・介護保険部会における次期改正の、「主な検討事項について」として挙げられている1番目は、「地域包括ケアシステムの推進」である。

このテーマは改正の度に繰り返し挙げられており、ある意味お馴染みといったところでもある。

それは要介護状態になった人が、住み慣れた地域で必要な支援を受けながら暮らし続けられることを目的として、地域事情に即した支援体制を構築しようとするものである。

だがそれは同時に、心身の状態に応じた住み替えを奨励するシステムでもある。住み慣れた地域に暮らし続けられることとは、住み慣れた自宅で暮らし続けられることとイコールではないのである。
心身の状態に応じた住み替えが必要な地域包括ケアシステム
当然そこでは自宅から介護保険施設居住系施設サ高住・GH・有料老人ホーム等)へ住み替える人も出てくるだろう。

だが同じ地域であるといっても、住み慣れた自宅を施設等は大きな差がある。高齢者及び要介護者は、決して環境変化に弱いなどは思わないが、そうであったとしても自宅に住むことをあきらめて、介護施設等に住み替えることは大きなストレスにもつながるだろう。

新たな住み替え場所であるそれらの施設では、強いられた共同生活(※集団論で言えば、そこは集団生活の場ではない)によって不自由を感じたり、思うような暮らしが送れないと感じる人もいるだろう。

その時、それらの人が環境に馴染んで、新たな生活場所で意欲的に豊かに暮らすことができるために必要なことは、決して近代的な住環境とは限らず、温かい介護支援者の心配りであったりする。

だがそこで間違ってはならないことがある。

施設関係者は、決して施設が自宅より豊かな暮らしを送ることができる場であると利用者を説得する必要はない。もっと謙虚に、施設は自宅には勝てないことは多々あるけれど、それでも私たちが家族に替わって、家族に勝てないまでも必要な支援の手を指し延ばしますよという姿勢を示すことが大事だ。

住み慣れた自宅での暮らしをあきらめなければならなかった人の悔しさや哀しさ、劣等感にも近いそれらの気持ちをしっかり受け止めたうえで、新たな環境に適応できるように手を差し伸べなければならない。

ICT環境やAI搭載ロボットなど設備も完備された近代的な住環境が、住み替えを余儀なくされた人の支えになるわけではないのだ。それらの住環境は、住み替えた人々の心が平穏になってこそ初めて、それらの人にとっての利便性につながるのである。

しかし設備が人の心平穏にしてくれるわけではない。特に何らかの介護支援を必要とする人にとって、他者の温もりが伝わらない場所は、不安と不満と不幸しか感じられない場所になってしまう。

何らかの事情で自宅での暮らしをあきらめた人々にとって、自宅で暮らし続けることと同じように豊かな暮らしを送るためには何が求められているのかを考え、その方法論・実践論を見つけて出していくという対人援助者の姿勢が必要だ。

それが欠けている場所はいかなる近代的設備を配した豪華できらびやかな住環境であったとしても、そこに居る人々にとっては冷たいブラックボックスであり、地域の中で孤立を深める密室でしかなくなることを、我々は対人援助のプロとして肝に銘じなければならない。
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喜来登(きらいと)味噌ラーを「嫌いと」いう人はいない



昨日午後、札幌市西区発寒の居宅介護支援事業所からオンラインフォーラムを配信し、その後、薄野(すすきの)に場所を移して反省会と相成った。

その際の飲み食いメニューは、僕のもう一つのブログmasaの地と骨と肉・座った、時知らず、に寝ていた。にアップしているので、そちらを参照願いたい。

昨日はそのまま薄野のホテルに宿泊し、今日これからゆっくりと自宅のある登別市に移動予定だ。

ところで札幌は当然のことながら飲食店が多いので、必然的に有名店も数ある。その為札幌出張の際は、それらの店に行くのが愉しみであるが、どこに行くか迷うことも多い。

先週も出張で訪れた際にお昼は、かねてより食べたかったラーメンと、札幌で一番旨いという評判の炒飯のどちらを食べるか迷った挙句、2軒梯子して両方食ってしまった。

ということでまずは喜来登(きらいと)。1962年創業だから、僕が2歳の時にできた店だ。
喜来登
狸小路6丁目にあるお昼のみ営業の店だが、いつも開店前から行列ができている人気店である。
喜来登の味噌ラーメン
ここでのお勧めはなんといっても味噌ラーメン1.000円。ネギラーメンではなく、これがデフォルト。

ちなみに具としてチャーシューは入っておらず、その代わりにたっぷりのひき肉が入っている。そのほか味付けメンマともやしが入るシンプルなラーメン。
喜来登の味噌ラーメン
麺は中太ちぢれ麺。昔のラーメンに多かったまっ黄色な麺だ。

醤油も塩もすべて普通ラーメンにネギがてんこ盛りで出てくる。底の方の味が濃くなっているので、ネギをスープに沈めて麺は天地返しをするという食べ方のテクニックが求められるラーメンだ。

ちなみに喜来登の味噌ラーメンの食べ方は下記動画を参照してほしい。

味は最近はやりの「純すみ系」・「こってり系」とは一線を画す昔ながらのあっさり味噌ラーメン。味噌ラーメンの元祖・三平の味に近いので、濃い味味噌が好きな人は物足りないかもしれない。
喜来登の店内サイン
店内には所狭しとサイン色紙が飾られているが、元チェッカーズの藤井フミヤのサインが数種類ある。なんでも彼が札幌に訪れる際は必ず来店するほど、ここの味噌ラーメンが気に入っているらしい。

次は場所を中央バスターミナルの地下飲食街に移動して七福食道に入店。
七福食道
夜はおでん屋さんとして営業し、昼の看板メニューも「おでん定食」のはずだが、それをオーダーしている人に出会ったことがない。来店客の9割以上が「炒飯」一択である。
七福食道の炒飯
その炒飯がこちら。700円。卵とネギとチャーシューの具で塩味のシンプルな炒飯。だが札幌で一番旨い炒飯という人も少なくない。

昼だけで、この二品を食べるために店を梯子したため、さすがにお腹ははち切れそうになり、この日、午後8時過ぎに講演を終えた後の夕食は、ホテルの部屋でコンビニ飯とした。

