masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

政策誘導される介護・医療連携に実効性を



我が国では2025年以降、75歳以上の人口増は落ち着くが、85歳以上の人口が伸びていく。そのため容態急変・寝たきりリスクが増加する。

要介護者の数と85歳以上の高齢者数のピークは2042年頃と見込まれているため、その間にどのような対策が必要かということが介護・医療両制度で検討されているわけである。

特に高齢者の「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していくのだから、療養に対し今まで以上の財源や人手をかけることは不可能になる。よって財源支出がより必要な医療サービスから、それより支出が少なくて済む介護サービスへの付け替えが政策的に進められていく。

例えば2024年度の基準改正で介護保険施設には協力医療機関指定義務が課せられた。この意味は、介護保険施設の入所者が入院が必要になった際に、協力医療機関にスムースに入院できるという意味もあるにはあるが、それより協力医療機関で速やかに急性期治療を行い、出来るだけ早期に介護保険施設に退院させるという意味合いが強い。

その為、厚労省は解釈通知等で、「在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定されている。」という考え方を示している。

在宅療養支援病院等は、自宅等の居所で療養を支援をすることを主たる目的とした医療機関であるから、入院は原則1週間で延長しても2週間しか入院させない。その期間で介護保険施設に退院させるという意味だ。

ただし想定されるというのは、義務ではないのだから、それ以外の長期入院できる医療機関と連携する介護保険施設もあろうと思う。

しかし24年報酬改定は、介護と診療のダブル改定であったため、診療報酬の改定ルールに厚労省は在宅療養支援病院等が介護保険施設と連携する餌撒きをしている。在宅療養支援病院等に対し、介護保険施設等の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいという要件化を行っているのだ。

その他、介護保険施設や居住系施設には、協力医療機関との定期的な会議を行うことで加算算定できるようにされたが、同時に医療機関に対しては、定期的に会議を行い連携体制を構築している介護保険施設等の入所者に往診したり、入院させた場合に加算を算定で切るようにしているのだ。

よって医療機関側も介護保険施設等との定期的な会議は、大歓迎で実施してくれることになっているのだ。

このように今後は長期入院はレアケースで、出来るだけ早く医療機関から退院させ、回復期の療養を医療機関以外の居所で行うことが当たり前になるのだから、居宅サービスでも同じように介護・医療の連携ケースが求められる。
介護医療連携が必要なケース
上の図のように、認知症の方の徘徊理由が便秘であるケースは、食事作りを担当する主介護者に対し、栄養士がアドバイスしたり、訪問看護師がフォローしたり、通所介護の職員が協力しなければ問題解決しない。そうしたチームを居宅ケアマネがまとめるわけである。

その際に考えなければならないことは、関係者がチームを組んで集まるだけで、課題が解決するとは限らないということだ。3人寄れば文殊の知恵というが、そういう現象に期待を寄せてはならないのだ。

リーダー役の居宅ケアマネが、チームを組む利点と欠点をよく理解して関わる必要があり、チームケアのメリットを最大化する必要がある。

このことについて、6月4日(水)福島県伊達市NOP法人おりおりの会主催のオンライン研修で、「2027年度改定を見据えての現状の課題と介護の在り方」をテーマにして解説する予定だ。

24年度の制度・基準改正と報酬改定が、現状どのように影響し、次期改正等にどうつながっているのかという解説の中で、今現在求められている介護・医療連携のあり方を説明する予定だ。

おりおりの会には、福島県伊達市の介護・医療関係者が多数入会しているので、実効性のある連携につながる話をしたいと思う。伊達市の介護関係者にエールを送る動画も作成したので、是非下記より参照願いたい。

おりおりの会の皆様、4日午後から画面越しに愛ましょう。よろしくお願いします。
メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.5の最新記事が5/14にアップされました。菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営

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居宅介護支援の生産性向上に向けて


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介護人材不足が深刻化する中で、介護支援専門員の不足も顕著になりつつある。

そのような状況も相まって、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)の業務も生産性の向上が求められるようになってくる。

ケアマネジメントは利用者の身体介護などを行う業務ではないので、ICTの活用場面が多々想定できる。そのためICTを最大限に活用する方法を模索し、ケアマネジメント業務の在り方を整理する必要がある。

例えばオンラインで完結する業務を増やすなどして業務削減につなげていく必要あるが、特に移動時間を削減することは業務効率化生産性向上に直結する。

2021年度の基準改正で認められたサービス担当者会議のオンライン化を活用し、担当者会議の基本はオンラインと考えるべきである。加えて2024年度の基準改正で、居宅ケアマネの義務である利用者面接の変更ルールを利用しない手はない。
テレワーク
居宅介護支援事業所の基準省令第14条イで定められている「少なくとも一月に一回、利用者に面接すること。」については、同条ロにおいて、「イの規定による面接は、利用者の居宅を訪問することによって行うこと。」とされていたが、2024年度改正でここに、「ただし、次のいずれにも該当する場合であって、少なくとも二月に一回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月においては、テレビ電話装置等を活用して、利用者に面接することができるものとする。」という文言が付け加えられている。

訪問面接に替えてオンライン面接を行ってよい要件は以下の通りである。
------------------------------
(1)テレビ電話装置等を活用して面接を行うことについて、文書により利用者の同意を得ていること。
(2)サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
(i)利用者の心身の状況が安定していること。
(ii)利用者がテレビ電話装置等を活用して意思疎通を行うことができること。
(iii)介護支援専門員が、テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは把握できない情報について、担当者から提供を受けること。
------------------------------
上記要件自体のハードルは高くない。それをクリアすれば面接の2回に1回は利用者宅を訪問せずに済むわけである。

現在居宅介護支援の利用者の中心層は、今年全員が75歳以上となる団塊の世代の方々となってきているが、それらの利用者はスマホやタブレットを使いこなしている人が多い。利用者がテレビ電話装置等を活用して意思疎通を行うことは益々当たり前になっていく。

だからこそ在宅ケアマネ諸氏は、このルールを最大限活用して、2回に1回の面接はリモートで完結するように努めてほしい。そのようなケアマネが増え、それによって何も支障がないということが証明できれば、2回に1回の訪問面接が3回に1回とか、4回に1回とかに要件緩和が期待できるからである。

そもそも2回に1回の訪問という頻度の根拠は何もない。改正前は毎回訪問面接を義務付けていたのだから、激変を防ぐためにリモートは2回に1回としただけである。

リモート面接の導入は、人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から行われているのだ。よって利用者サービスの質の低下につながらないことを前提に、さらにリモート面接機会を増やしてケアマネジメント業務の削減を図るべきである。

この部分は在宅ケアマネの発想と価値観の転換も必要になってくると思う。
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テレワークが広がるメリット



完全テレワークの居宅介護支援事業所つなぐ手ケアマネセンターの顧問を務めている。

顧問として同社主催のオープンセミナー講師を務めているが、それはオンラインセミナーとして全国の希望者に無料配信している。

次回はVOl.41 2025年6月19日(木)13:30〜15:00・迫りくる2040年問題と在宅介護の未来:菊地雅洋氏と描く、持続可能なケアの実現戦略というテーマでフォーラム形式で配信予定である。後日Zoomに入室できるパスコード等を公開するので、是非アクセスして視聴していただきたい。

ちなみに前回配信のセミナーアンケート結果は、文字リンク先をご覧いただきたい。

さてつなぐ手ケアマネセンターのオフィス自体は札幌市発寒にある。

同社のケアマネは会社で仕事をしたければ出勤しても良いが、出勤時間が決まっているわけではなく、自宅で仕事を開始した時間が就業開始時間である。道や電車が混まない時間帯を選んで会社に来る自由もある。

だが常時20人以上所属しているケアマネジャーの多くは、週に1度も出社せず、在宅でのデスクワークと、利用者宅や居宅サービス事業所の訪問に時間を費やしている。

つまり顧問先の居宅ケアマネは、出社しなくとも日常業務に支障を来すことはないわけである。
テレワーク
当然のことながら、そうなると仕事のために通勤するという行為が必要でなくなる。通勤という行為にかける時間やお金が必要無くなるのである。

これは非常に大きなメリットだ。多くのサラリーマンは通勤という行為に多大なエネルギーを費やしている。都会では満員電車の通勤を余儀なくされて、そこで心身へとへとにすり減らしながら出社して、会社でさらに忙しい業務に追われるという無限ループを続けている人も少なくないだろう。

そうした通勤が必要無くなると、自ずと居宅介護支援という仕事の生産性も向上するのではないだろうか。

僕自身がそのことを身をもって経験している。

僕は社福の総合施設長を辞した際、フリーランスとして独立するまでの1年間だけ千歳市にある老健施設に勤務した。独立前に医療系施設の実務を経験しようという動機で仕事に就いたので、最初から短期間しか勤務しない予定であった。

その為、その老健に勤めていた1年間は、自宅のある登別市〜片道90分かけて通勤していた。たった1年間だけの経験であったが、それは体力と気力を限りなく削るものだと実感した。

ただ運転するだけで毎日180分もの時間が削られるのである。本業のほかに講演や執筆作業も抱え、1日の時間がもっと長かったらよいと考えていた僕にとって、その通勤時間は貴重な時間を削り取る悪魔のような時間でもあった。

今現在は通勤時間が全くないために、心にも余裕ができ時間を有効活用している。

通勤時間がない分、自宅で毎日エクササイズに励み、健康管理・体重管理もできている。何より時間に縛られるという状態が減ったことによって、人生を愉しむことも増えているように思える。

そのことによって仕事のパフォーマンスも向上していると思う。

そういう意味では、居宅ケアマネの皆さんには居宅介護支援事業所に課せられている利用者宅での訪問面接規定の緩和について大いに利用してもらいたいと思う。介護給付の場合、2月に一度オンラインでの面接でよいとする緩和要件を活用することによって、次のステップに進む可能性もあるのだ・・・そのステップとは何か?

