我が国では2025年以降、75歳以上の人口増は落ち着くが、85歳以上の人口が伸びていく。そのため容態急変・寝たきりリスクが増加する。
要介護者の数と85歳以上の高齢者数のピークは2042年頃と見込まれているため、その間にどのような対策が必要かということが介護・医療両制度で検討されているわけである。
特に高齢者の「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していくのだから、療養に対し今まで以上の財源や人手をかけることは不可能になる。よって財源支出がより必要な医療サービスから、それより支出が少なくて済む介護サービスへの付け替えが政策的に進められていく。
例えば2024年度の基準改正で介護保険施設には協力医療機関指定義務が課せられた。この意味は、介護保険施設の入所者が入院が必要になった際に、協力医療機関にスムースに入院できるという意味もあるにはあるが、それより協力医療機関で速やかに急性期治療を行い、出来るだけ早期に介護保険施設に退院させるという意味合いが強い。
その為、厚労省は解釈通知等で、「在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定されている。」という考え方を示している。
在宅療養支援病院等は、自宅等の居所で療養を支援をすることを主たる目的とした医療機関であるから、入院は原則1週間で延長しても2週間しか入院させない。その期間で介護保険施設に退院させるという意味だ。
ただし想定されるというのは、義務ではないのだから、それ以外の長期入院できる医療機関と連携する介護保険施設もあろうと思う。
しかし24年報酬改定は、介護と診療のダブル改定であったため、診療報酬の改定ルールに厚労省は在宅療養支援病院等が介護保険施設と連携する餌撒きをしている。在宅療養支援病院等に対し、介護保険施設等の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいという要件化を行っているのだ。
その他、介護保険施設や居住系施設には、協力医療機関との定期的な会議を行うことで加算算定できるようにされたが、同時に医療機関に対しては、定期的に会議を行い連携体制を構築している介護保険施設等の入所者に往診したり、入院させた場合に加算を算定で切るようにしているのだ。
よって医療機関側も介護保険施設等との定期的な会議は、大歓迎で実施してくれることになっているのだ。
このように今後は長期入院はレアケースで、出来るだけ早く医療機関から退院させ、回復期の療養を医療機関以外の居所で行うことが当たり前になるのだから、居宅サービスでも同じように介護・医療の連携ケースが求められる。

上の図のように、認知症の方の徘徊理由が便秘であるケースは、食事作りを担当する主介護者に対し、栄養士がアドバイスしたり、訪問看護師がフォローしたり、通所介護の職員が協力しなければ問題解決しない。そうしたチームを居宅ケアマネがまとめるわけである。
その際に考えなければならないことは、関係者がチームを組んで集まるだけで、課題が解決するとは限らないということだ。3人寄れば文殊の知恵というが、そういう現象に期待を寄せてはならないのだ。
リーダー役の居宅ケアマネが、チームを組む利点と欠点をよく理解して関わる必要があり、チームケアのメリットを最大化する必要がある。
このことについて、6月4日(水)福島県伊達市NOP法人おりおりの会主催のオンライン研修で、「2027年度改定を見据えての現状の課題と介護の在り方」をテーマにして解説する予定だ。
24年度の制度・基準改正と報酬改定が、現状どのように影響し、次期改正等にどうつながっているのかという解説の中で、今現在求められている介護・医療連携のあり方を説明する予定だ。
おりおりの会には、福島県伊達市の介護・医療関係者が多数入会しているので、実効性のある連携につながる話をしたいと思う。伊達市の介護関係者にエールを送る動画も作成したので、是非下記より参照願いたい。
おりおりの会の皆様、4日午後から画面越しに愛ましょう。よろしくお願いします。
※メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.5の最新記事が5/14にアップされました。


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