その翌日。登別に帰る前に再び狸小路に寄った。この日の目当ては2丁目の札幌ライオン。北海道のご当地グルメは数あるが、道東・釧路のソウルフードと言えば、蟹やウニなどの海産物にあらず。
サッポロライオンのスパかつ
釧路スパかつなんといってもソウルフードだろう。
釧路のソウルフードスパかつ
札幌ライオンでも、そんなスパかつが食べられるので、この日もお腹を満たしてから自宅へ帰った。

2日間で体重も増加したが、心も満ち足りたのでそれで良しとした。翌日から室内有酸素運動に努めて、体重は1週間で元に戻った。めでたしめでたし・・・。
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期中改定について



骨太の方針2025に明記されたプラス改定・・・それも27年度待たずに期中改定されることが濃厚となった介護報酬。

しかし報酬アップには保険料負担アップ、自己負担アップなどの国民の痛みが伴うことを見逃してはならない。

国民全体がそうした痛みを負うことを理解しながら介護報酬アップに賛同の声を挙げてくれるためには、介護事業がすべての国民の暮らしを支えるセーフティネットであることを証明する必要がある。

それができるか否かが、今後に渡って物価高や人件費高騰に対応した報酬改定が行われる必要絶対条件になるということを理解しなければならない。

月単位で明らかになる介護事業者における虐待が、氷山の一角であると云われるような状態をなくさねばならない。「認知症の入所者2人に性的暴行か」で報道されているような人物を雇って、事件を引き起こしているような状態がある限り、介護事業に財源支出をすることに反対する声はなくならない。

だからこそ介護従事者に対して、介護サービス利用者は顧客であるという意識づけを行い、顧客に対するマナーある対応に終始させるようにしなければならない。人材育成のシステムも改めて、介護サービス利用者の豊かな暮らしを実現することを理念だけで終わらせない実務者を養成しなければならない。

そのために介護事業経営者は公費中心の介護事業であることを意識し、自社の利益という狭い視点にとらわれず、国費を得るための事業経営というマクロな視点でガバナンスの強化に努めてほしい。

なお期中改定については近々、メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第7回連載記事としてアップされる予定だ。是非そちらも参照してほしい。

ところで今、僕は札幌に向かって自家用車を走らせている。

僕が顧問を務めるテレワーク型居宅介護支援事業所・つなぐ手ケアマネセンターは西区発寒にオフィスを構えているが、そこから今日13:30〜オンラインフォーラム「迫りくる2040年問題と在宅介護の未来:菊地雅洋氏と描く、持続可能なケアの実現戦略」を配信するための移動である。

このフォーラムは、事前申し込みの必要もなく、どなたでも無料視聴できる。フォーラム開始前にこの記事を読んでつなげようと思った方はZoomに入って、下記のIDとパスコードで入室してほしい。
ID932 4468 0278 パスコード279279
フォーラム迫りくる2040年問題と在宅介護の未来
ところで、この記事は移動途中の苫小牧市〜昼食休憩を摂りながらアップしている。

さて現在僕はこのようにフリーランスとして、コンサルタント・講演・執筆などを行っているが、秘書的な社員が他に居るわけではないため、スケジュール管理を含めすべて僕一人で対応している。

仕事のダブルブッキングが起きないように、スケジュールはスマホのカレンダーに入れてクラウド対応もしている。そのためどこからでも、どの端末でも予定表にアクセスできるように管理しており、間違いがないつもりになっていた・・・。

しかしそもそものデータを入力する僕自身が、スケジュールデータを入力し忘れたり、誤って入力してしまっていることが稀にある。

今日もそんな間違ったスケジュール管理を行っていた日であり、午後から札幌でフォーラム参加する予定は入れていたものの、そのために午前中に移動するというスケジュールを入れ忘れていた。

その為、7月に講演を行う予定の事務局担当者とのオンライン打ち合わせ予定を、今日の午前に入れてしまっていた。

そのことに気が付いたのは今週初めの月曜日・・・慌ててメールで日程変更のお願いをした。

先方も忙しい予定の合間を縫ってスケジューリングしてくれているというのに、なんとも申し訳のないことである。

そのようなことも稀にあるが、幸い本番の講演をダブルブッキングさせたことは今まで一度もないのが不幸中の幸いだ。今後は打ち合わせもブッキングさせないように注意したい。

さてそろそろ札幌の事業所に向かわないと間に合わなくなる・・・ということで後ほどオンライン画面を通じて愛ましょう。よろしくお願いいします。
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法令ルールが実務に追いつかない例は多々ある



僕が管理する介護福祉情報掲示板に先日、「老健の訪問リハビリ 難病医療費助成制度について」というスレッドが立てられた。

ここで情報提供しているように、老健施設からの訪問リハビリテーションは、難病医療費助成制度の対象外となっている。

だがインターネット情報では、介護保険サービスである訪問リハビリテーション(介護予防も含む)については、「54難病公費」の助成対象となっていると書かれていることも事実だ。

これはそうした情報サイトが間違っているのだろうか・・・いや恐らくそうした情報を載せているサイト管理者の側から言えば、それは必ずしも間違った情報ではないと云うだろう。

介護保険訪問リハ自体は確かに、「54難病公費」の助成対象なのである。しかしいくら難病公費の対象となっているサービスであっても、そのサービスを提供する機関自体が難病医療費助成制度対象外施設であれば、その費用は請求できないということになる。

保険医療機関ではない老健はまさにその対象外施設なのだから、指定難病患者に介護保険訪問リハを提供しても助成されないということになるのだ。

よって介護保険訪問リハビリを行って、難病医療費助成を受けることができるのは、医療機関である病院(訪問看護ステーションを含む)や診療所に限られるということになる。

その為、情報提供サイトに介護保険サービスである訪問リハビリテーション(介護予防も含む)が、「54難病公費」の助成対象と書かれていたとしても間違いとは言えない。単なる言葉足らずとされるだけだ。

だがそれはあまりにも不親切な情報とも言えなくもない。ネット検索して情報を探す人は、専門知識に乏しい人も少なくないのだから、出来るだけ親切に詳しく解説するに越したことはない。