そのことについては明日更新するブログ記事で詳しく解説したいと思う。(※明日に続く)
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妬みを超える自分でありたい



人から嫌われたくないとか、人から好かれたいと思う気持ちは誰しも持っているだろう。

僕自身もそのような気持ちは持っている。

だが同時に、すべての人に嫌われない自分、すべての人から好かれる自分なんてありえないとも思う。

そして年と共に、他人から好かれようという気持ちは薄れているように思う。自分を嫌う人がいたっていいやという気持ちが大きくなってきている。

少なくとも人に好かれるために自分を飾ることはしたくない。出来る限り自分らしく、ありのままで生きたいと思う。だから僕と繋がって交流のある人もたくさんいる反面、僕の態度や考え方に反発して嫌う人も少なくない。

その典型が現に僕が管理する介護福祉情報掲示板である・・・そこで僕は、歯に衣着せぬ発言に終始しているので、随分と僕を嫌いな人を増やし続けている。優し過ぎて甘やかす情報掲示板が多い中で、プロである対人援助の専門家を厳しく育てようというコンセプトを揺るがせないという意味で、それはそれで良いと思っている。
登別漁港
だが人から嫌われることを厭いはしないが、自分自身を嫌いになってしまうような自分ではいたくないと思っている。

僕は僕自身が持つ厭(いや)らしさに気が付いている。それは人並み以上に自尊心が強いことだ。だがそんな自分が前面に出ることは恥ずかしいと思っているので、他者の鼻につく態度として表面に現れないようにはしたいと思う。

同時に自尊心の強さは、妬(ねた)みの心を生み出すように思えてならない。

自分より良い立場の人、恵まれている人を羨ましいと感じるだけではなく、それを妬み、そうした境遇の人が一度不運に恵まれれば痛快に思ってしまうことがないとは言えない・・・だがそれは極めて恥ずべき心だ。醜い心である。

世の中の幸福の総量が決まっているわけではない。

誰かが幸福になった分、自分が幸福に恵まれる機会が減るわけではないのだ。だから他人の幸福を妬む必要はない。他人の幸福を心から祝福する気持ちでいる方が健全であるし、自分自身の心も明るくなるはずだ。

それを解かっているにもかかわらず、時として人は他人の幸福や幸運を妬む気持ちを持つ。そしてそういう気持ちを持つことを後になって後悔する・・・その繰り返しである。つくづく人間ができていないと思う。

人を妬ましく思う気持ち、他人を羨ましく思う気持ちを超えて、他者の幸福や幸運をいつでもどこでも祝福できる自分でありたい。

おそらく僕は自分がこの世で生きる人生の半分以上をすでに費やしている。残り時間は今までの人生より少ないだろう。

そうした限られた時間の中で、人を恨んだり妬んで過ごすのは損であると思う。人を愛し祝福する時間を過ごしながら、この世での人生を終えたい。

それが願いである。
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ケアマネ不足の原因は国策の誤りではないのか



全社協、「中央福祉人材センター」の調査結果によると、今年2月の介護支援専門員(ケアマネジャー:以下ケアマネと略)の有効求人倍率は9.70倍となって、介護職員の6.13倍を大きく上回っている。

介護人材不足と言えば介護職員の不足という事態がまず頭に浮かぶが、それ以上にケアマネが不足しているという事態が出現しているのだ。

ケアマネ不足という状況は、上記の調査データを見るまでもなく様々な地域で関係者が実感していることだろう。特に居宅介護支援事業所のケアマネ(以下、居宅ケアマネと略)の不足は深刻で、それによって重大な問題を引き起こしている。

小さな町や村で居宅ケアマネの数が減り、多くの居宅ケアマネが担当者を限度ぎりぎりまで抱えて、新規利用者を受け入れることができなくなっている。そうした町村では、近隣市の居宅ケアマネに担当を打診するが、そこでも多くのケアマネが新規利用者を受け入れることができないほど担当人数を抱えていたり、移動距離がネックになって受け入れを拒否するケースが目立っている。

その為、居宅介護支援を受けられないというケースも出現している。

だからと言ってそのことで介護保険サービスを利用できなくなるわけではなく、セルフプランという手もあるし、居宅サービス計画(ケアプラン)が作成されないことを前提にした償還払いサービスという手はある。(参照:居宅サービス計画なし=保険給付されない、ではない。
深刻なケアマネ不足
しかし居宅ケアマネは、単にケアプランを作成するケアプランナーではない。

居宅ケアマネは相談援助職として利用者に寄り添い、ケアマネジメントという手法を使って利用者の生活課題を見出し・解決する専門家である。

そうした対人援助の専門家の支援を受けることができない地域住民が増えているということ自体が問題なのである。この状態は国民の福祉を低下させる問題であると言って過言ではない。

このような深刻なケアマネ不足を招いた原因ははっきりしている。それはケアマネを処遇改善の対象外に置いた国の誤った施策によるものだ。特に居宅ケアマネは、処遇改善加算の蚊帳の外に置かれてきており、処遇改善加算の配分を一部受けることができた施設ケアマネより処遇面で不利益を被ってきた。

そのことによってケアマネより介護職員の方が給与が高く設定されている介護事業者が増えた。さらに継続的に処遇改善される見込みがある介護職の方が先の見通しも明るいと考える人も増えた。

こうした状況に嫌気をさして、居宅ケアマネを辞めてしまった人も少なくない。

だがそれらの人が介護職員に転身したとも限らない。元職が介護職員であった人なら、ケアマネから介護職に復帰するという人もいるだろう。しかし元職が相談援助職であった人は、ケアマネに見切りをつけた時点で、介護業界そのものに見切りをつけて、まったく別の異業種に転職してしまった人もいる。

現に国税庁の調査によれば、今年度の賃上げ率の平均は正社員の介護職2.15%全産業の平均(春闘)は5.37%で、その格差は3.22ポイントと大きい。(前年度の2.07ポイントからさらに拡大)

このため介護業界から離れて、他産業への離職者が増加しているという。

ケアマネの仕事は、ケアマネジメントを通じて利用者の暮らしを支える仕事だ。利用者から信頼され、様々な相談を受けて一つ一つの課題を解決していく過程で、利用者の笑顔や感謝の言葉に出会う仕事でもある。

自分が利用者に寄り添うことによって、その方が地域で仕事で暮らし続けることができることを実感できる仕事でもある。

そのような社会的使命と役割を実感できる仕事から離れ、他産業に転身しなければならない理由が、給与をはじめとした処遇が低いままで将来の見通しが立たないというものである。それは余りにも残念な理由だ。

ケアマネがその社会的役割に見合った処遇となるように、期中改定も厭わず早急な処遇改善策を打ち出す必要があるのではないだろうか。

いやその必要性は絶対にある。国は誤った施策の間違いを正して、国家の責任を果たすべきだと思うのである・・・。
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masaのラーメン道〜ずんどう屋・羽田空港店



毎月のように利用している羽田空港・・・しかし4月は新千歳空港から直行便のある福岡等への出張しかなかったため、たまたま2カ月ほど羽田空港を利用する機会がなかった。

その為、今週水曜日に東京出張で羽田空港を利用したのは3/6以来となった。その時、いつも利用する場所の景色が変わっていてびっくりした。
羽田空港第1ターミナル1F
第1ターミナル1階の、京急線に続く通りの角付近(というかフードコート、リンガーハット、天やが並んでいる場所の、通りを挟んで真向い)に丸亀製麺とずんどう屋が出店していた・・・聞くところによると3/24にオープンしたとのことである。画像のように、まだ昼前の11:15頃なのに、両店舗とも行列ができている。

たしか丸亀製麺とずんどう屋は、同じ経営母体ではなかったか・・・両者が隣り合っているのは、そういう関係があり、同時オープンしたものと思われる。
ずんどう屋
せっかくなので僕もずんどう屋に並んで食券購入して食べてみた。

ずんどう屋は2002年に兵庫県姫路市で誕生したラーメン専門店。じっくり炊き出したとんこつだしをベースに背脂を加えた濃厚スープが特徴。自家製麺にもこだわり、上質の小麦粉を使い丁寧に仕上げているそうである。関西風の豚骨ラーメンということだろうか。
味玉ラーメン
一番人気という「味玉ラーメン」を食べてみた。麺は細麺ストレートと、それよりやや太めのちじれ麺の2種類から選ぶことができる。僕が選んだのは細麺ストレート。

麺の量は思ったより多い。替え玉もできるが、それを追加しなくとも十分お腹を満たしてくれる量だ。九州で食べる豚骨ラーメンより麺の量は確実に多いと思う。

スープは博多の濃厚豚骨と同じように粘度のあるどろ系。長浜ラーメンのようにサラサラではない。濃厚豚骨スープだが臭みはほぼなし。甘みを感じる美味しいスープだ。

とろっとろの味玉とやや薄めの叉焼、ネギ、海苔が具としてトッピングされている。行列ができても、回転も速いのでさほど待ち時間は苦ではなく満足感の高い一杯であると思う。(※ただしお昼時は少し待ち時間が増えるかも・・・。)

しかし難ありと言いたいことがある。それはカウンターの狭さだ。隣の客と肘がぶつかるというほど狭いスペースで椅子が配置されている。一蘭のような仕切りもなく、オープンスペースで隣客との距離の近さを感じながら食べることに落ち着かない雰囲気を感じるだけではなく、それを嫌う人も少なくないと思う。

ということで再訪は、空いていた考えようと思う程度であろうか・・・。

ちなみに下の画像は、新千歳空港ラーメン道場の「空」の味噌ラーメン&マヨチャーシュー丼。
ラーメン空の味噌ラーメン&マヨチャーシュー丼
新千歳空港の味噌ラーメンでは、現在ここが一番旨いと思う。いわゆる「純すみ系」。ただし空港価格でラーメン1杯1.100円が最低価格なので、あえて空港で食べる必要はないと思う。
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人権を護り事業を守るマナー教育



僕は今、羽田空港のJALさくらラウンジでこの記事を更新アップしている。

昨日の午後に上京し、都内の社会福祉法人の職員研修として夕方18:30〜90分間サービスマナー講演を行い、昨晩は馬喰横山の定宿に宿泊した。その宿を経ち、これから自宅に向かって北海道に帰るところだ。

昨日の講演先は社会福祉法人で、そこの従業員研修の講師役を務めた。そのためできるだけ多くの従業員さんが参加できるように時間設定されている。このように日勤者が勤務を終えた後の講演依頼も多い。もっと遅い時間でも対応は可能なので、希望がある方は是非連絡していただきたい。

ちなみに昨晩の夕食は、講演後一人呑み会と相成ったが、「masaの血と骨と肉〜石狩の学校出身ではなく僕は、胆振(いぶり)がっこう、です。」で紹介しているので参照願いたい。

昨日講演を行った社会福祉法人は、利用者を名字に様付けで呼ぶなどしてサービスマナー意識も浸透しているところだ。そうであってもそうした意識がなぜ必要かを全従業員が確認し、その意識をさらに向上させるために、定期定期にサービスマナー講演を受講することは大きな意義があるように思う。
介護の誇りと使命
介護支援を施しのように勘違いして、利用者に対しサービス提供者が上から目線で対応するところでは不適切ケアが横行し、それが虐待につながるだけではなく犯罪さえ誘発しかねない。