どちらにしてもネット情報は、間違いではないが不親切な記述や、「抜け」が多いことも事実だ。

例えば、居宅サービス計画がないと介護保険給付サービスが受けられないとか、認定期間の概ね半数を超える期間のショートスティは保険給付されないとか言うのも間違った情報だ。

前者は償還払いで保険給付が受けられるし、後者は介護支援専門員がショートを計画する際には認定期間の概ね半数を超えてはならないというルールがあるだけで、セルフプランやケアプランなしの償還払いサービスにこうしたルールは適用さえされない。

その為、僕が監修者として関わっているマイナビあなたの介護というサイト情報で、実際に僕が監修している介護保険関連記事については、介護の専門知識がない一般の方が読んでもわかりやすいように、丁寧に詳細に解説するように心がけている。

介護関連の情報を確認する際には、是非そちらを参照いただきたい。
不公平ルールにアクションを起こす条件
ところで最初に解説した老健の訪問リハビリルール・・・これは不公平ルールとも言えなくもない。

同じ訪問リハビリであるにも関わらず、なぜ老健だけが難病公費助成を浮かれれないのだろうか・・・おそらくそれは法令ルールが実務に追いついていないからだと思う。

2000年の介護保険施行当時は、老健からの訪問リハビリは認められていなかった。その後、老健の在宅復帰機能を最大限に生かす目的で、老健からの対象者の自宅でのリハビリ機能を高めるために老健からの訪問リハビリが新設された経緯がある。

その際に保険医療機関ではない老健は、難病医療費助成を受けることができないというルールを変えることなく、訪問リハビリというサービスだけ新規に行えるようにしたことから生じた不公平だと思う。

そのことを知ったうえで関係者がこの不公平を問題視して声を挙げたときに、初めてこのルールは変更されるのではないだろうか。
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お別れを云えることを大切に思う人でいてください



看取り介護・ターミナルケアは、医師の専門的知見からの終末期診断によって行われる。

その際に余命診断を同時に行い、関係者にその診断結果を伝えることはとても重要なことである。(参照余命診断が行われていない看取り介護はあり得ない

なぜならそのことによって、看取る人が愛する人の命の期限を意識して関りを持つことができるからだ。

そうした意識が生まれるからこそ、残された時間が看取られる人・看取る人の双方にとって意味があるように、様々なエピソードを刻むことができる。

遠く離れた場所に住み、何年も逢っていなかった子や孫や親類が、お別れの時間を過ごすために看取り介護対象者がいる場所に足を運び、最期のエピソードを刻むことができるのである。

そこで与えられた別れを云えるチャンス天からの贈り物に他ならないと思う。

勿論、看取り介護対象者の中には、自分が終末期であると伝えられていない人もいるだろう。その際に、看取る人々だけが看取り介護対象者の命の期限を知っておくことは意味があることだ。その場合には、声に出さずに心の中でそっとお別れの声をかけよう。

そっと心の中で「この世で逢えてありがとう。」とつぶやこう。その思いはきっと何らかの形で伝わると信じよう。
看取りのエピソードづくりの重要性
上の画像は、白寿(99歳)のお祝いの直前に看取り介護になった方の最期の誕生会の場面である。

登別市内の特養で看取り介護を受けることになった方の、息子さん・娘さんは全国各地に散らばって住んでいた。

本当の誕生日の日までお祝いを延ばすと、看取り介護対象者の意識レベルがかなり低下することが予測されたため、実際より早く誕生祝を行うことの承諾を得るために、全国に散らばっている子供さんたちに連絡した。すると兄弟姉妹全員がそのお祝いに参加したいと希望し、登別の特養に駆けつけて祝っている場面だ。

本ケースの看取り介護対象者に終末期宣告はしていない。その為、本人はこれが最期の誕生会になることを知らない。だが周囲の人々は、みなそのことを意識してお別れの気持ちを込めて最期の誕生祝をしている場面である。

こんなふうに心の中で母親に別れを云えるチャンスが与えられるのだ。

だからこそ、看取り介護は人としてこの世に生きる全ての人に愛を注ぐことのできる介護であり、介護の使命を果たすことができる介護であると云えるのである。

そうした看取り介護を、するとか・しないとか、出来るとか・出来ないというのはどうかしている・・・看取り介護は、日常介護の延長線上にごく普通に存在するものであって、看取り介護スキルとは、すべての介護関係者が得ておくべき基本スキルである。

だからどうぞ、お別れを云えることを大切に思う人でいてください。
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サービスマナー意識向上の副次的効果



介護保険制度施行以前の社会福祉法人は、国家公務員準拠の給与体系とされていた。

介護保険制度以後それは徐々に見直され、給料表も新たにしている社福が多いが、賞与の支給日は依然と同じく国家公務員の賞与支給日と同様のままにしているところが少なくない。

国家公務員の賞与基準日は、夏が6/30・冬が12/10とされているが、僕が勤めていた社会福祉法人の賞与支給日について夏は6/15・冬は12/15としていた。(そのほか8/31に寒冷地手当、3/15に年度末手当を支給していた。)

今年は6/15が昨日日曜日だったので、今日6/16に賞与支給となっていることだろう。

どちらにしてもこの6月という時期は、夏のボーナス支給を行っているところが多い。その際に起きる現象がある・・・それは退職者の増加である。特に新年度に入職したばかりの人が、この時期を待って退職してしまうケースが少なくない。

何らかの理由で退職を決意した人が、夏のボーナスを受け取るまでその意思を示さないまま、ボーナス支給を受けた時期に退職届を出すケースだ。

そのまま介護業界から去る人も少なくないが、他の介護事業者を探して転職しようとする人もいる。今時期がその分かれ道を探す時期でもある。
転職への分かれ道
介護福祉士養成校の特別授業を担当している僕にも、転職を決意した学生から連絡が来ることが多い。そうした卒業生の多くが、現在勤めている職場の悩みを打ち明け、今後どうしたらよいのかという相談を持ち掛けてくる。

その中でも一番多い相談が、就職した先の先輩介護職員が、利用者に対して乱暴な態度で接している姿を見て、「こんなところでは、これ以上働きたくない」・「利用者対応を流れ作業のように行い、利用者を物のように扱う人の姿を見る毎日に、ストレスしか感じられない」という訴えだ。