昨日の報道では、滋賀県甲賀市で訪問介護で訪れた高齢男性のキャッシュカードを盗み、ATMで47万円を引き出したとして、窃盗などの疑いで甲賀市に住む訪問介護士の39歳の訪問介護員の男が逮捕されている・・・さらに新潟県妙高市では、介護施設の入所者のキャッシュカードを盗み、ATMで40万円を引き出したとして41歳の介護職員の女が逮捕された。

このような事件によって介護事業に対する信頼は著しく失墜する。逮捕された二人の人生も終了しかねないが、これらの従業員に介護サービス利用者は顧客であり、介護支援者は介護技術を提供するプロとして家族とは一線を画すサービス提供が必要であるという教育ができていたのであろうか・・・。従業員に対してサービスマナー教育を行っていない介護事業者では、いつ何時このような事件が引き起こされないとも限らないのだ。それは即ち介護事業危機に直結するものだという危機感を介護事業経営者や管理職は持たねばならない。

利用者に対するサービスマナー意識の向上は、利用者自身の尊厳や権利を護るという意識を失わせないためにも求められるものであるが、本当に利用者の人権を護る教育指導が行われているだろうか。

それができていないところが多い証拠として、介護保険施設・居住系サービスでは、施設入所したとたん、本人より家族の希望や意見が優先されるケースがよく見受けられる。

例えば、判断能力に問題のない利用者自身が、「施設に管理を任せた自分の預貯金があることを子供に知らせないでほしい」とい希望した場合、その要求は当然かなえられてしかるべきである。

にもかかわらず、「身元引受人である家族に、そのような重大な事実は隠せません」と利用者の意志を無視する施設関係者が存在する。身元引受人は残置物引き取り契約を行っている人でしかなく保護者ではないのだ。そのような理屈は法的根拠も何もない屁理屈にしか過ぎない。

法律を護ることは当たり前だ。しかし法律は所詮文章であるため、人間生活のすべてを規定できない。よって法に規定されないことは、すべて許されるという意味ではな。だからこそ介護支援者にはより高い倫理意識が求められる。

そして倫理とは、人として何が大切かという本質を問い続けるものである。その問いの一つに、介護サービス利用者の人権を侵害する要素を排除するために何が必要かという教育訓練は欠かせない。

横柄な態度、無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後では、なんの免罪符にもならない。だからこそ相手から誤解されない対応の基盤となるのが、「サービスマナー」であることを理解せねばならない。

私たちは対人援助のプロとして、いつでもどこでもマナーをもって接することができるように訓練する必要があるのだ。

だからどうぞ、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいてください。
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感染予防の面会制限は人権侵害という指摘



新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」になってから今月8日で2年が経った。

その感染症分類がまだ2類とされていた当時、緊急事態宣言が発令されたのをはじめとして、感染予防のための様々な措置がとられた。

そこでは医療機関や介護施設等で外出・面会制限が行われるのが当然とされていた。

しかもそうした制限が約3年にもわたって続いていたのだ・・・それは新型コロナ感染症のパンデミックという異常事態が引き起こした状況であり、やむを得ない措置であったと思われているが、その措置や評価が本当に正しかったのかということは、今後数年あるいは数十年後に歴史が判断を下すことになるだろう。

その際には、『当時の人類は新型コロナウイルスに対して、あまりにも無知であったのと同時に、対応も大げさ過ぎて、至る所で人権侵害が行われた。』という評価を受けるかもしれない。

今を生きる私たちは、甘んじてその評価を受けなければならない。その覚悟だけはしておこう。
制限
ところで未だに数多くの医療機関や介護施設では面会制限が続けられている。

その状況に対して、「本当にまだ必要なのか」と疑問の声が上がっている。

先日も医師や福祉職らでつくる団体が「家族の最期のときに会えないのは人権侵害。デメリットの方が大きい」として、面会制限の緩和や廃止を求めている。

感染症に詳しい医師の一人は、必ずしも面会制限がクラスター感染防止につながらないと述べている。

厚生労働省はこのことに関連して、「面会の重要性と感染対策の両方に留意し、面会の機会を可能な範囲で確保するよう検討をお願いしたい」との見解を示している・・・責任を負うことが嫌いなお役所的言い回しで、制限が必要なのか必要でないのかよくわからないどっちとも取れる内容だ。つまり具体的な対応は各医療機関や施設に丸投げしているという意味でしかない。

だから私たちは制限すべきか否かという判断と、その判断基づいた結果責任もすべて負わなければならない。そうであるからこそ、クラスターの発生や重症者や死亡者が出ることを異常に恐れ、制限ありきの対応に走る関係者が多いことも完全に否定はできない・・・。

だが人として何ができるのか、人として何をしなければならないのかと考えることを止めてはならない。

面会制限による感染予防効果など考えられている以上に少ないのだ。

従業員が外から職場に出入りしている以上、ウイルスの侵入を面会制限で完全に防ぐことはできない・・・面会制限に制限がどれほど効果があると思っているのだろうか。それは単なる気休め効果しかない。

思えば新型コロナ感染症は、医療や介護関連関係者の制限のハードルを著しく下げたように思えてならない。コロナ禍以後に介護業界に職を求めた人の中には、介護事業は自らの都合で他者の権利をなんでも制限できると勘違いしている人も存在する。

その考え方は人の尊厳をないがしろする考え方につながりかねない。非常に危険な考え方である。

自分以外の他者の暮らしに介入し、その人の尊厳を護り豊かな暮らしを実現するために、私たちは何を行い、何を行ってはならないのかが問い直されている。

そろそろその答えを示さねばならないのではないだろうか。
メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.5の最新記事が5/14にアップされました。菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営

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5月病対策は重要な人材マネジメント



5月の連休後に、会社に行きたくない人が増える「5月病」・・・読者のみなさんの職場には、そういう人はいないだろうか。

ストレスが原因と言われるこの症状は、介護事業においても深刻な人手不足と直結していく。

4月に入職した新人が、まだ介護実務に精通していない状態で、連休前には先輩に手取り足取り業務を教えてもらっていたのに、GWに入った途端、いつもより人員配置が少ない中で仕事に追われ、ワンオペが増えて戸惑うことが多くなる。

その際に、どうしたらよいかわからない状態に遭遇しても、誰にも相談できない状況となってパニックになってしうなど、想定外の出来事に遭遇した人は自信を失い、自分は介護の仕事に向いていないのではないかと秘かに悩んでいることがある。
5月病
そのような状態に新人職員を置かないことが何より大事だが、慢性的な人手不足の現状から、やむを得ずそうした状況が創られてしまう職場もあるだろう。

そのような状況はないとしても、入職後1月間緊張して仕事を覚えていた人は、張り詰めた糸が何かのきっかけで切れてしまうこともある。

そんなふうにしてストレスや不安を抱え込んでいる人が居るかもしれないのが今の時期である。

だからこそ自分の職場と5月病は無縁であるという固定観念は持たずに、悩みと不安を抱え込んでしまっている新人職員はいないかと周囲を見渡してほしい。

5月病といっても、その症状は様々である。適応障害や鬱といった精神症状から、食欲不振や睡眠障害といった身体的な症状もすべてメンタルヘルス不調が原因となってくる。

職場に出られなくなるのは、相当症状が進んでからのことであるから、職場内で周囲の人がちょっとした変化を見逃さないで対応することで、症状の重症化を防いで回復につながるケースも少なくなり。

元気で明るかった新人職員の口数が減ってはいないか・・・表情変化がともしく、無表情で黙々と仕事をこなしている時間が多くなっていないか・・・仕事中のため息が目立つ新人はいないかetc.

周囲が気づくことができる小さな変化は意外と多い。その時5月病の兆候が見られる人は、仕事の愚痴を言ったり、苦しい気持ちを吐き出したりすることで、気が楽になることがある。

だからこそ親身になって話を聞いてくれる誰かが側にいてくれることは、メンタルヘルス不調が悪化しないためには重要なのである。

そんなふうに5月病の初期段階で求められる支援者は、精神科医でもカウンセラーでもなく、職場で優しいまなざしを注ぎ、温かく耳を傾けてくれる上司であることを理解してほしい。

そして5月病とは、新人の誰もが陥る可能性がある状態であることを理解し、もう一度周囲を見渡し直してほしい。
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今年の桜が見納めになる人が目の前にいます



僕が住む登別市は、東側に苫小牧市・西側に室蘭市があり、ちょうどその中間地点に位置している。

国道36号線を苫小牧方面から室蘭方面に走ると、登別に入ってすぐの交差点を左折するとJR登別駅がある。その交差点を逆側に右折して山に登っていく道路が登別温泉線という道道で、その名の通り登別温泉まで続いている。

その道路の両側には桜の木が植えられており、開花の時期にはその花がトンネルのように道路を覆っている。そのためその状態は「花のトンネル」と呼ばれている。(下記画像参照ください)
道道登別温泉線花のトンネル
この桜は例年だとGWが終わるころに満開となることが多いが、今年はいつもの年より早くGW真っただ中に満開となり、今は花が散って葉桜になっている・・・しかし遅咲きの八重桜が咲き始めているので、ところどころその花が観光客等の眼を愉しませてくれるであろう。

僕が社福の総合施設長をしていた時には、この時期に特養の利用者をマイクロバスに乗せ、花のトンネルを何度も通って桜を見ていただいていた・・・毎年の恒例行事で、きっと今もそれは行われ続けていることと思う。

だが高齢者介護施設という特性から言えることは、今そこで桜を愛(め)でている人の幾人かは、来年はその花を愛でることは叶わないということだ・・・。

僕たちはそういう人たちに向かい合って、日々の暮らしの支援をしていることを忘れてはならないと思う。

今年の桜がこの世で見る最期の桜になることを意識している人はいなくとも、僕たちはそうなるかもしれない人たちに向き合っているという事実は消すことができない。そういう人たちが日常を営むことに不便が出ないように、地道に黙々と支援の手を差し伸べるのが介護という仕事である。

我慢に我慢を重ねた先に、明るい未来があるとは限らない人々がそこにはたくさん存在するのである。

だからこそ出来ないことから物事を考えて、何もしない人にならないでほしい。できる可能性を求める人であってほしい。

制限ありきの支援思考ではなく、日々の豊かな暮らしを営なむために何をすべきかを考える人であってほしい。

辛い状態・哀しい状態を放置せず、今その状態を変えるために手を尽くすのが真の介護支援である。

哀しみの涙を放置せず、喜びの表情を贈るのが介護である。

対人援助というステージで、利用者の方々と向かい合う貴方・・・どうぞ、そのことを忘れない人でいてください。
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アンガーマネジメントの基盤はソーシャルワークの原則