かつて生徒に関わった教員の一人として、そのような訴えを行う生徒に、「そこで我慢しろ」とは言えない。そうした悩みを訴える卒業生には、自分が知る限り、そのような心配がないと思える介護事業者を再就職先として紹介している。

こうした事実から考えても、介護事業における顧客対応としてサービスマナー教育は重要になる。

従業員に定期的にサービスマナー教育を行い、その意識が浸透している介護事業者に就職した学生から、周囲の他の従業員の態度の悪さがストレスとなって辞めたいという訴えは聴こえてこない。逆にそうしたストレスが原因で退職した卒業生の再就職先となっているのが、従業員間にサービスマナー意識が浸透している介護事業者である。

だがそうした介護事業者に限って、この介護人材不足の折でも人が介護職員が充足している。介護サービス利用者は顧客であるという意識を高くもって、丁寧な対応を実践している介護事業者で働きたいと思う人が多いし、実際にそうなっている介護事業者は介護職員の定着率も高いからである。

この事実は、介護事業者におけるサービスマナー教育とその意識浸透が、職場のコンプライアンスやガバナンスの基盤となるだけではなく、事業経営を支える人材確保の効果にも結び付くことを証明している。

夏のボーナス支給時期であるまさにこの時期に、介護事業経営者や管理職の方々には、そのことを自覚・理解して介護経営戦略を練ってほしいと願う。
株式会社マイナビさんが運営するポータルサイト、メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の第6回配信記事が6/9にアップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.6
今回のテーマは、「2027年度介護保険制度改正の展望と課題」です。下記目次を参照してください。
2027年度介護保険制度改正の展望と課題目次
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迫りくる2040年問題と在宅介護の未来



僕が顧問を務めている株式会社279は、ケアマネジャーの新しい働き方を開拓しており、テレワーク型居宅介護支援事業所つなぐ手ケアマネセンターを運営しています。

本社は札幌市発寒にありますが、自宅を中心にした完全テレワークが可能なため、常時20名以上配置されている介護支援専門員は札幌市に居住する人ばかりではありません。道外の福島県や京都府に居住し、その地域の利用者を担当しながら札幌市の指定事業所に所属している人もいます。

このようにテレワークは、過去の常識を覆す仕事の仕方ができるのです。興味がある方は是非見学に来て、テレワークのケアマネジメントの説明を受けてください。

さて株式会社279では定期的に職員向けの研修を実施していますが、その研修もオンラインで行い、しかも外部に無料オープンしています。(過去の研修アーカイブはこちらをクリックしてご覧ください

次回のオープンセミナーVOl.41が来週開催されます
フォーラム迫りくる2040年問題と在宅介護の未来
日時: 2025年6月19日(木)13:30〜15:00
テーマ:迫りくる2040年問題と在宅介護の未来:菊地雅洋氏と描く、持続可能なケアの実現戦略

今回はフォーラム形式でディスカッションを行う予定です。

ファシリテーターは、つなぐ手ケアマネセンターの次田代表。モデレーターは僕のほか、NPO法人タダカヨの藤田常務理事、株式会社ビーシステムの佐藤氏を迎える予定です。

各界のオピニオンリーダーと共にこれからの在宅介護が取り組むべき革新的な視点や具体的な方策を議論いたします。

このフォーラムは、どなたでも無料視聴できます。事前申し込みも必要ありません。

視聴希望の方は配信当日の6/19(木)13:30までにZoomに下記のIDパスコードで入室してください。
ID:932 4468 0278 パスコード:279279

台本のないフォーラムで、どのような話の展開になるか予想がつかないところですが、ICTの最先端スキルをお持ちの3名の方と、アナログ人間寄りの僕が向かい合うフォーラムです。2040年問題に向けたケアマネジメント・介護保険制度について熱く語ることなろうと思いますので、是非当日予定を空けておいて、同フォーラムを視聴ください。

それでは当日、画面越しにお愛しましょう。
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介護DXによる生産性向上は外野が云うほど進捗するにあらず



最近のAIの進歩は大したものだ。文章とか動画をあっという間に創って、動画にはセリフも入れてくれる。

その技術は何らかの形で介護事業にも取り入れて業務削減ができると思うし、そうすべきある。

だがその範囲はデスクワークの部分が主でしかないという現実もある。

議事録を生成AIが正確に作成し、担当者は最終チェックするだけで良くなり、さらに各種加算の算定要件も生成AIが読み込んでチャックすることができるといっても、そこで削られるのは事務担当者の仕事でしかない。

介護支援専門員(以下、ケアマネと略)の行ったアセスメントを生成AIが読み取って自動的にケアプランを提案でき、それをケアマネはチェックし修正を入れるだけということになっても、肝心のアセスメントやモニタリングはケアマネ自身が行わねばならない・・・利用者宅やサービス事業者に訪問してサービス利用表や提供表等を届けてくれロボットなんて存在しないし、ケアマネに替わって担当者会議を開催してくれるロボットも存在しないわけだから、ケアマネ実務が大幅に削減できるという現状にはない。

それでも今存在するAI技術によって、少しではあってもケアマネ業務は省力化が図れれるのだから、そうしたテクノロジーを利用しない手はない。この部分にはお金をかけるべきである。
介護DX
だが介護業務となるとテクノロジーが代替してくれる部分が非常に少ない。施設サービスにおいて、見守りセンサー設置や、看護・介護職のインカム利用は当たり前になりつつあるが、それによって削減できているのは定期巡回時間と連絡機器の設置場所への移動時間でしかない。逆にセンサー反応に走り回る時間が増えるというケースも見受けられる。

それよりも交換回数が少なくて済む高性能紙おむつといったアナログ介護用品の方が、介護業務の削減に直結している。だがそれは介護DXとは呼べない部分の業務改善だ。

もっと劇的に介護業務が省力化できる介護DXは実現できないだろうか・・・。

自動体交機能のあるエアマットや介護支援ベッドは、褥瘡予防にある程度の効果があることは示唆されるものの、研究者、専門医の間でも意見が分かれており、絶対的な有効性が確立されているとは言いきれない。この部分の技術革新ができないだろうか。

例えば人の手をかけずともベッド上の利用者の生体反応等を感知して、最も適切な体位を取れるようにできるマットやスマートベッドができたならば介護業務は大幅に削減できるだろう。生成AIの技術進歩を鑑みると、それは可能な範囲ではないのか。