アンガーマネジメントが求められる理由より続く

怒りやすいと云われる人が、怒りの感情がなるべく湧き上がらないようにするためには、自分の考え方を変える必要がある。

介護支援の場で利用者と相対した際に、相手の言動が間違っていると思った時に怒りの感情が湧き上がる。その際に、自分が正しいという判断をし続けると、自分の価値観に沿ったものしか受け入れられなくなり了見が狭くなる。

了見が狭まると周りの状況に気づけず、自分の意見に固執した結果、人の気持ちを無視してしまい、自らの信頼を失う結果にもつながる。

そうならないように他者の行動や考えを一旦受け入れることが必要とされる。

このように「自分が正しい」というこだわりを捨て、他者の考え方にも一理あると考えることによって了見が広がりを持つ。そして自分の思うようにならないことに対しても怒りの感情を持たずに済むようになる。

それは即ち、他者の考え方を共感的に理解することであり、共感的理解の姿勢がアンガーマネジメントを容易にするのである。

そうであれば、そこで必要とされる態度とは、バイスティックの7原則の一つである「受容の原則」を貫くことであると気づくであろう。

そこでは、どのような観点からでも利用者を裁いてはならないという、「非審判的態度」も求められることにも気づかされる。

さらに支援者は自分の感情を自覚し、自分の感情をコントロールして援助することによって、利用者の感情に引きずられて冷静な判断力を失わないことにもつながる。それは、「統制された情緒関与の原則」そのものである。

このようにケースワークの基本原則として1957年にバイスティックがその著書の中で述べた7つの原則のうち、受容の原則非審判的態度の原則共感的理解につながり、統制された情緒関与の原則自分の感情をコントロールすることにつながるのである。

これらの原則を貫く態度がアンガーマネジメントの基盤となるといってよいだろう。
視野を広く持つ
そして他人の感情に巻き込まれやすい対人援助の場では、自分がどのような感情や意見を持ちやすいか自覚することが必要不可欠となる。それは自己覚知と呼ばれるものであるが、それは専門職としての立場に個人的価値観が影響しないようにするために求められるものだ。

例えば、「自分は忙しいときにものを頼まれるとイライラしやすい傾向になるので気をつけよう」などと自分を戒める考え方を持つことである。

対人援助の専門家とは、このように自分の感情を否定するのではなく、素直に正確に認識することが常に求められているのだ。つまり自己覚知とは自分をあるがままに受け入れることであり、その感情をコントロールすることなのである。

場合によっては、対人援助の専門家と言えども対応する相手に対し否定的な感情を抱くこと自体はあり得ることだ。それを悪い感情だと否定するのではなく、受け入れて、だからこそ悪感情を表に出さないように気をつけようと自らを律することができれば良いだけの話だ。

対人援助の専門家は、ソーシャルワークの原則や自己覚知という基盤を揺るがさずに、自己感情をコントロールできる己を築き上げてほしと思う。

それが人の暮らしに寄り添うプロの使命感と誇りに繋がっていくであろう。

どちらにしても利用者の感情に向き合う対人援助という職業は、常日頃からの精神作業が求められる仕事であり、アンガーマネジメントの知識と共に、自分の心を護るためのストレスコーピングの知識も持ってほしい。

先日顧問先の職員研修としてアンガーマネジメント講演を行ったばかりであるが、来月3日はテーマを券たるヘルス不調を防ぐストレスコーピングとしてしているのは、アンガーマネジメントとストレスコーピングはセットで学んだ方が効果が出るという意味でもある。(参照:masaの講演予定・履歴

読者の皆様におかれましても、是非こうしたテーマの研修を実施して、従業員が怒りのはけ口として不適切な利用者対応に繋がらないようにするとともに、そうした心がけに注意するあまり、メンタルが低下しないような予防策を講じてほしい。

講師のご用命がある方は、いつでもお気軽に連絡していただきたい。
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アンガーマネジメントが求められる理由



介護の職業は、感情労働であるとも言われる。

感情労働とは、自分の感情や気持ちをコントロールして、状況や相手にあわせた言動が必要となる仕事のことである。

介護の仕事は利用者に直接相対する仕事であり、そこで利用者とサービス提供者双方の感情のやり取りが行われる職業であるのだから、介護従事者は対人援助のプロとして自分の感情をコントロールして利用者対応する必要がある。

当然のことながら怒りの感情もコントロールしなければならない。

だがここで勘違いしてはならないことは、怒りではないということだ。人は喜怒哀楽の感情を持つ存在であり、怒りを覚えることも人として当然の感情である。

だが「怒り」は報われることの少ない感情である。仕事中に怒りを覚えて、その感情を抱えたまま業務をこなそうとしても、怒りによってエネルギーが奪われることになりかねない。その為生産性は低下することはあっても向上しないのである。
心が鎮まる風景
その他にも怒りの感情は次のようなデメリットを引き起こす。
「怒り」にとらわれてほかのことができなくなり、時間を無駄にする
「怒り」によって理解者が減り、職場での居心地が悪くなる
「怒り」で自分の顔が険しくなり、周囲から敬遠される
「怒り」で、今まで愉しめたことが愉しめなくなる
「怒り」は自分の視野を狭める

だからこそ怒りの感情が湧き上がっても、それをぐっとこらえて怒りを鎮めて業務対応する姿勢が求められるわけである。

だが果たして怒りの感情は、コントロール可能なものなのであろうか・・・それは可能である。

そもそも怒りとは何にって引き起こされるのだろうか。よくある間違いは、怒りとは、その時の出来事が原因となるという考え方である。

そうではなく、出来事を起こったときに、それを自分がどう考えるかによって、怒ったり何も感じなかったりするのだ。つまり自分の考えが怒りを生み出すのである。だからこそ考え方次第で怒りに繋がらなく出来るわけである。

「自分が正しい」というこだわりが強まると、怒りを感じさせる考えを裏付けることばかりに目が向く・・・怒りを強める考え方の癖として、「すべき思考」がある。「○○すべき」と思い過ぎると、その通りにならないこと全てに怒りを持つことになる。

このように怒りは自分で創り出しているのだ。だから考え方を変えるだけで、ある程度その感情はコントロールできる。自分の価値観だけが正しいと思いこまず、他者の考え方を受け入れようとすれば、怒る度合いも少なくなるだろう。

それでも湧き上がる怒りをなくすることはできない。どうしても湧き上がってくる怒りの感情をコントロールするテクニックがアンガーマネジメントである。

それは次のような方法を知っておき、怒りを感じたときに実践することである。
怒りのピークは初めの6秒間・その間ゆっくりと数を数える
その場から離れる〜トイレに行く、缶コーヒーを買いに行くなど
今後自分の評価がどうなるか考える〜冷静に叱ることができるのならば評価が上がる〜自分の評価向上の場面に転換しようとすることで、怒りを鎮めることができる
過去の成功体験やうれしかった経験を思い出すことで、感情をリセットする
怒りがわいたときに言うセリフを決めておく〜「大丈夫」「わかってたこと」など
怒りを点数化する〜「今回の怒りは3点」「この前は5点」「これは思ったよりも高く8点」など
深呼吸をする〜何度か繰り返すことで、副交感神経の働きが高まり、リラックスすることができる
こうした対応によって怒りを抑えて冷静な対応に結びつくと云われる。昨日アップした記事で論評した有料老人ホームでの暴行致死事件の容疑者も、こうしたテクニックを知っておれば、違った結果となったのではないかと思えてならない。

だがこうした方法論を覚えても、自分の怒りの感情がどのような理由で、どのような方向に向かう傾向があるのかを理解しないと、その場しのぎの継続性がないものに終わってしまう。

ということで、明日はこの記事の続きとして「アンガーマネジメントの基盤はソーシャルワークの原則」を書く予定だ。
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佐賀の老人ホームで起きた傷害致死事件



繰り返される介護職員による暴力事件・・・今度の舞台は佐賀県である。

先週5/2(金)午前4時ごろ佐賀市北川副町の老人ホームで、入所者の柳瀬忠雄さん87歳の顔を殴ったり、背中に立って踏みつけたりする暴行を加え、胸の骨を折るなどのけがをさせた傷害の疑いで35歳の介護職員が翌3日に逮捕された。

被害男性は搬送先の病院で死亡が確認され、司法解剖の結果、死因が暴行と因果関係があると見て警察は容疑を傷害致死に切り替え動機や原因などを捜査している。

容疑者は佐賀市諸富町に住む介護職員・下津浦弘平(35歳)。警察によると同容疑者は容疑を認めているという。
介護の闇
事件があった老人ホームとは、有限会社千歳が経営している住宅型有料老人ホームちとせであると思われる。

容疑者の男は、「ちとせヘルパーステーション」の管理者として登録されているため、2日朝も訪問介護員として被害男性に対応していたのか・・・しかし看護職員と共に夜勤中に、看護職が休憩に入って容疑者がワンオペとなった時間に暴行したとの情報もある。

住宅型有料で2人夜勤というのも考え難く、このあたりの情報は錯そうしているが、背景はともかく一事業所の管理者という立場の者が、怒りに任せて利用者が胸骨骨折するほどの暴力をふるい、死に至らしめたという事実は動かない。

このようなことがあってはならないが、介護事業者内での同じような暴行致死事件が繰り返されているのも事実だ。(参照:元日早朝に起きたサ高住での暴行死 ・ 顧客意識を持てない職員の成れの果て

介護事業とは日本社会を支えるセーフティネットであるはずだ。介護離職が大きく問題視されているように、身内の介護を個人の問題とせずに、社会全体で解決に導くことがすなわち日本経済を支えることにもなるのである。

だがそれを理解してもらうためには、介護事業が存在するだけでは駄目だ。介護サービスの品質が当然問題となり、それが人の暮らしを支えるに十分なものであるかが問われてくる。

そうであるにもかかわらず、このような虐待事案が続々と出現することによって、それが氷山の一角であり、すべての介護事業者が不適切サービスの要素を持ち、それを隠していると思われてしまう。

こうした事件をなくさないと胸を張って介護がセーフティネットだとは言えなくなるのである。

だからこそ不適切サービスの芽を事前に摘むサービスマナー教育が不可欠なのである。親しみやすい介護だとか、家庭的な介護だとかいう屁理屈で、お客様である介護サービス利用者にタメ口で話しかけることを是とする素人事業経営が、今日の虐待が相次ぐ状況を招いているのではないのか。

横柄な態度、無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後では、なんの免罪符にもならない。

介護事業に携わる私たちは、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいなければならないのである。

それと共に、怒りなどの感情を抑えて、常に対人援助のプロとして適切に利用者対応ができる態度を身に着ける必要がある。その為にも明日は、この記事の関連としてアンガーマネジメントについて論ずる記事をアップする予定だ。