デスクワークという部分でも、事務職員のそれではなく、介護職員に特化した記録削減を目指せないだろうか。

介護職が記録業務から解放されない最たる理由は、それが適切な介護を行っているという唯一の証拠となるものだからだ。実際の身体介護を行った記録、そこで観察した利用者の身体・精神状況等は事務職員が替わって記録できない問題である。

そうであるがゆえに、例えばAIにケアプラン内容を読みませたうえで、同時に介護業務を何らかの方法で読み取って、ケアプランに沿ったケアが行われているか否かを記録できないか・・・さらに加算算定要件を読み取ったAIが、その要件に沿ったケアができているかどうかも読み取って記録できるようにならないものかと思う。

このような研究開発を進めて、介護職員が記録をしなくてよい介護サービスを実現できれば、それは大いなる介護DXと云えるのではないだろうか。

それができていない現在の状況では、一番の介護生産性向上は、介護知識と技術に長けた介護職員を育て定着させることに尽きるように思われる。

だが生産年齢人口が減り続け、介護人材の不足解消に見込みのない現実において、そのような取り組みの限界点も下がっており、一日も早い介護DXにつながる技術革新が求められる。
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介護生産性向上に不可欠なユーストレス


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介護人材不足が深刻化する昨今、介護事業経営の視点として従業員が安心して働き続けることができる職場環境を創り上げていくことがより重要なってきている。

その為の様々な工夫や取り組みが必要とされるが、従業員のメンタルヘルスケアもそこでは重点項目となっている。

メンタルヘルスとは人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できるような満たされた状態を指す。

その状態が悪化することをメンタルヘルス不調というが、それは様々なストレスに対処できなくなることにより生ずる状態である。よってストレスとなる要因(ストレッサー)を探り、そうしたストレスが従業員の健康を害しないように管理することは職場の責任であると自覚することが、経営者や管理職に求められ、ストレス管理のシステムを職場内に設けておく必要がある。

だがストレス=悪者という考え方は間違っている。メンタルヘルスを害する良くないストレス(ディストレス)は悪者だが、仕事のパフォーマンスを高める良いストレス(ユーストレス)もあることを理解せねばならない。
生産性を高めるユーストレス
ディストレスは、生体反応として自律神経やホルモンバランスが乱れ、免疫の働きが落ちて、肉体的にも元気がなくなる状態(うつ、不安など)につながる。さらにパフォーマンスの低下であったり、イライラなどの精神不安、体調不良などを引き起こすので防ぐ必要がある。

しかしストレスが適度にある時(ユーストレスが働いているとき)にパフォーマンスは最も高くなることも事実だ。

例えば学生時代を思い出してほしい。試験勉強をしなければならないのに、試験が1月も先にあるとなかなか机に向かう気持ちにならない。しかし試験が近づくというストレスが高まると、勉強しなければという動機づけとなり、一夜漬けであっても知識を頭に叩き込むというパフォーマンスを高める働きが生まれる。

仕事も同様で、ユーストレスが働いている職場では生産性が向上するのである。

よって人材不足が常態化し、生産性の向上が不可欠となる介護事業者のストレス管理とは、ユーストレスが働く状態を創り出しながら、それを超えたディストレスを防ぐという考え方でなければならない。

では介護事業におけるユーストレスとは、どのような結果を求めるものだろう。

それは介護職員になりたいと思う多くの人たちが、「人の役に仕事だから」という動機づけを持つことと結びつけるべきであり、利用者の豊かな暮らしを創造するというストレスであるべきだ。

自分が相対する利用者の暮らしぶりをよくすること、自分が対応するときに利用者が幸せそうな笑顔になることができること・・・そんな目標を達成するという動機づけがユーストレスとなり、介護の生産性向上に結びつくのではないのだろうか。

そうではなく介護職員に対して、利用者対応を無視した形で売り上げ目標だけを目標にさせたときディストレスによってパフォーマンスは低下し、メンタルヘルス不調に陥る授業員も増え、生産性は著しく低下するだろう。

そうならない労務管理が求められるのである。
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あかい花を支えてくれているもの



僕は大学を卒業したと同時に社会福祉法人に就職しました。そこを起点にずっと介護業界で働き続けています。

措置制度から介護保険制度への転換という大改革も経験しながら、介護業界で生活の糧を得て家族を養ってきたわけですから、介護業界そのものに大恩を感じています。その為、少しでも恩返しをしたいと思い、「北海道介護福祉道場あかい花」という任意団体を立ち上げ、北海道の若手介護人材を育て始めたのは社福の総合施設長をしていた当時のことでした。

そして今から10年前、その活動を広げようと思い社福の総合施設長を辞してフリーランスの立場で活動を始めました。北海道介護福祉道場あかい花の現在地は、「もうひとつの入学式」で紹介している通りですが、この団体の活動には収益が伴いません。無償のボランティア活動として若手人材を育てているからです。

その為、ボランティア運営部門の活動資金を得るための主益部門として、「あかい花介護オフィス」という組織を立ち上げて、僕はそこのCEOを名乗っています。

この組織の主な収益は、講演活動執筆活動で得ています。つまり僕に講演や執筆を依頼してくれる人がいるからこそ、若手人材育成にも携わることができるわけであり、間接的に僕に仕事を依頼してくれている人も若手人材育成のサポーターとなってくれていることだと思います。そのことを心から感申し上げます。

そんなサポーターと言える諸団体の中でも、特に付き合いが長いのが大阪市老連さんです。2010年頃から毎年、講演依頼を頂いているので、その付き合いは既に15年以上ということになります。

そして今年も大阪市老連主催の看取りケアとターミナルケア研修会が開催され、「命の尊さ〜バトンを繋ぐ意味」と題した120分講演を行います。
大阪市老連主催看取りケア・ターミナルケア研修会
コロナ禍の真っ最中でもこの講演はオンライン配信していましたが、配信場所は自宅ではなく大阪まで行って、事務局の方が設営した会場から配信していました。

現在はリアルタイムの会場研修となっています。

研修日時は令和7年7月18日)。会場は大阪市立社会福祉センター(天王寺区東高津町:というか上本町といった方がわかりやすいかも・・・。)の3階第一会議室・・・大阪メトロ谷町線の谷町9丁目駅から歩いて8分ですね。

まだ1月以上先の研修ですが、毎回この研修は(会場の席数に限りがあるため)満員札止めになる人気の研修会です。

お申し込みはこちらをクリックして専用フォームから送信してください。

さて執筆活動の方の紹介もしておきます。

株式会社マイナビさんが運営するポータルサイト、「メディカルサポネット」の連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第6回配信記事が6/9にアップされました。
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ということで今日は、講演と執筆について紹介させていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
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骨太の方針2025は期中改定につながるのか?