5/8の更新の記事もぜひ参照いただきたい。

ところで、この容疑者名をFBで検索すると、事件記事と共に複数のアカウントが表示され、すべて当該容疑者のものと思われる。

恐ろしいことにそのアカウントの一つには、まったく罪のない容疑者の妻や長女の顔写真が掲載されていること。SNSが普及した現代社会では、こうした形で家族が特定されてしまう。悪いことはやってはならないとつくづく思う。
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物書き業は暦の祝祭日が繁忙期です



連休最終日の今日を前にして、Uターンラッシュが昨日から始まり、幹線道路は渋滞が発生しているらしい。

そのような世間の喧騒とは関係なく、僕は自宅に巣ごもりしてこのGWを過ごしていた・・・というより自宅でデスクワークを続けていた。その仕事とは執筆作業である。

僕は現在フリーランスの立場で、多種類の仕事をマルチにこなしているが、その主要業務の一つとして物書きとしての仕事がある。

ここ20年間程度を振り返ってみても、印税や原稿料収入がゼロであった月は全く存在しないのだからプロの物書きと名乗っても嘘にはならないだろう。
U+(ユープラス)  masaの介護・福祉よもやま話
例えば、内田洋行(株)のサイトU+(ユープラス)の連載・masaの介護・福祉よもやま話153回目の記事が先月アップされているので、もう12年以上の連載だ。

CBニュースの連載・快筆乱麻masaが読み解く介護の今の先月配信記事112回目となっており、連載期間は9年目に入っていることになる。

さらにマイナビが運営するメディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営は、今月アップ分が4回目であるが、その前に菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営を12回(1年間)連載していたので、これも複数年をまたいでの連載となっている。

それだけ長期間にわたって連載記事を書いているということは、同時に長期間にわたって毎月原稿料もいただいていることになる。僕にとっては決して無視できない収入源だ。配信元の各社に対しては、この場を借りてお礼を申し上げたい。

上記に挙げた連載はすべてインターネットの配信サイトにアップされる記事だ。そんなふうにこの10年間で物書きの仕事は、紙ベースの冊子等からネット配信記事に変わってきている。それ以前は介護専門誌や新聞等への連載を行っていた。それらが途絶えることなく続いているということになる。

さらに連載のほかに単発でも原稿依頼や、他者が書いた原稿の監修の仕事等が常にあるような状態だ。

こうした仕事には〆切日というのがつきものであり、決められた日まで原稿を入稿あるいは監修しなければならないという義務が付きまとう。勿論、体調その他の理由で遅れが全く許されないわけではないが、流行作家でもない僕が、毎回〆切日を無視して自由気ままに書くことが許されるほど甘い世界ではない。

ところで原稿を依頼してくれる出版社等もGWは休みである。そして休みが長ければ長いほど休み明けの仕事は気合を入れて処理せねばならなくなるのは、どこも誰しも同じである。ということで依頼原稿の編集なども休み明けからフルスロットで行われることが多い・・・つまり連載原稿等の〆切日を休み明けに設定して、編集にかかることが多いということになる。

ということで必然的に僕は連休が続けば続くほど、その間に書き上げて〆切に間に合わせる原稿仕事が多くなる傾向にある。その為今日も明日〆切の原稿の仕上げを行っている。だがこの状態はある意味幸せな状態っであると言える。

自分の役割が常にあるということだからだ。

だからこそ今の自分の存在を創り上げてくれた介護業界と関係者の方々に感謝しながら、介護という職業に寄与する情報発信をしていきたい。その為には、自分でできもしない理想論を文字にするのではなく、実現してきた実践論のノウハウを解かりやすく伝えるのが僕の役割だと思っている。

僕の講演を聴いてくれた方や、本を読んでもらった方が、「勇気をもらった。いろいろあって介護の仕事からいったん離れようと思っていましたが、考え直しました」・「一度介護の仕事をリタイヤしたのだけれど、今日の話を聴いてもう一度介護の仕事にチャレンジしてみようと思います」・「本を読んで元気になった」・・・そんな言葉をもらうと、僕ももう少し頑張って自分が持つノウハウや、自分が得た最新情報を伝える努力をしていこうという気持ちになる。

そしてこれからも対人援助の専門家のサポーターとして、実務者目線から情報発信・意見具申していきたい。
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加齢・華麗・咖哩



今年のGWも残りわずか2日間となった。

期間中行楽に出かけた方は、出先で美味しいものを食べただろうか。またシフト勤務者の方で休みをとれない人は、せめて期間中美味しいものを食べる機会を創って少しでもリフレッシュしてほしい。

今日のブログ記事は休みの人も暇つぶしに読めるように、軽いノリのどうでも良いことを書こうと思う。勉強になる記事を読みたいと思う方はスルーしていただきたい。

僕は子供の頃、食べ物の好き嫌いが随分あって、ナスピーマンセロリ人参トマトといった野菜類が特に苦手だった。

大人になるにつれそのような苦手な食べ物はなくなり、逆に子供の頃よく食べた甘いものには興味がなくなった。

好きなものも肉より魚に変わっていったように思えるが、ラーメンなどは子供のころから変わらず好きなままの料理も多い。

その中でも特にカレーはずっと好きである。子供のころ苦手だった人参も、カレーに入っておれば食べられた・・・ということで今日の更新ブログでは、GW期間中に食べたカレー料理を紹介したいと思う。
丸亀うどんの牛かつトマたまうどん
まずは、「丸亀うどん」の牛かつトマたまうどん。牛カツが存在感だが、なぜ牛カツ何だろう。カレーにあうのは豚カツだと思う。何となく残念だ。
丸亀うどんの牛かつトマたまうどん
うどんの汁はは、カレーというよりトマトの酸味が引き立つカレー風味のたれといった感じ。何となく物足りない。

そこで翌日、吉野家でカレーライスを2種類大人食いしてきた。
牛魯珈カレー&バターチキンカレー
牛魯珈(ろか)カレー&バターチキンカレー。
牛魯珈(ろか)カレー
牛魯珈カレーはスパイシーで、通常吉野家で出されている黒カレーより美味しいと思った。ただ牛丼の頭がこれに合うかと言えば疑問。牛肉は白いご飯の部分で牛丼風に食って、カレーはカレーライスだけで食べた方が良いと思った。
バターチキンカレー
バターチキンカレーは、牛魯珈カレーより僕の好みに合った。特筆すべきは鶏肉の多さ。結構な大きさの肉がゴロゴロ入っていて満足感が高かった。

だが僕が住む登別市でカレーと言えば、「室蘭カレーラーメン」である。登別市の人気店「つるつるや」のカレーラーメンを紹介しよう。
カレーチャーシュー麵&ライス
来店客の9割以上の人がカレーラーメンを注文する店で、カレーチャーシュー麺とライスのセットを注文。
つるつる屋のカレーチャーシュー麵
チャーシューで覆われた丼からは、麺が見えない。
つるつる屋のカレーチャーシュー麵
ということで麺リフト。中太の縮れ麵である。
カレースープにライス投入
麺を食べた後は、ライス投入してスープカレーで締めた。

カレーラーメンと言えば、「山岡家」でも季節限定のカレー麺を出しているとの情報があった。
山岡家の特製カレーとんこつラーメン
ということで山岡家の特製カレーとんこつラーメン。辛さはなく、うまみのあるカレー味。結構気に入りました。
カレーとんこつラーメンの麺
山岡家の麵は、「太麺ストレート」が定番だが、このラーメンだけは「太麺縮れ麺」。こちらの方が旨いと思う。山岡家さん、他のラーメンでもこの麺を選択できるようにしてください。
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介護保険制度の行方



今週月曜日(4/28)に、「GW中に確認してほしい介護保険制度設立経緯」を書いて、介護保険制度創設に関連する4つの記事を紹介した。

その一つ、「介護保険・夜明けの雷鳴1」を読むとわかるように、介護保険制度の当初案では、「負担は20歳、受給は65歳から、在宅サービスを先行実施し、段階的に施設サービスも後発実施する」とされていたのである。

しかし収入のない学生を含めた20歳以上の国民に、受給権も与えずに負担だけを強いることに理解は得難いということと、同じ高齢者介護であるのに在宅と施設で制度が違っては混乱するという意見が強くなり、法案提出直前になって、「保険料負担・受給は共に40歳から。制度は在宅、施設の同時実施。」と軌道修正された。

そのうえで保険料負担については、1号被保険者(65歳以上)と2号被保険者(40歳以上65歳未満)に区分したうえで、2号被保険者については特定疾病に起因する障害に対してのみ介護認定と給付を行うという条件を付けた。

2号被保険者を40歳以上とした理由は、その年齢になると自分の親の介護問題が身近になり、理解を得やすいとされたものである。

だが将来的には保険料負担年齢を当初案と同じ20歳まで拡大しなければ介護保険制度は維持できないと考える人も居り、制度が浸透した現在がその時期ではないかと考える人も少なくない。

さらに定年延長で70歳まで現役として働く人が増えている中で、1号被保険者の対象年齢も65歳から段階的に70歳まで引き上げてはどうかという意見もちらほら見え隠れしている。そして長期的には、1号被保険者の対象年齢引き上げと、2号被保険者の対象年齢引き下げは避けられないと考える人が多くなっている。

これらの給付制限・国民の痛みを伴う改革については、85歳以上の後期高齢者数と要介護者数がピークとなる2040年問題を見据えて議論の俎上に上ってくることが考えられるが、その時期は夏の参院選が終わった後から行われる可能性もある。

少なくとも国政選挙前にそうした問題は表立って議論の俎上には昇らない。
黄昏
今現在は、地域3分類化と地域特性あわせたサービスの柔軟化が議論の中心で、時にそれぞれの地域で人材不足が深刻化してくることから配置基準緩和が議論の中心となっている。

この配置基準緩和論は、更なる人材不足に拍車をかける悪循環を生みだすことを、「配置基準緩和を誰が歓迎するのか。」という記事を書いて警告しているが、もう一つ問題点を指摘しておきたい。

それは配置基準が緩和された先には、必ず報酬削減が待っているということだ。少なくとも財務省は、配置人員を減った状況で、今までと同等対価で介護事業経することを認めるような甘い考えは持っていない。緩和された配置職員数で運営している場合は、それまでの対価を引き下げることを念頭に置いている。

つまり人員配置を緩和してなお、報酬引き上げを求める声が通るという期待してはならないということだ。

基準緩和に賛同の声を挙げている関係者は、このことも理解したうえで、マイナス改定もやむ無しとして緩和策を歓迎しているのだろうか・・・そうだとしたら、介護事業経営センスが疑われると思う。
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介護生産性向上はDXの視点のみでは不十分です



介護事業における生産性向上が、本気で求められる状況である。

それだけ人材は足りなくなっており、その状況は今後もさらに深刻化し、人材不足が解消される見込みもない。

そこで求められるのが介護DX(Digital Transformation)であるという・・・それが必然であることに異論はないが、介護事業の生産性向上はDXだけで実現しない。

なぜなら介護とは事務処理仕事が大きなウエイトを占めるような職業ではなく、利用者に向かい合って身体介護や生活支援を行うという、究極のアナログ対応が迫られるからだ。ここに先端技術を結びつけることも必要とされようが、同時にアナログをうまく使いこなすことも必要になる。(後述)

そこをどう考えるのかが大きな問題となる。

だがそこに至る様々な過程・・・ケアの方法論を導き出したり、それをチーム全体で共有する方法等については介護DXを推進する必要がある。その際、介護DXの意味が職場内全体で共有されているかが問題となる。
介護生産性向上は実現するか
介護DXとは介護事業においても、デジタル技術を活用して介護サービスをはじめとする事業の在り方全般を根本から変革する取り組みを行わねばならないというものだ。

その際に混同されやすいのがIT化デジタル化である。IT化やデジタル化はDXを実現するための手段であり、DXの前段階に過ぎない。

例えば、紙の書類をPDFにするのはIT化だが、それは特定の業務をデジタル化しただけに過ぎない。業務フロー全体をオンラインで完結できる仕組みに再設計するのがDX化であり、全社的な意識改革が不可欠になる。サービス担当者会議をオンライン化するだけではDXは道半ばなのだ。

IT化やデジタル化した部分を、それぞれつなぐためにアナログ仕事が増えて業務負担が増えてしまってはDXは失敗という結果にしかならない。

それを理解して介護DXに取り組んでいる介護事業者はどれほどあるだろう・・・IT化やデジタル化とDXの違いを分かっていない事業経営・管理職も少なないように見えるし、そもそもDXの前段階であるIT化やデジタル化に取り組んでいない介護事業者も少なくない。

例えばFAX・・・昔はそれはデジタル機器の最先端であったのかもしれないが、今やそれは紙を吐き出すアナログ機器だ。そのようなアナログ機器を使わなくとも介護事業に支障はない世の中になっている。現に僕が今フリーで行っている業務は、様々な連絡・情報のやり取りが必要となる仕事だが、FAXなんて使わない。よって用紙代やインク代はかからない。それらはすべて無駄な経費である。

プリンターも同様で、それはほとんど業務に必要ない機器になりつつある・・・というかしなければならない。

情報のやり取り、書類の保管等はデジタル化して紙やインクを使わないのが現状のスタンダードである。

ところが物価高に対応した介護給付費アップを叫ぶ介護事業経営者が、自ら経営する事業者における、こうした経費の無駄を放置している状況が少なくない。そこに手当てをせずに国に金を渡せというのは余りにもお粗末だ。そのような身勝手な訴えに正当性は見いだせなくなる。

その意識を変えて、その考え方を職場全体に浸透させ、オンラインで完結する業務を増やして業務削減につなげていく必要があるのだ。ここは特に労務管理・事務作業・情報伝達と共有場面で改革をしていかねばならない。

一方で前述したアナログ仕事を残存させざるを得ない介護業務・・・アナログ対応は効率が悪く、生産性を低下させるものだと決めつける人も多い。勿論、介護事業においては、そういう対応も多々あり改善していかねばならないという指摘もうなづける。

しかしアナログ対応がすべて生産性を低下させるかと言えば、決してそうではない。

例えば利用者の生活の質を低下させないためには、ベッド上で暮らしが完結しないように、日中の活動参加がキィーワードになる。そこで最も必要とされるのは移乗ケアだ。

そこにも機器導入を図り、電動ギャッジベッドや移乗用リフトが開発・導入されている。しかし電動ベッドが当たり前になっている今日であっても(参照:最先端機器導入より先に求められる従前機器見直し)、移乗用リフトは使われずに倉庫のゴミと化している施設は少なくない。

それは何故か・・・その理由は使い方が悪いのではなく、移乗用リフトの使い勝手が悪いからに他ならない。

移乗介助という行為のみを取り上げるなら、移乗用リフトよりもスライディングボードの方が使い勝手が良い。

ただしそれには前提条件があって、ノーリフティングケアという方法論を十分に理解し、そこでスライディングボードをどのように使いこなすかという知識がなければならない。

逆に言えばノーリフティングケアの知識と技術を持った介護職員であれば、アナログ機器であるスライディングボードを使いこなして、安全に安楽に一人介助対応で移譲介助を完結できる。介護職員全員がその知識と技術を持てば介護業務は省力化=生産性向上が図れるのだ。

これも5S活動に含まれる事柄である。(参照:介護生産性向上は5S活動が肝

このように介護生産性向上は介護DXに加えて、介護実務の場でデジタル対応とアナログ対応を、それぞれ最適化する5S活動の両方がないと実現しないという理解が必要だ。

介護実務を知らない経営者と管理職だけで考える介護DXによっても、介護生産性向上が図ることができない最大の理由もそこにある。このことを理解せねばならない。
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医療関係者が居宅ケアマネを見下す連携提案



日本慢性期医療協会(日慢協)は24日、記者会見を開き、病院関係者が居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)と連携し、ケアプラン作成を支援する仕組みの導入を提案した。

だがケアプラン作成支援という割には、その内容は上から目線である。まるで居宅ケアマネは医療サービスの知識に欠けると決めつけた提案としか思えない・・・。

日慢協が提案する「医療介護一体型のケアプランニング」とは、下記の図のように病院の医師や看護師、リハビリ療法士、管理栄養士、社会福祉士、地域医療連携室から選ばれたメンバーらが「メディカルケアプランナー」としてチームを組み、居宅介護支援事業所のケアマネや地域包括支援センターの主任ケアマネらと連携するイメージである。
日慢協・医療介護一体体型のケアプランニング
この日慢協案を考え出した人間は、居宅サービス計画書は単なるサービスオーダ―表だと勘違いしているのではないのだろうか。居宅ケアマネが利用者ニーズを引き出すことなく、一方的にサービスを組んでいると決めつけている考え方でしかない。

それとも居宅ケアマネのアセスメント能力では、利用者の適切な医療サービスを結びつけることは困難だというのだろうか・・・自分たちの能力を、居宅ケアマネより上回るものだと決めつけて、これこそが科学的介護につながるアセスメント法であると決めつけた提案にしか思えない。

前職と実務経験が福祉職である、いわゆる福祉系ケアマネジャーと呼ばれる人の中には、糖尿病の利用者の血糖値管理が計画されていないとか、いろいろ批判があることは知っている。しかしそれはとりもなおさず個人のスキル差の問題であって、福祉系ケアマネ全体の問題ではない。そして福祉系ケアマネでもきちんと医療知識を持って、適切な医療系サービスをプランニングできる人は腐るほどいる。

居宅サービス計画はサービス担当者会議という多職種での話し合いにより原案作成しているのだ。その際に利用者が医療サービスの利用を希望している場合は、主治の医師等の意見を求めなければならないと規定されている。

そうしたルールがある上でさらに医療専門チームのアドバイスを受ける必要性は理解できない。そんなことをしていたらいたずらに居宅サービス計画作成に時間がかかって、利用者とサービスを結びつけるのにタイムラグを生じさせるだけだろう。

そもそも、「メディカルケアプランナー」なるチームのスキル担保の方法も明確ではない状況において、そのようなチームにどんな期待を持てというのだろうか。馬鹿も休み休み言えと言いたい。

こんなチームの評価を受けないと居宅サービス計画を適切に作成できないと考えられているとしたら、居宅ケアマネはずいぶん馬鹿にされているとしか言えない。

このような形で連携が行われた先にあるものは、「メディカルケアプランナー」の構成メンバーが所属する医療機関による利用者の囲い込みでしかない。

体の良い理屈をつけて、メンバー所属の医療系サービスを限度額いっぱいまで計画に入れようとする医療関係者を増やすだけである。

このような提案に喜ぶ居宅ケアマネはいないと思うが、日慢協にしっぽを振って媚びを売ろうとする居約ケアマネがいないことを願うばかりである。

こんな意味のない連携提案に対して、全国の居宅ケアマネ諸氏は激怒して良いと思う。
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人が人に寄り添う意味を単純化して考える介護



福祉の精神・・・対人援助の理念・・・それが大事であることに異論はない。

だが高邁な精神を求める前に、ごく当たり前に人としてすべきことを考えるのが介護という職業の本質ではないかと考えている。

人と人が向き合う場面がある。そこで手を差し伸べる人と、その手に縋ろうとしている人がいる。その時、手を差し伸べる人が難しい理屈など考える暇はないだろう。もっと本能的に行われるべき行為があるはずだ。

そしてそれこそが介護という行為の本質ではないかと思ったりする。それが人が人に思いを寄せるということだ。

自分以外の他者であっても・・・いや自分以外の他者であるからこそ、その命と存在を尊く思うことが介護の本質ではないか。人はひとりで生きてはいけないのだから、人を支えるのが当たり前だと考えるところが、他者に手を差し伸べることにつながるのではないだろうか。
人間尊重の価値前提
心身に何らかの不便を抱えて他者の支援を求めている人がいる。そうした人々に向き合い、求められる手を差し伸べる役割が求められるとしたら・・・この世で縁があって出会う人は限られている。出会うこと自体が奇跡であるといってよいかもしれない。そこで自分が頼られる時に、どうせなら良い結果を出したい。

勿論私たちはそのことで生活の糧となる金銭対価を得ている。それは何らかの支援を必要とする人に手を差し伸べるプロと言えるのだから、当然のことながら結果責任が生じる。そうした結果を出すための支援の具体的方法、介護サービスの品質。対人援助のプロとして私たちは、根拠を持ってそれらを創造し続ける必要がある。

だがその前に人としてしなければならないことを解かっていないとどうしようもないと思う。根拠ある介護と結果責任・・・それもこれもすべて人が人を敬うこと、人として他者を愛することから始まるのだろうと思う。

よく言われることとして、「努力が報われる社会であってほしい」という考え方がある。

しかしこの世の中には努力するチャンスを与えられていない人も存在するのだ。心身に重たい障害を持って生まれ落ちた人は、その機会に恵まれない。だからと言って人としての価値がないという考えは間違っている。