先週末、経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)の原案が示された。

いうまでもなく骨太の方針とは、内閣府に設置された経済財政諮問会議にて決議する政策の基本骨格のことである。

ここで示された考え方が令和8年度の予算編成に影響してくることになる。
骨太の方針2025
その内容を見ると、「医療・介護・保育・福祉等の人材確保に向けて、保険料負担の抑制努力を継続しつつ、公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める。(6頁)」と記されている。

処遇改善加算については2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップができる財源措置をすでにとっているが、2026年度(令和8年度)については、賃上げの進捗や他産業の動向などを踏まえて直前の予算編成過程で判断し、2026年度の期中改定も視野に対応を検討するとされていた。(2023/12/20当時の鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が折衝で合意済み)

今回の骨太の方針によって、2026年度(令和8年度)の処遇改善加算の加算率の引き上げが現実的になったと言えるだろう。だが単に加算率がアップしさえすればめでたいということにはならない。

問題は医療・介護・保育・福祉等以外の各産業で、2024年度以降5%前後の給与ベースアップがされていることだ。その為、全産業平均給与月額と介護職等の平均給与月額の格差が広がっている。それをどれだけ縮小できる予算措置がとられるのかが問われる。介護関係者はそこに注目していかねばならない。

また介護報酬についても、「足元の物価上昇に的確に対応できるような仕組みづくり〜公定価格(医療・介護・保育・福祉等)の引上げ (47頁)」というふうに明記されている。6日には石破首相も介護報酬の引き上げを明言した。

ということは物価高等の経営コスト上昇に応じた介護報酬の改定が、2027年度の定期改定を待たずに、2026年度に期中改定されるということではないだろうか。ここは大いに注目したい。

賃金引き上げによる人材確保という面だけが強調されると処遇改善加算の引き上げが=報酬引き上げとされて終わる可能性がある。しかし物価高・経営コスト上昇に対応した報酬引き上げが明記されたことで、それで終わらない期待が出てきた。だがそれがきちんと物価上昇に応じたレベルのプラス改定でないと廃業しなければならない事業者が出てくる。

そうならないようにきちんと声を挙げ続けていかねばならない。そういう意味では介護関係者はプラス改定という掛け声に安心してはいられない。

なお当然のことながら財源確保の痛みも覚悟せねばならない。介護保険サービスを受ける際の利用者負担2割対象者が、現在の20%から30%に拡大される可能性が高い。

また「ケアマネ処遇改善必要論に3つの温度差」で指摘したように、介護支援専門員の処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入は紐づけされたままである。

要介護1と2の訪問介護と通所介護の市町村事業への移行については、2027年4月から生活援助の先行実施の可能性が高まっている。

また今回の骨太の方針では、「有料老人ホームの運営やサービスの透明性と質を確保する。(38頁)」と指摘されている。有料老人ホーム経営主体が、入所者に対して自社の居宅サービスを限度額近くまで提供して囲い込む状態などに鋭くメスが入る可能性が高い。

この他、介護DXや外国人材活用の推進、保険外サービスの推奨などにも触れられているので、一度その内容を通読してほしいと思う。
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顧客マナーを欠いても良い理由を探すことをやめよう



僕は現在の、朝・昼・晩と3回に分けて合計2時間弱の室内有酸素運動を行って体調管理をすることを日課にしている。

デスクワークが主となっている僕の暮らしでは、どうしても運動不足になりがちだ。そのため体重を必要以上に増やさないことを第一の目的にして、出張がない日はほぼ毎日その運動を行っている。

運動後の爽快感に勝るものはないが、しかし運動を始めることは決して容易ではない。思わず運動をしなくてよい理由を考えてしまいがちであるが、そうなるとさぼり癖がついてしまう・・・だから今は、運動をしない理由を考えないように自らを戒め、運動をする効用・その後の爽快感だけを考えるようにしている。

それによって毎日の運動が習慣化して、苦も無く自然に続けられている。

介護事業におけるサービスマナーの浸透も、同じようなことが云えるのではないだろうか・・・。
介護サービスの割れ窓理論
経営者や管理職が、顧客満足度を高めようとする目的をもって、従業員の接客態度を向上させようと組織改革にチャレンジする介護事業者が増えている。

スマホやタブレットを当たり前に使いこなし、ネットの口コミ情報で様々な選択肢を選んでいる団塊の世代が、サービス利用者の大部分を占めるようになりつつある現在、選ばれる介護事業者になるためには、その方針は正しいといえよう。

しかし従業員の意識が思うように変わらず、成果が挙がらないと嘆く声が聴こえてくる。介護サービス利用者に対してマナー意識を基盤として、ホスピタリティ精神を高めようと取り組んでも、従業員はタメ口対応が親しみやすさを現す表現であるという意識から脱せず、顧客に使ってはならない無礼な言葉遣いが直せないという話もよく聞く。

サービスマナーが浸透しない事業者のでは、丁寧な態度や言葉を使えない・使わない理屈をまず先に考えてしまう傾向が強い。そのため行動変容に繋がらないのである。

丁寧な態度や言葉は利用者に堅苦しさを感じさせるとか、よそよそしく思われるだとか、丁寧に接しない理由から先に考えてしまいがちだ。しかしその考えはあくまで介護を行う側の考えでしかなく、介護サービスを利用する人の考えではない。

しかもそのような考え方は、介護サービスを利用する人は顧客であるということを無視した考えでもある。

介護という職業を通じて生活の糧を得ている以上、そこでサービスを利用する人はお客様に他ならない・・・まずこの顧客意識を浸透さえなければならない。そうであれば顧客に対し、サービス提供者がタメ口で対応するのはもってのほかだということが理解できるはずだ。