人は人として存在しているそのことのみに最大の価値があるのだ。それが人間尊重という考え方であり、社会福祉の価値前提でもある。だからこそハンデキャップを持つ人に、ハンデのない人が手を差し伸べるのは当然であると考えるべきではないか。

究極的に言えばそれは人間愛ということだろう。他人であっても人として人を愛する気持ちが介護支援を支えるのだろうと思う。

愛のない介護は、科学のない介護より始末が悪いと思う。
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GW中に確認してほしい介護保険制度設立経緯



今年のGWは、カレンダーの並びが悪く大型連休とはならない人が多いようだ。

世間一般的には、先週土曜日から明日みどりの日までが連休前半で、今週土曜日から来週火曜日のこどもの日振り替え休日までが連休後半とされているらしい。

しかし今日月曜日は平日なので仕事に出ている人が多いだろうから、連休前半という感じはしないのではないだろうか。

僕の地元登別市には有名な観光地として登別温泉があるが、GW期間中でホテルが満室になっているのは3、4の両日のみだそうである。しかも26〜2日の客室稼働率は平均6割程度にとどまり、物価高の影響による、『巣ごもりGW』も相まって前年より宿泊客は大幅に減少しそうだ。

介護事業関係者の方は、そのような世間の暦に関係なくシフト勤務している人も少なくないだろう。この時期に不平を言わず働いてくれる人々のおかげで、この国は成り立っているのだという誇りを持ってほしい。

そういう人たちが待遇面でもっと報われるような日本社会にしていきたい。その為に、僕も自分ができる範囲で、最大限の努力を惜しまないつもりだ。
桜
ところで介護保険制度が施行されたのは2000年4/1。ということは今年4月で制度誕生から四半世紀を経ていることになる。走りながら考えると言われた制度も随分長く走り続けたものだ・・・このあたりで一度立ち止まって、本当にこの制度が国民の福祉の向上につながっているのかを確認する必要があるのではないだろうか。

誕生から25年もの月日が経っている介護保険制度・・・このくらいの歴史を経ると介護事業関係者の中にも制度誕生時のドタバタを知らない人が多くなっているだろう。そして介護保険制度の創設の経緯を知らない人も増えていると思う。

そのようなことを知らなくとも仕事に支障は出ないかもしれないが、この制度の創設経緯を知っておくことで、今後の事業戦略を立てるうえで参考になることも多いはずだ。

特にこの春に移動等で初めて介護関連の職場に就く人や、介護関連は初めてではないが介護保険サービスは初めてという人には、是非そのことを知ってほしいと思う。

その為、僕が過去に書いたブログ記事を紹介したい。
介護保険・夜明けの雷鳴1
介護保険・夜明けの雷鳴2
介護保険制度へと続く道
介護保険制度誕生前に吹き荒れた嵐
以上の4記事は、政治的動きを中心にした介護保険制度創設前後の社会情勢を、どこよりも誰よりもわかりやすく解説しているつもりなので、是非この機会に目を通していただきたい。

そしてこの制度を今後どう維持・改革していく必要があるのかを僕と共に考えてほしい。

このような知識は決して無駄にならない。だからこそ今日以降のGWの貴重な時間を少しだけ解説記事を読む時間に使っていただきたい。
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居宅サービス事業の業務軽減につなげるアセスメントの法規定利用



介護生産性向上は待ったなしの課題であるが、そのためには介護実務全体を見渡して、無駄な業務・しなくてよい業務をピックアップして切り捨てるという考え方も必要だ。

だが果たして日常的に行っている業務の中で、切り捨てることが可能な業務があるのだろうか。

ある!!法令解釈をきちんとすれば行わずに良い業務なのに、行わなくてよいことを知らずに必ず行ってしまっている業務があるのだ。

そのよい例が居宅サービス事業所の計画作成のアセスメントだ。どういうことか説明したい。

訪問介護や通所介護といった居宅サービスは、それぞれ訪問介護計画や通所介護計画といったサービスごとのケアプランを立案しなければならない。

しかしその作成ルールは、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)が作成する居宅サービス計画書とは異なっている。

居宅ケアマネが作成する居宅サービス計画書は、それぞれ国が定めた標準様式があり、それを用いて立案せねばならないが、訪問介護等の各々のサービス計画書はそのような様式がないため、独自の様式で作成してかまわないことになっている。

その他、居宅サービス計画書と施設サービス計画書、そして訪問介護等の計画書の法的位置づけの違いを現した表を以下に掲示するので参照願いたい。
ケアプランの法的位置づけ
これらの計画書を作成するに際しては、アセスメント課題分析)を行わなければならないと規定されている。

居宅ケアマネが作成する居宅サービス計画書については、「介護支援専門員は、前号に規定する解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。」(基準省令13条9項)とされており、居宅訪問と面接が必須要件とされている。
施設サービス計画書入所者及びその家族に面接して行わなければならないとされている。)

ところが訪問介護や通所介護といった居宅サービス事業所の計画については、居宅訪問・面接によるアセスメントの要件がない。

例を挙げると訪問介護計画書は、「訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし〜(以下略)」(基準省令第24条1項)とされており、訪問介護サービスそのものをアセスメントとしてよいとし、改めて居宅訪問・面接を行う必要はないことを示している。

通所介護計画書の場合は、「指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。」(基準省令99条1項)とされているだけである。ここでも居宅訪問・面接の規定はない。

よって何らかの情報によって(例えば、居宅ケアマネからの情報提供でも可)、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境が把握できればそれに基づく計画作成が可能なのである。

それにもかかわらず忙しい業務の合間を縫って、アセスメントと言いながら、わざわざしなくてよい訪問面接をしている方が少なからず居られる。

どうか法令を読み直して、事業所内で出来ることはそこで完結させてほしい。そうした業務の整理こそ生産性の向上につながるのだということを理解してほしい。
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財務省の苦言・横槍は毎度おなじみ・・・。



介護保険制度改正の議論は社保審・介護保険会で審議され、介護報酬改定は介護給付費分科会に舞台を移して審議される。

それとは別に財務省が主管する財政制度分科会(財政審)が並行して行われているが、ここでは介護保険制度改正・介護報酬改定に関しての提言が数多く行われていく・・・しかしその提言とは、ほとんど財源支出を増やさないための給付抑制策・国民及びサービス利用者の負担増という方向性を示すものばかりだ。

昨日4/23に行われた財政審でも、財務省は、介護報酬を仮に1%引き下げれば、およそ1420億円の費用を抑制できるという試算を示したうえで、全国一律の介護報酬の引き上げには否定的な提言を行っている。

さらに介護職等の処遇改善についても、「今後の生産年齢人口の減少を踏まえれば、介護分野にばかり人材が集中するのは適切でない」と指摘し、「処遇改善のみで新たな人材を求めるのではなく、既存の人材を大切にしながら、生産性の向上や職場環境の整備などに取り組む事業者が、利用者・職員に選ばれていくことが重要」と難色を示している。
財務省の権力
全産業の平均給与と介護職員の平均給与格差が2023年度には月8.3万円と広がっている現状を顧みることなく、介護職員の給与改善は必要なしと決めつけているのだ。(2022年度の給与格差は月6.9万円であったから、他産業の給与改善でその差はさらに広がっている。)

だからと言って、そうした提言を気にする必要はあまりない。財政審とは財務省の権力を厚労省にちらつかせながら圧力をかけるための審議会だ。横暴な横槍はいつものことである。

そもそも介護保険制度については、財務省は社会保険方式ではなく税方式で施行することを主張していた。当然その際は当時の税率5%を10%以上に引き上げる条件を付けていた。

しかし消費引き上げという高いハードルに当時の内閣や与党がこぞって腰を引いて、政治的思惑が大きく働く形で社会保険方式になったことが面白くないのが財務省である。

なぜなら税方式だと一般財源の中で制度運営するため、財務省の掌で制度を転がすことができるからだ。しかし社会保険方式になったことにより、この制度は介護保険特別会計という新たな会計の中で運営されることになってしまった。そこは厚労省の所管となっており、財務省の権限の及ぶ範囲が縮小されてしまっているという理由がある。

だから厚労省の制度運営にいちゃもんをつけずにいられないのだ・・・そのための権力見せつけ機関が財政審である。

ところで23日の財政審では、担い手の不足や高齢化が顕在化しているケアマネジャーにも言及し、「人材確保が課題」との認識を明示したうえで、「従来ケアマネジャーがシャドウワークで担ってきた業務を保険外サービスに位置付けることで、収入増や負担軽減が可能となる」と指摘した。

ケアマネジャーのシャドウワークの対価を発生させるように提言しているわけだが、これをケアマネ支援と勘違いしてはならない。

財務省が一番恐れていることは、ケアマネのシャドウワークと言われる部分が保険給付対象になることである。シャドウワークが多いことを居宅介護支援費を引き上げる理由にしたり、何らかの加算新設につながることを防ぐために事前に策を打ったというのが、保険外サービスで費用を得られるようにせよという提言の意味だ。

つまり、「人手が不足していようと仕事が大変であろうと、国に財源はないのでケアマネにこれまで以上に財政支出するつもりはない。よって仕事の対価は国費に期待せず自分で稼ぎ出せ」と言っているに過ぎない。決して財務省がケアマネに味方になったということではないのである。

ケアマネ諸氏は、くれぐれもこのところを勘違いしないようにしていただきたい。
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配置基準緩和を誰が歓迎するのか。



次期(2027年度〜)介護保険制度改正の最重要テーマは地域3分類である。

地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域で高齢者自身が自立して日常生活を営むことができるよう、地域における人口減少・サービス需要の変化に応じ、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」と主に3つの地域に分類して、テクノロジー等も活用し、その地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制を構築していくことを目指すとしている。

その具体策として、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」の7頁には、「中山間・人口減少地域においては、生産年齢人口の減少が全国に比して進んでおり、介護人材や専門職の確保が困難な中、常勤・専従要件や夜勤など、様々な配置基準について弾力化していくことが考えられる。」と書かれている。

弾力化とはすなわち配置基準緩和という意味である。人口が減少して高齢者の数も、労働者の数も減る地域においては、人員配置基準を一般市や大都市部と同じく考えずに、柔軟に配置基準を緩和して、少ない人数で利用者対応を行うということを主張した内容だ。

しかし高齢者数が減る地域において特養やGH等の数が減ったとしても、それぞれの特養やGH等で対応すべき利用者数が減るわけではない。そこで職員配置基準が減った場合に何が起きるだろう。

減らされた配置基準に合わせた最低限の配置で利用者対応を強いられるという状況が起きたとき、当然のことながら介護職員が減った分、利用者に介護職員が直接かかわる時間は減る。それに対応してテクノロジーが十分機能して、利用者対応の質が落ちないほど技術革新は進んでいない。