そして顧客はただ単にサービスを提供してくれても満足はせず、接客する人におもてなしの気持ちが感じられる態度を望むのだ。

そのため丁寧な接客を行うべきだというのは、小学生でも解かる理屈であり、家族でもないサービス提供者が、家族と同じぞんざいな態度で利用者に接するなんて言うことが許されない行為であることも小学生の理解レベルだ。

丁寧な態度で接することができない理由も、「忙しい」・「腹が立つことを云われる」・「いうことを聴いてもらえない」などとあげつらう人がいるが、そんな理由で接客態度が低下することを介護以外の他の職業では許してもらえるとでも言うのだろうか。

どの職業でも、忙しい中でも顧客の態度や状態に我慢しながら接客に徹することが求められるのである。それも小学生に教えるレベルの事柄だろう。

利用者と仲良くなって、自分の祖父母のような関係になっているために態度が砕けるというのも介護のプロとしての態度に徹していないという甘えだ。家族ではない介護サービス提供者は、家族と同じ態度で利用者の接するのではなく、あくまで他人であり、かつ自分はプロの介護支援者であるという意識をもって節度のある態度が求められるのだ。

プロの介護支援者が利用者に対してサービスマナー精神を忘れずに接するという意味は、人権を侵害する要素を徹底的に排除するという意味だ。横柄な態度・無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後では、なんの免罪符にもならないのである。

顧客である介護サービス利用者から誤解されない対応の基盤となるのが、「サービスマナー」なのである。

だからこそ、どうぞよそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいてください。
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ケアマネ処遇改善必要論に3つの温度差



介護支援専門員(以下、ケアマネと略)の人材確保が急速に困難になっている。

直近の有効求人倍率は9.44倍で、同じ調査による介護職員(6.37倍)を大きく超える状況となっているのだ・・・。

こうした状況を受けて介護支援専門員の処遇改善が必然との声も高まっている。

例えば5/29には、自民党の日本ケアマネジメント推進議員連盟が、ケアマネの処遇改善を強く訴える要望書を厚生労働省に提出しているなど、政治的動きも目立ってきている。

介護保険制度改正の審議を行う社保審・介護保険部会の2/20資料にも、「ケアマネジャーがケアマネジメント業務に注力することができるよう、業務の整理やICT等の活用により負担を軽減しつつ、なり手を確保していくことが喫緊の課題」と問題提起されており、ケアマネを対象にした新たな処遇改善加算の新設に向けた期待が高まっている。

問題は国がこのことをどう考えているのかだ。
ケアマネ処遇改善
財務省はケアマネ対象の処遇改善加算の新設には反対だろう。

これに対し厚労省は、前回の制度改正で見送った居宅介護支援費の自己負担導入の結論を27年3月末までに示すとしていることと絡めて、2027年度〜自己負担導入としたうえで、ケアマネ対象の処遇改善加算を新設しようとしているように思える・・・このようにケアマネの処遇改善は、居宅介護支援費の自己負担導入と紐づけすることで財務省も首を縦に振るとみているのではないか・・・。

国にケアマネの処遇改善を求める諸団体の考え方にも温度差が見られる。

一番多いのは、ケアマネの処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされて考えられていることなどまったく知らない状態で、ケアマネの処遇改善だけを訴えているケースである。

次に多いのは、ケアマネ処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされていることを知りながら、それでも良いとしてケアマネ処遇改善を訴えているケースだ。

そして最も少ないのは、ケアマネ処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされていることを知っており、それはおかしいと紐づけをしないことを同時に訴えているケースである・・・僕の場合は、その立場をとっている。

ケアマネの処遇改善・給与アップは、ケアマネになろうとする人を増やし定着させるためには必要不可欠である。しかしその見返りに居宅介護支援費の自己負担が導入されれば、ケアマネの業務負担はかなり増えざるを得ない。

なぜなら自己負担金の徴収業務は、担当ケアマネが担うことになる事業所が多くなるだろうからである。毎月の自己負担金を担当利用者全員から徴収する業務はかなり大変だ。しかも滞納者が一人も出ないことは考えにくく、そうしたケースへの対応も増える。

処遇改善されて給与が上がっても、業務負担が増えれば、それは仕事に見合った定期昇給というイメージにしかならない。処遇改善効果は低下するだろう。

しかも、「居宅介護支援費への自己負担導入は、介護支援専門員の職が奪われるという意味でもあるんだぜ」という記事で指摘した通り、居宅介護支援費に自己負担が導入された後は、自己負担しなくて済むように訪問介護事業所などの居宅サービス事業者が、自社サービスを利用する代わりにケアプランを無料で作成支援するケースが増える。

つまり居宅介護支援事業所の顧客は減るのだ。処遇改善加算の仕組みは、毎月の売り上げに加算率をかけるのだから、顧客が減れば処遇改善の額も少なくなる。何より居宅介護支援事業所の経営に支障が生じかねない。

よってケアマネの処遇改善の訴えと同時に、そのことを居宅介護支援事業の自己負担導入と紐づけしないように求める必要もあるのではないかと思う。
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不十分なカスハラ対策を放置する末路



介護保険事業者に対して、令和3年度(2021年度)の基準改正で全サービスにハラスメント対策を講ずる義務が課せられた。

その際に職場内のハラスメント(モラハラ・パワハラ・セクハラ)と共に、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止に取り組む義務も課せられた。

だがハラスメント対策の当初案ではカスハラ対策は含まれていなかった。それが後に追加されたのには理由がある・・・利用者宅を訪問してサービス提供する訪問介護員(以下、ヘルパーと略)が、顧客の暴力・暴言の被害を受ける事例が数多く報告されたのである。

ヘルパーが利用者宅という密室で様々なハラスメントを受けているという実態が明らかにされると共に、それを放置して、「相手はお客様なのだから、多少の行為は我慢せよ」と対策を講じない管理者がいることが問題となった。

ヘルパーの成り手は女性が多いが、彼女たちが利用者宅で男性の顧客からセクハラ的言動を受けることに対して事業管理者が、「相手は障害を持った高齢者なんだから、適当にあしらって」と放置する事例が多数報告されたのである。