よって介護の質は当然落ちる。必要不可欠な介護も受けられない人も出てくるかもしれない。志の高い介護職員ほどそうした状態に心を痛め、メンタルを傷つけてバーンアウトする恐れがある。
配置基準緩和で過酷労働を強いられる介護職
知識が乏しく知性にかける経営者の中には、緩和された配置基準ぎりぎり従業員が居ればよいと考え、人材確保努力を怠る輩が出てくるかもしれない。そのような事業者で働かせられる介護職員は、配置人員が削られた分、業務負担は増すことになる。身体的負担は蓄積されていくことだろう。

このような精神的・身体的負担増を嫌って、介護職員は基準緩和していない地域の事業所に転職するか、介護以外の仕事を探すことになる。そのようにして介護職員は益々減少の一途をたどり、介護人材難は加速することになる。

このように配置基準緩和は介護人材を疲弊させ、介護人材を益々減少させる結果につながるという負のスパイラルに陥らせる結果しか生まない。

すると介護職員不足によって経営困難となる事業者も増えるわけだから、配置基準緩和は介護事業経営者にとっても歓迎できない改革である。

誰一人として喜ばない政策、最も愚策と言えるのが配置基準緩和策である。これを柔軟配置という言葉でごまかそうとするのが、愚策しか逓減できない厚労省の誤魔化しと言えなくもない。

今週月曜日(4/21)の社保審・介護保険部会では、配置基準緩和によるデメリットを鑑みて、懸念を表明する複数の委員が意見を述べる一方で、配置基準緩和策が人材の有効活用につながると賛意を示す委員も複数存在した・・・。

これが社保審・介護保険部会の実態だ・・・介護サービスの実務を知らない、頭でっかちが議論の場であんぽんたんな意見を述べているのだ。

その結果は目に見えている。厚生官僚に言いくるめられて、その思惑の通りの結果に導かれていくのは明白だ。だから介護保険制度は良くならない。

この制度は国民のためでも、介護事業者のためでもなく、介護保険特別会計という予算権限を握った厚労省のためにある制度である。
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規制緩和が何より求められる訪問介護



先週4/16に公表された東京商工リサーチの最新レポートによると、昨年度(2024年4月から2025年3月)の訪問介護の倒産は86件。前年度から21.1%増加し、過去最多を大幅に更新した。

昨年度の介護事業者の倒産は全体で179件で、訪問介護はその約半数を占めている。

この数字は、2024年度の報酬改定でマイナス改定となった訪問介護の経営の厳しさが浮き彫りになっているものであり、ある意味当然と言える結果である。

マイナス改定とされた理由は、2022年度決算の介護経営実態調査で、訪問介護の収益率が高かったからだというが、そもそもその調査対象はどのように選択されているのかが大いに疑問だ。全国展開している大手事業者は、それなりの収益率を上げているが、中山間地などの過疎地域の住民に目を向けて、そこにサービスを行き届けるために頑張っている小規模事業者の収支差率はもともと厳しい状況にある。

そうした事業者が、物価高と人件費高騰の波をもろにかぶって経営困難になることは容易に予測できたのに、それらの小規模事業者を切り捨てるような報酬改定が2024年度に行われたのである。

その為に、収益が悪化して経営に行き詰まる訪問介護事業者が増えている。特に小規模の訪問介護事業者は荒波に呑み込まれているというわけだ。
中山間地
だがこの状況を手をこまねいて見つめているだけだと、訪問介護事業そのものが枯渇しかねない。特に高齢者人口がピークに達して減っていく、「中山間・人口減少地域」からは、コスパを考慮すると営業を躊躇する事業者も少なくなくなり、訪問介護事業者が撤退・廃業して、訪問介護真空地帯となりかねない。

よって期中改定を含めて訪問介護費(基本サービス費)の引き上げが不可欠ではないかと考える。

だが国はその部分は非常に腰が重たい。将来に渡って財源が枯渇しないようにするには、介護給付費の縮小が必要であるとして、訪問介護費自体の引き上げには及び腰だ。

そのかわり地域におけるサービスを確保し、複雑化したニーズに対応するためには、協働化・大規模化等による経営改善が必要だとして、例えば中小の事業者合併ではなく事業所同士の連携(バックオフィスの共同化やアウトソーシング等)に対する補助事業を強化するなどを模索している。

さらに4/14の介護給付費分科会で国は、「中山間地域等における小規模事業所加算(所定単位数の10%)」の対象地域を「その他」のみから拡大して、過疎地や辺地、豪雪地などであれば算定できるように緩和する考えを示している。
※正式通知は近日中に行われ、対象地域も明確になるので注目に値する。

これにより北海道は多くの地域で同加算が算定できるようになると思われ、歓迎できる改正ではあるが、それだけで訪問介護事業の存続が保障されるわけではない。何よりもヘルパーの成り手の確保が問題であり、ここに大きなメスを入れなければ根本問題は解決しないからだ。

このことに関連して淑徳大学の結城康博教授は、「介護保険制度が導入される前は、多くの自治体で公務員ヘルパーが活躍していた。」・「公務員ヘルパーの再興が不可欠」・「若い人材が公務員ヘルパーとして地域に根ざして働けるようになれば、地方創生という観点からも大きな意味を持つ

しかし介護保険制度創設以前と比較すると、訪問介護利用者は大幅に増えているのだ。それに対応して自治体職員の身分を与えたヘルパーで対応するとしても、地方自治体にその財源があるのかという問題がある。

北海道で初の財政再建団体となった夕張市は、それに対応不可能だろうし、夕張市に続いて財政破綻が懸念されている北見市をはじめとして、多くの地方自治体は財政難に苦慮している。

つまり自治体が責任を持ってヘルパーを確保するにしても、訪問介護事業が成り立つ報酬設定が絶対に必要なのだ。訪問介護費の引き上げを視野に入れてほしい。

それと共に中山間・人口減少地域などの利用者にくまなくサービス提供できるように、小規模事業者に対する規制緩和が必要不可欠だ。

そもそも減収となった訪問介護事業者の7割以上が、「ヘルパー不足でサービスの依頼があっても受けられなかったため」としているのである。(UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査報告書による)

そうであれば、人材難に対処する思い切った改革が検討されてしかるべきだ。介護保険サービスのうち、介護職員に資格(初任者件数受講などのヘルパー要件)を求めているのは訪問介護だけである。

小規模多機能居宅サービスの訪問サービスは、ほぼ訪問介護と同じサービスなのに資格要件はない。

そうであれば思い切って、訪問介護も資格要件を外しても良いと思う。(参照:訪問介護員の絶滅を防ぐ手立てはあるのか?

同時に次の基準緩和も必要不可欠だ。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
第五条「指定訪問介護の事業を行う者ごとに置くべき訪問介護員等の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする」

必ず2.5人以上の訪問介護員を確保していないと訪問介護事業の指定を受けることができない規定が、訪問介護事業の立ち上げの足かせになっていると同時に、人材不足が加速化する現状で、2.5人の訪問介護員確保が難しくなったことが原因で事業廃止しなければならない事業者も多い。

逆に言えば、この規定がなければ事業廃止せずに、2.5人未満の訪問介護員で事業を継続できる訪問介護事業者もあるのだ。

このようにヘルパー資格の廃止と、最低配置基準2.5人の見直しを進めることは、訪問介護事業の絶滅を防ぐ最低限の措置ではないかと考える。


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2027年度改正議論の進行具合から見えること



次期介護保険制度改正と介護報酬改定は、2027年度〜行われる予定だ。

このうち報酬改定については24年度の診療とのダブル改定と異なり、介護単独改定である。

診療報酬改定は2年に1度行われるため時期改定は26年度となる。つまり介護報酬より1年早く改定されるわけであるが、そこには近直の国の政策方針が盛り込まれることになり、当然その流れは介護報酬改定も巻き込んでいくことになる。

つまり介護報酬改定は、診療報酬改定の川下に位置すると考えてよいわけで、来年度の診療報酬改定について、「介護とは関係のない話」と介護関係者が無関心で良いわけがなく、しっかりその流れを見ておかねばならない。

ところで今現在、社保審・介護保険部会では、2027年度からの介護保険制度改正議論が進行している。

この議論は今年の年末まで続き、クリスマスの直前に諮問・答申が行われる。
(※そこで決まった改正内容が、来年1月の通常国会に法案として挙げられるわけである。)
今後の介護保険制度改正スケジュール
介護保険部会に答申がされた後は、介護給付費分科会に審議の場が移って、介護報酬改定・基準改正に関する議論がされることになる。その諮問・答申は来年12月に行われ、必要なものは国会審議を経て、2027年4月からの法改正・基準改正・報酬改定となっていくわけである。

ところで冒頭近くで述べた介護保険部会の本格審議であるが、今回は昨年12/23の第116回社会保障審議会介護保険部会から始まっている。

これは過去にない異例の速さだ。過去の制度改正議論は、12月諮問・答申というスケジュールに沿って、その年の4月から本格化するのが通例だった。ところが今回の議論開始時期は、通例より4か月も早い時期に始まっている。

これは何を意味するのかははっきりしている。それだけ議論すべき領域が多岐にわたっているということであり、2027年度介護保険制度改正は今までにない大改正になることが容易に予測できる。

2040年代に要介護者数はピークを迎えるが、その「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していく。それは医療にも介護にも、今まで以上に人手や財源をかけることは不可能になることを意味している。

介護保険制度の次期改正は、既得権をはじめとした今までの給付実践にとらわれずに、制度を縮小していくための第一歩を踏み出す方向で議論が進んでいく。

例えばそれは、1法人1拠点といった小規模経営をしている介護施設・事業所に対して、スケールメリットが働く協働化・大規模化等による経営改善の取組を求めるものであるかもしれない。

さらに地域を、「中山間・人口減少地域」・「一般市」・「大都市部」に3分類して、その特性に応じた運営基準等の弾力化を図る取組であったりするわけだ。

当然前回改正で積み残された課題も再検討される。利用者負担割合2割の対象者の拡大は確実に実施されるだろう。居宅介護支援費の自己負担導入と、訪問・通所介護の軽介護者サービスを地域支援事業に移行させることについても結論が出されることになっている。

どちらにしても介護事業者及び関係者には、より大きな改革と発想転換が求められることになる。

だから次の改正は、「チェンジ」がテーマであり、そこについて行くことが出来なければ事業撤退も視野に入れなければならなくなるという厳しい状況であるという理解が必要だ。

今後続々と示される情報にアンテナを張りながら、素早くその備えに取り掛かることが重要になる。


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