それはまかりならんというのが、カスタマーハラスメント対策を講ずることが運営基準に入れられた最大の理由である。
カスタマーハラスメント
しかし相変わらず顧客の不適切行為に対して毅然とした対応が取れない事業者が存在する。ヘルパーに毅然とした対応を取らせない管理者もいなくなっていない・・・だがそれは後々大きな問題を引き起こしかねない。

訪問介護等を利用する要介護高齢者の方々の中に、サービス提供者を召使いであるかのように勘違いしている人がいる。男尊女卑の考え方を持っている人も少なくない。そうした考えを持つ人は、仕事で自分に対応する女性ヘルパーは、多少の迷惑行為・セクハラ行為を受け入れて当たり前という考えを持っていることがある。

その結果、女性ヘルパーの胸やお尻を触るのが当たり前のように手を伸ばす人がいる。それは明らかにカスタマーハラスメントであるし、わいせつ罪という犯罪行為でもある。

現在ヘルパーは高齢化が進行しているが。そのためセクハラを受けるヘルパーも人生経験の長い女性であることが多く、そうした年長女性ヘルパーは顧客のセクハラ行為を適当にあしらって、ヘルパー業務をうまくこなしているケースがある・・・しかしそれに甘えて、顧客のセクハラ行為を放置しておいてよいのだろうか。

セクハラ顧客を適当にあしらっていたヘルパーに替わって、他のヘルパーが対応した際に、同じ行為を受けて同じようにあしらえるとは限らない。

この4月からは、介護事業所等での実務経験等を有する技能実習生及び特定技能外国人について、訪問介護等訪問系サービスの業務に従事できるようになった・・・そのため外国人ヘルパーも徐々に訪問サービスの場で独り立ちして働くようになっている。

外国人ヘルパーとして活躍する人は若い女性であることも多い。それらの人が年長ヘルパーが適当にあしらっていたセクハラ顧客の、同じような行為に耐えられるだろうか・・・。

耐えられない人は、わいせつ行為を受けたことで心に大きな傷を負い、二度とヘルパー業務ができなくなるかもしれない。中にはそうした行為に及んだ利用者と、そうした行為を放置していた訪問介護事業所に賠償請求しようとする人もいるだろう。

顧客のセクハラ行為・カスタマーハラスメントを認識しながら、対応したヘルパーがうまくあしらっていることに胡坐をかいて会社が必要な防止措置を講じていなければ、労働安全衛生法上の安全配慮義務違反によって、使用者責任を問われる可能性がある。

さらに労働契約法(2008年施行)の職場環境配慮義務違反で債務不履行責任を問われることになるだろう。

このようにカスタマーハラスメントへの対応の緩さは、事業経営の危機に直結する問題となり得る。

介護事業経営者や管理職は、ヘルパーのあしらいに甘えず、毅然とした対応が求められることを理解しなければならない。
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ケアマネジメントの独立性という矜持



制度改正の度にケアマネジメントの質が議論されるが、2027年度改正議論の中でも同じような議論が行われている。

その中でも特に問題になっているのが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの集合住宅での、「囲い込み過剰サービス」である。

サ高住の入居要件として併設居宅介護支援事業所と契約することを求め、その居宅ケアマネが入居後に利用する訪問介護・通所介護等も自社内のサービスに限定して区分支給限度額ぎりぎりまでのサービスプランを組むなどが不適切とみなされているわけである。

その為、居宅介護支援費の「同一建物減算」を現行の5%減算から減算幅を大幅に引き上げてはどうかという問題提起がされている。

その実現可能性は極めて高いのではないだろうか。
ケアマネジメントの独立性
これはケアマネジメントの独立性という問題である。

だがそれは居宅介護支援事業所が大手法人の一事業所として存在することを否定するものではない。仮に大手企業内の居宅介護支援事業所であったとしても、利用者の暮らしの質を高めるためのケアマネジメント・利用者本位のケアプランという本質を忘れず、自社サービスへの囲い込みありきのケアプランからの脱却を求めるものである。

そしてそのことは集合住宅に居住する利用者のプラン作成に限った問題でもない。例えば先日、下記のような指定取り消しケースが報道された。
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先月5/30に和歌山市は介護保険法に基づき、有限会社「LOHAS」が市内で運営する2つの介護保険サービス事業所の指定を取り消した。指定が取り消されたのは、「福祉用具ステーション Stand up」(福祉用具貸与・特定福祉用具販売、介護予防も)と「ほっとケアマネステーション」(居宅介護支援・介護予防支援)。

和歌山市によると、「福祉用具ステーション Stand up」は2021年6月に指定を受けたが、指定申請の際、虚偽の勤務形態一覧表を提出し、福祉用具専門相談員の人員基準を満たしているかのように装った。

事業開始後も、人員基準を満たしていない状態が続いていたが、併設する「ほっとケアマネステーション」のケアマネジャーは、不正を認識していながら給付管理を行っていた。この事業所はまた、一部の利用者のサービス担当者会議を開催しないなど、運営基準に違反していたが、請求時に減算していなかった。

不正受給された介護給付費は合計約1560万円。生活保護受給者の公費負担分を含めると、約3620万円に達した。
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このように自社の他事業所の不正に加担する居宅サービス計画書を作成、給付管理していたというのだ。自分が所属する会社であるから不正に加担せざるを得ないという考え方は、自分を犯罪者に貶める考え方であると気づいてほしい。

勿論、一ケアマネでしかない立場で、会社のトップはじめ管理職などに楯突くことは難しいという気持ちも理解できる。だがその場合は、もっと柔らかく「不正は必ず明るみになるので、その場合罰則金も含めて莫大な支出が必要になるので、そういうことはしてはなりません。」と嗜める姿勢はあって当然だろう。

そもそもケアマネが足りない現状で、居宅ケアマネは引く手あまたである。そのような不正に手を貸して犯罪者の烙印を押される前に、そんな会社にはさっさと見切りをつけて、法令に沿った正しい仕事ができる事業所を探したほうが良いと思う。そうすれば不正に手を貸すというストレスも解消されるのだ。

ケアマネは、利用者本位という言葉を建前ではなく本音に変える代弁者であり、ケアプランは、その宣言書であることを決して忘れてはならない。
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